1年のリズム
6月1日。日本は衣替えの日。
東日本大震災の影響で「超クールビズ」が提唱されているらしい。
Tシャツやジーンズが許容されるというのは、カジュアルで知られるシリコンバレーでもドレスコード(服装規定)に反するので賛成できないが、アロハシャツやポロシャツは歓迎してもよいのではないかと思う。
例年であれば、すっかり初夏の陽気になっているはずのシリコンバレーだが、昨年に続き今年も冷夏の兆し。1月に小春日和があったきり、全然「春らしい」陽気にならなかった。
しかも、とっくに雨季はおわってもよいはずなのだが、今日も、ひとしきり雨が降った。
異常気象!
カリフォルニア州とネバダ州の境にあるタホ湖では、先週末は標高1300メール辺りから雪が降ったらしいし、7月4日の独立記念日の祭日でもまだスキーができそうだと言う。
イエローストーン国立公園も雪のため「冬季通行止め」の道路の開通が遅れそうだということだし、積雪量が多くて雪解け水が増水し、ミシシッピ川は氾濫が続いている。
今年は大変な年になりそうだ。
さて、話題は変わって、、、、。
昨日の鹿児島大教養課程の「国際プロフェッショナル概論」は私の担当の分でした。これは鹿児島大北米センターから遠隔で行われている授業で、毎週、異なる講師が登場してプロフェッショナルとなった経緯やその分野について語るというコース。
教養課程の学生の好奇心を刺激しようという目的があるのです。
80名ほどの受講生の大半は、ピッカピカの一年生。青少年から大人・成人への過渡期なのでしょうね。まだ幼さを残している人も少なくありませんでした。
新入生歓迎会も終わり、サークル、同好会への入部も決まり、キャンパスにも慣れてきたという頃なのでしょうかね。
(いつも今頃の時期になると「五月病」というのが私が学生の頃は流行っていたのですが、今でもあるのかしら?)
日本では4月が新学期、新学年。新しい会計年度の始まり。
仕事の面でも心地よい緊張感があります。
ところが、ゴールデンウィークが終わった辺りから、アメリカではそろそろ大学の卒業式の季節。「卒業おめでとう」カードや風船、さまざまなギフトなどが店頭に並びます。
そして、大学が次々に卒業式となり、オバマ大統領初め、有名人、著名人は卒業式で祝辞を述べるためにいろいろな大学に招待されてスピーチをすることになります。その様子はいろいろなニュースでも紹介されていることでしょう。
6月に入れば高校の卒業式。そして半ばには小学校、中学校、高校揃って終了式。2ヵ月半の長い夏休みに突入です。
一方この頃、日本はまだ中間試験が終わったばかり。梅雨が始まってまだ夏の到来にはすこ~し時間があります。
7月8月のアメリカはヨーロッパほどではないにしろ、家族揃って夏休みを楽しむ傾向が強いです。キャンプに行ったり、国立公園に行ったり、もちろんディズニーワールドも毎年上位にランキング。
最近の日本も8月はお盆休みと称して一週間の休みを奨励する企業が増えてきたようです。
よって私の本業(会議通訳)も8月は開店休業。4月に新年度が始まってから、GWがあったり、アメリカは卒業式ムードが続いたりしてなかなか仕事に本腰が入らないでいるうちに夏休みモードになってしまうのです。
以前は9月の勤労感謝の日(Labor Day) の翌日から新学期が始まるのが通例でしたが、ここ数年は授業時間数が足りないのか、8月後半から始まる学校が増えてきています。
またまた私の頭は混乱。まだたっぷりと楽しめる夏が残っているというのに学校は新学期ムードとなるわけです。
9月、10月は展示会や学会シーズンでもありますし、下期に入って日本から出張者が多くなります。休みボケも取れ、季節も良くなりますので、頑張って仕事ができる時でもあります。
でもいつの間にか日が身近っていることに気が付く時期でもあります。つい先日まで8時を過ぎてもまだ明るいと思っていたのに、この頃になると6時半頃と言えばもう薄暗くなります。何となくもの悲しい気分になってくるのもこの頃。これからどんどん日が短くなるのだなぁと思うと胸がキュッとなってしまうのは私だけでしょうか。
そして11月。第4木曜日は感謝祭。もうここまで来たらアメリカは「クリスマス・年末」モードへ突入です。感謝祭は親戚や友人が集まるクリスマスに勝るとも劣らない民族の大移動となる時期。翌日の金曜日はクリスマス商戦解禁日でブラックフライデー。感謝祭で集まった母娘、姉妹、友人同士が開店と同時にお店に駆け込む様子は正に狂気の沙汰。(その後にサイバーマンデーが続くのですが。)
感謝祭が終わって12月に入ったらもう忘年会(クリスマスパーティー)の連続だし、クリスマスを控えて、サラリーマンも気もそぞろ。もう仕事に集中できるような雰囲気ではありません。かろうじて出社していても、もう半ばを過ぎたら仕事にはならないです。
22日頃から皆クリスマスの休暇に入ります。そして26日から31日までマジメに勤務する会社もありますが、シリコンバレーの多くの会社は24日から1月2日までがクリスマス+新年のお休み。この時期の道路の空いていることと言ったら。
クリスマスが家族で過ごす祭日なら、大晦日は友人同士が集まる(ドンチャン騒ぎになる可能性が高い)祭日。カウントダウンでゼロ!が叫ばれると、ハッピーニューイヤーが連呼され、シャンパンの栓が抜かれ、爆竹が鳴る。とっても賑やかなアメリカらしい新年の迎え方は、除夜の鐘を聞きながら白い息を吐きつつ神社参りをする日本とは対照的。
しかも2日から平常業務に戻るアメリカに対し、日本は「三箇日」をしないとお正月が来た気分にならないです。お正月を日本で過ごせば、アメリカへ戻ってくるのはどうしても7日あたり。日本からの出張者が来始めるのはどんなに早くても15日過ぎ。
そして、何となく日が長くなってきた気がすると思っていたら、1月末にはサクラ(日本のソメイヨシノとは違う種類)が咲き出すシリコンバレー。春はもうそこまで!
気分も何となくウキウキし、元気が出てくる頃。
ところが日本は2月あたりで大学は春休みに入ってしまうし、3月後半は年度末の決算でバタバタしている。そして1年が終わる。
アメリカと日本のビジネスや学校のサイクルが微妙にずれていて、何かこう、リズムに乗り切れないという感じがいつもしているのです。勢いに乗っていたと思う頃、他方が休みモードだったりして、何となく肩透かしを食わされる。
入梅前から台風が来ている日本。とっくに雨季が終わって毎日晴天のはずなのにまだ毎日天気予報から目が離せないリコンバレー。卒業式が雨、なんて絶対にありえないはずなのに、テントの準備に悩んでいる地元の高校の話を聞きながら、何か歯車があっていない気持ちがぬぐえない今日この頃です。