求む、親分!
さらさらの髪。
色白で、華奢な体躯。
見据えられるような鋭い視線。
斜に構えたニヒルさ。
顔写真に漂うアンニュイな雰囲気。
これが我らがオルタナ番長であります。
「番長」って何か懐かしい言葉ですね。
昔の番長やスケ番は、不良は不良だったのでしょうが、一本、筋が取っていたように思います。(ノスタルジアかなぁ。)そんな印象があったからでしょうか、番長に会ったその翌日、1冊の本を買いました。
『ヤクザに学ぶ組織論』(山平重樹著 ちくま新書)
う~ん、Corporate Nipponもこのような組織論とリーダーシップの条件をちゃんと勉強していれば、これほど凋落することもなかったろうに。
と
はいっても、この本に登場するヤクザの親分は昭和のヤクザで、平成の任侠界はだいぶ変わってきたと思われます。そのスジの方々とは全く縁がない私にとって
は、ヤクザの世界は高倉健さんが演じるものしか知らない。でも、その辺りは全部フィルターにかけて排除しても、この本からは、Corporate
Nipponが取り戻さなければならない初心、原則論が読み取れます。
成功する組織に必要な条件
(1)知力と判断力にすぐれたリーダーシップ
(2)信賞必罰
(3)礼儀、義理、節度など、上司が部下の手本となる階層構造
(4)情報収集力とその解析力
成果主義なぞと言いながらそれがうまく機能していないのは、企業の考課査定がちゃんと信賞必罰になっていないからでしょう。頑張っても認められない、部下に仕事を押し付けておいて手柄だけ自分のものにする上司。社員が企業に対して忠誠心を持つのは、そこに信賞必罰、やればやっただけの評価とやらなければやらなかっただけのペナルティーがあるからではないでしょうか?
アメリカの私利私欲に駆られた経営陣は、社員の年金を横領しても、巨額の赤字を出しても、数千人を解雇しても、数億円というボーナスを貰っている。
アメリカの石油会社は、ガソリン代が高騰し過ぎて通勤できないという社員が出る中で、記録的な利益を上げている。(そのケタはずれな利益を社会に還元すれば、ガソリン価格はたちどころに下がるであろうに。)アメリカの資本主義は、「自分さえよければ」に通じるところがあります。(もちろん、その裏には慈善行為とか博愛主義とかもありますが、二律背反ではないので。)
有名校を優秀な成績で卒業した超エリートであるはずの経営陣でも、金の亡者となって、良識や義理を欠くようになってはおしまいです。(そして彼らの大半は裁かれない。近代アメリカには遠山の金さんはいないのです。日本にもいないね。)
日本の中小企業で、成功する企業に必要な条件をちゃんと揃えている会社がいくつもあります。規模が小さい方が、目が行き届くというメリットがあるのでしょう。大企業でも、部署単位で親分肌の部長が増えれば、同じような効果が期待できるはず。
世界でも有数の大企業で、この「親分肌」の部長にお目にかかったことがあります。部下には有名大学卒業者がずらり揃っている中で、「僕は高卒ですから」といつも謙虚な彼ですが、「何かあったら俺が責任とってやるからお前達は心配しないでいい」というのが口癖。組織の上に立つ者に必要な器の大きさは学歴ではないのです。
知性に優れた器の大きな人が、世界で活躍できる人。日本という看板を背負った国際人なのだと思います。