デジタル社会の風刺画見たり
東京都写真美術館で開催されている「世界報道写真展2007」を見に行ってきました。プロのカメラマンたちが、ある時は命をかけてまで撮った写真は、時としてその前に起きていたこと、その後に起きたであろうこと、その背景に隠されていることなども見せてくれる力をもっていると、あらためて痛感しました。
約8万点から選ばれた今回の大賞は、紛争の中の日常を切り取った写真。イスラエル軍に爆撃されたベイルート市街を、赤いオープンカーで走り抜けるレバノンの若者たちの“場違い”な瞬間をとらえたものです。若者たちの、紛争とは無縁の表情が何とも印象的でした。
私はこの写真を見て、自分の職業柄か、「これはまさしくデジタル社会をも風刺した写真だ」と感じました。デジタル社会を論じる時に、よくリアルとバーチャルの話をしますが、、この写真はそうした風潮をも凝縮しているように思えました。
ちなみに、私はデジタル社会にリアルもバーチャルもないと考えています。あるのはリアルだけ。バーチャルがあるとしたら、それは人間の“勘違い”や“鈍感さ”(鈍感力ではなく)がもたらすものだと思っています。
リアルとバーチャルの話をやり出すとややこしくなるので、写真展の話に戻しましょう。サッカー仏代表のジダンが、昨年のワールドカップ決勝でイタリア選手に頭突きしたシーンをとらえた写真もありました。ジダンがその瞬間、右手をグッと握りしめ、目を閉じているのが印象的でした。テレビでは何度も見たシーンですが、写真でその瞬間を見せられると、あらためて起こった出来事の重さを感じさせられました。
プロのカメラマンたちが切り取った“一瞬”に込めたメッセージの数々……。いい刺激になりました。写真展は8月5日まで開催されていますので、よろしければ皆さんもぜひ覗いてみてはいかがでしょうか。
最後にPRを1つ。本日、エンタープライズサイトにて「ITトレンドの眼」と題したコラムをアップしました。12日のアップに続いて2回目となります。こちらも私なりの眼で見たニュース解説を行っていくつもりですので、ご一読いただければ幸いです。