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ITが無いと生きていけないのに、アナログな日々

ホテル業界でなくても心がけたいリッツ・カールトンのホスピタリティ

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虎ノ門ヒルズフォーラムで開催されたガートナー カスタマー 360サミット 2015に参加してきました。基調講演は、ザ・リッツ・カールトン大阪の元・副総支配人で現・大手前大学教授の四方啓暉さんで「リッツ・カールトンの究極のホスピタリティ」でした。以前、弊社のお客様満足度向上のための社内セミナーでもリッツ・カールトンのクレド(信条)を紹介したものもあり、ずっときちんとお話をお聴きしたいと思っていました。

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リッツ・カールトンは、お客様を大事にする企業であり、そのためにはお客様に接する社員をまた大事にしている会社だということがよく分かりました。有名なクレドは、折り畳んで名刺大のサイズで社員は全員肌身離さず持っています。社員だけでなく、ホテルでお客さんを乗せるタクシーの運転手や食材などの配送業者のスタッフにも渡しているそうです。リッツ・カールトンは、こういう信条を実践しているホテルということを理解してもらうためだそうです。
私は、リッツ・カールトン香港にしか宿泊したことはありませんが、今日話しされていたように「お客様を家族のようにもてなす」というのがなるほど思い当たりました。ロビーでぼうっとしていると、ホテルスタッフがすぐに駆け寄ってきて何か困っていることはないかと聞いてくれ、また困っていることが無い時は話し相手になってくれる、そんな体験をしました。宿泊客と接することでその人を知り、それを他のスタッフと共有することで、また別の機会に宿泊者の感動体験と繋がっていきます。もともと英語のクレドは、日本のホテルスタッフには、日本語版が配布されているそうですが、「We are ladies and gentlemen serving ladies and gentlemen」は翻訳せずに英文のままにしたと説明されました。逆にこれは信条の最もベーシックな部分が伝わってくると感じました。
今回、一番感銘を受けたのは、リッツ・カールトンの表彰制度。高い業績の社員を表彰するものですが、上司や役員の推薦で選ばれたのではなく、同僚の推薦で選ばれたということ。表彰される社員も同僚からの「信頼」と「感謝」が上司からのものより働くモチベーションになるとのことでした。これは、とても素敵な表彰制度だと思いました。

リッツ・カールトンの究極のホスピタリティ リッツ・カールトンの究極のホスピタリティ
四方 啓暉

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実は、IBMにも社員が心のよりどころにしている信条があります。かつては、3つの基本的信条と呼ばれた「個人の尊重」「最善の顧客サービス」「完全性の追求」です。基本的には、今もこの想いは社員の中にありますが、Jamと呼ばれる全社員参加のオンライン・ディスカッションにより、現在は、IBMers Valueとして下記の3つの価値観になっています。これは、3つの基本的信条をもとにトップダウンではなくボトムアップで社員から生まれた理念です。

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