ホウレンソウってどんだけやればいい?あるいは6段階式被管理作法
ホウレンソウ(報告連絡相談)が大事、という話は、ほとんどのビジネスパーソンが大好きだ。分かりやすいし、実際、これが出来ないから仕事を任せられないケースは多いから。
でも、「どんだけやればいいのか?」というさじ加減についてきちんと説明されることは少ない。
「そんなもん、ケースバイケースだよ」
「全部報告しろ」
「イチイチ言ってこなくていいよ。こっちだって忙しいんだからさ」
「どれだけホウレンソウさせるか」は上司によって随分違う。(会社によっても違うが、僕が観察したところ、人による違いの方がずっと大きい)
僕が新卒で入った会社には、この手の「管理される側のお作法」をまとめた「被管理能力」という言葉があった。被管理能力の中核はやはりホウレンソウなのだが、あの会社はちょっと凄まじかった。
新卒社員に対して「君たちは報告の加減が分からないはずだから、なんでもかんでも全て報告せよ」と言って、本当に「トイレに行ってきます」も報告させたのだ。そして徐々に緩めていった。
もちろん気違いじみているし、ブラック企業認定当確だ。
新入社員のこちらとしては相当嫌だったが「報告すべき内容、レベル感を正しく知るのは案外むずかしい」「報告はしすぎるくらいから始めた方がいい」ということは身にしみて分かった。ちょっとだけ感謝したい。
★委任レベルの5段階
さて。
新入社員だった僕も、人に仕事を任せる立場になってから随分月日がたった。ホウレンソウされる側の立場として「どのくらいホウレンソウして欲しいか」の基準も僕なりにできた。
僕はこの基準を、仕事を誰かに任せる時はいつも使っている。
ちょっとしたタスクを誰かに頼む時。プロジェクトマネージャーにプロジェクトを任せる時。ベンダーさんに仕事を外注する時。どんな時でも、考え方は同じだ。
まず、仕事の難易度と任せる人のスキルを天秤にかけて、「どれだけ任せられるか?」を6段階に分けて考える。
レベル6) 放置していても勝手に上手くいく
レベル5) 基本放置だが、たまに相談がプッシュされてくる
レベル4) 任せていたらヤバかったので、定期報告でチェックが必要
レベル3) 報告が怪しいので、こちらから情報を取りに行く必要あり
レベル2) 手取り足取り。自分でやったほうが早いんだけどね・・
レベル1) やってみせる
まあ、実際にはレベル6はほとんどないのだが、レベル2~5までは皆さんが仕事を依頼する時もされる時も、よくあるシチュエーションだろう。
「どういうことまでホウレンソウすべきか?」は、自分の任され方がどのレベルか?によって変わってくる。
★ホウレンソウのミスマッチがなぜ起こるか?
任せる側(上司)がレベル4だと思っているのに、任される側(部下)がレベル5だと思っている場合、何が起こるだろうか?
部下「今はうまく行っているから、報告はほとんどしなくていいや。困ったときだけ相談しよう」
上司「イライラ。おい、いまどうなってんの?報告くらいちゃんとしろよ。任せられないヤツだな・・」
これが長く続くと、上司は「報告すら出来ないんだから、レベル3に格下げだな」と思い始める。かくして、ますますホウレンソウに対する上司と部下のミスマッチは広がる。
上司の側に問題があるケースも多い。
ある程度慣れている仕事で、レベル5やレベル6でいいはずなのに、レベル3並の管理スタイルしか出来ない場合だ。
過保護と言うか、管理過剰というか、マイクロマネジメントというか、鬱陶しいというか。仕事熱心なのに嫌われちゃうパターンですね。
もちろん、レベル5だと思っていた仕事が、実はレベル3で、人知れず大変なことになっていた・・というケースもある。
仕事はドラクエじゃないんだから、どのレベルなのかデジタル表示されないので難しい。プロジェクトはいきものだから、時と場合によって変わるし。
この辺にホウレンソウ、ひいては「タスクの依頼と管理」の永遠の難しさがあるんでしょうね。