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インターネットとそのガバナンスについてつらつらと

スマートグリッドをインターネットに重ね合わせたら

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昨日付けの日経ビジネスオンラインに、非常に興味深い記事が。kwoutしようとしたがうまく行かなかったので、リンクだけ。

日本の現状に見る「インターネットの“悪夢”、再び」

なぜスマートグリッドに前向きでないのか

思わず読みふけってしまいました。インターネットに乗り遅れた、1990年代前半の日本の状況に、今のスマートグリッドの状況を重ね合わせて論じている本稿の示唆するところは大きいと思います。ただ、本筋は引用元にお任せします。

実は最近、電力会社に勤める高校時代の同級生に会ったときに、ちょっとスマートグリッドの話になりました。曰く、日本では電力供給系の情報通信網は万全で十分スマート。ここに、今取りざたされているようなレベルのスマートグリッドの話は入り込む余地がない、といった感じのようです。その裏を、この引用元に見たような感じがします。

電力はそれこそ、インターネットよりはるかに、あらゆる経済活動の基盤で、それが万全に安定供給されることは、大変素晴らしいことに違いありません。

引用元が指摘しているのは、「進み過ぎてしまったから、今立ち上るブームについていけない」というパラドックスです(進みすぎてしまった産業を守ろうとするからなおさら、という既得権益議論を捨象したとしても)。進みすぎた間発生した新たな時流(ここではエコ電力)に追従できないという構造です。

これは、なんだかここ数年自分の領域で、日本の状況をアジア太平洋地域や他の地域に説明するときの、違和感に符合するのです。

引用元でもブロードバンド市場に関する記述がありますが、ADSLではちょっと遅れたものの、00年代初頭からの光ファイバーの普及は、すさまじいものがありました。僕の自宅も、2002年にはFTTHで100Mbpsが届いていました。そういうことを、他の国の人に言ったとしても、もう、マズ最初に「???」。返答が声になって返ってきません。次には、そんなに使うの?事業者タリフはどうなってるの?アタック受けたりしたら酷いよね、などなど。

進みすぎていて、理解をなかなかされませんでした。上の記事を読むと、そういう進みすぎたものは、仇となって返ってくるのではないかとビクビクしてしまいます。

IPv6はどうでしょうか?いち早い枯渇対応は大丈夫でしょうかね?そういう情報を海外でもがんばって話して、共有に向けた努力をしてきたつもりではありますが。再点検する必要がありましょうか。

そういう技術を、標準化するための会議が、IETFでございますが、現在史上初、中国開催の、IETF79@北京 が、今週開催中です。精鋭たちが、日本の技術を世界に分かってもらうために、奮闘中です。

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