[book] Google及川卓也さん著「挑まなければ、得られない」を読んで、意見や行動のお作法についても考えた
最近、ネット上で意見を言う基本的なマナーがなっていない人が多いのではないか?どんな風にモノを言うのがスマートなのだろうか?単に脊髄反射の「いいね」ボタンと同じで、直感の好き嫌いだけで何かを語っていないだろうか?
そんな疑問を感じていた事と、
誠ブログのほうに「今すぐやるか、先送りにするか」というブログを書いたばかりでもあったので、封筒を開けて「挑まなければ、得られない」(英国ヴァージン・グループ総裁リチャード・ブロンソンの座右の銘だそうです)というタイトルが目に飛び込んで来たときに、なんだか関連性があるような気がしました。
この本は、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」にも出演したGoogleの及川卓也さんの著書です。この番組で、IT業界ではすでに有名だった及川さんが、業界以外の人にも幅広く知られることになったのではないかと思います。
内容は、及川さんのブログのいくつかとHack For Japanの活動がまとめられているものです。ツイッター等で話題になっても追いかけきれていなかったネットの断片が書籍という形でうまくまとめられていると思いました。
DEC、マイクロソフトを経ての転職の事などご自身のキャリアについての説明も興味深いのですが、電子書籍や、ソーシャルゲーム、ソーシャルメディアの特徴や使い分け、ボランティア活動等についての筆者の意見も書かれており、その表現が非常にスマートであることに感銘を受けます。
どこに賛成でどこに反対であるのか、それは何故かということが明快です。
例えばソーシャルゲームの社会的意義(83ページ。リンク先は及川さんのブログに飛びます)。
という及川さんのツイートについて寄せられた意見やそこから派生した意見について触れられています。
そして、
確かに上場企業がやっていて、経済活動を通じてお金が回るし、税金も納めている。資本主義の原理原則で社会に貢献している
という意見を及川さんは肯定したうえで、人が消費できる資源という観点から見た意見を述べています。ネットショッピング等は人が費やす時間を短縮できているけど、ソーシャルゲームは娯楽に割く時間を増加させている。時間は有効な資源であり・・・という話につながっていきます。
詳しくは、直接書籍やブログを見ていただくようにお願いしたいですが、このような、道具的な使い方(ネットショッピングやネットの辞書)とそれをやること自体が目的という使い方(コンサマトリーな使い方。ひまつぶし、ソーシャルゲーム)を、体感的にわかるように分類し、説明し、さらにはそこから派生する問題や意義についても言及しているところも、多くの方に支持される理由なのではないかと思いました。
震災復興に関する活動(Hack For Japan)についても、所属企業と個人との間で問題を抱える人についてもきちんと言及しており、良いところだけの紹介や、ポジショントークになっていない点も好感が持てます。
立派な事だけを言って、カッコをつけるわけでなく、人間味あふれる失敗談や反省も語られており、等身大の筆者が見えて来ます。
隠さず、飾らずに自己主張を的確に行うことって、実はなかなか難しいのではないかと思ったりします。
ネットで発言を見たり、実際の及川さんと懇親の場などでお会いしたりするのに加えて、こういった書籍といった形でまた著作物を拝見すると、更にまた刺激を受けるなあと感じた次第です。
かなり前に書かれたブログなどは補足も入っており、今はどうなのかということも考慮して書籍化されています。
特に以下の人にお勧めだと思いました。
- パワフルな及川さんから元気をもらいたい人(中間管理職の方、是非!)
- 自分は大企業勤務だから何も出来ないと思って諦めている人
- いろいろなことに挑戦する事に躊躇している人、先送りにしている人
- ネットの断片的な意見に閉口している人(反対意見等も織り交ぜつつ、きちんと論じている内容を読みたい人)
- ソーシャルメディア、ソーシャルゲーム、電子書籍等に関して考えてみたい人、意見を整理したい人
- プロフェッショナル仕事の流儀で及川さんのファンになった人
(うまくまとめられなくて寝かせちゃってましたが、一旦アップします)
挑まなければ、得られない Nothing ventured, nothing gained. | |
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