キックオフミーティングなどで対面することの効用
外資系IT企業数社で勤務していたのですが、顔の見えない相手と仕事をする機会が多くありました。
会ったこともなく、普段話す言語も、文化も、年齢も、性別も違う人と、電子メールと電話だけで、仕事を進めなくてはならないこともしばしば。
同じ日本人同士でも、電子メールと電話だけのコミュニケーションだと非常にやり取りが難しいことがあります。それが外国人ですからなお更です。
そんなときに非常に役立ったのが、年に1回行われるキックオフミーティングでした。
会社によって違うと思うのですが、私が在籍した企業では、特定の地域(リゾート地のホテルなど)に集まって、CEOが戦略を説明したり、表彰式をしたり、ちょっとしたトレーニングをしたりしていました。また、チームビルディングと称して、オリエンテーリングのようなことをしたり、チームに分かれてゲームをしたりしました。
そのときに、普段顔をあわせることのない、海外の同僚に対面することができるのです。会って話をすると、今まで見えてこなかったことが見えてきます。
コミュニケーション学(末田・福田, 2003)で引用されていたのですが、人間がコミュニケーションを行うとき、93%も非言語コミュニケーションに頼っているとのこと(Wiener & Mehrabian, 1968)。
対面型のコミュニケーションにおいては、人の見かけと服装、動作(Kinesics)、ジェスチャー、アイコンタクト、臭いなど、非言語コミュニケーションの果たす役割は大きいという論文もあります(Samovar & Stefani, 1998)
ネットのコミュニケーションでは「手がかりのなさ」ということがよく言われますよね。特に仕事で同僚とやりとりをする場合は、ブログやチャットなどではなく、本当に手がかりは「文字」だけになってしまいます。
そんなわけもあってか、メールだけではお互いがわからず、うまくいかない仕事もあったりしたのに、実際に会ったことでうまくコミュニケーションでき、そこから仕事がスムーズに運ぶようになったことが何度もありました(一度お互いに理解しあったので、その後はメールのやり取りになっても、行間から相手のことを理解できるようになったのでしょうか?)
日本でも、座席の離れた同僚とメールと内線電話だけでやり取りをするという人がいたりますが、頻繁に話す機会を作ってお互いに理解しあうということもビジネスを円滑に進めるのに役立ちそうですね。
そうそう、余談なのですが、以前在籍していた会社にIさんという、40代前半の独身男性がいまして、彼は出張でKellyという同僚に初めて会うこととなりました。普段は電子メールのやり取りしかしてないので、Iさんはワクワク。Kellyのために、お土産ということでキティちゃんのボールペンを買って、楽しみにしていました。
そして帰国後、Iさんの元気がありません。話を聞いてみると、なんとKellyはデイブ・スペクター氏にそっくりな男性だったとのこと・・・そうです、電話では話していなかったので、男性だとは知らなかったのです。
同僚に会う前は、事前に電話でも話しておいたほうがいいかもしれませんね(笑)。