オルタナティブ・ブログ > ナレッジ!?情報共有・・・永遠の課題への挑戦 >

エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

若手営業員の育成の為の営業プロセス管理

»

 ながながと若手営業員の育成ニーズやそれらへの対処法を書いてきたが、いちおうこれで最終回。営業員に必要なナレッジの最後は「営業プロセスに関するナレッジ」である。これは営業として今何をすべきか、次は何が起きるかを察知、把握、コントロールしながら先回りして動いていくそういう力である。これも従来OJTでしか教育できないとされていた。しかし、最近CRMベンダーなどが営業プロセス管理としてこの分野のナレッジ強化を強く意識したシステムを提供し始めている。

 実際営業プロセス管理を取り入れるというのは最近のはやりである。この分野では昨年ORACLEに買収されたCRMの雄であるSiebelのパイプラインマネジメントが有名だ。パイプラインマネジメントはそのまま「営業漏斗」とも訳されるが、これは営業プロセスの進展に伴って見込み顧客別の案件が徐々に振り落とされつつ最後は成約に至る流れを漏斗によって水が濾過されるような動きに模示したものである。
 実のところ私がこれまで話をしてきた限りでは日本の企業においては、営業案件をA,B,Cといった受注確度別に管理する事こそ主流だが営業プロセスまで管理している企業は少ないようである。
 
 営業プロセス管理においては、各営業案件を引き合いの段階から成約の段階までをいくつかのプロセスに分割して、各営業員に各案件が今どこの段階に来ているかを逐次報告をさせる。こうしたマネジメントを行うメリットにはいくつかあるが、少なくとも営業工作の段階を標準化して順序立てれば若手営業員にとっては次に何をすればよいかが明示されることになり教育効果は大きい。営業プロセスをきちんと定義してその順番と各段階で顧客から聞き出すこと、顧客に提供すべき情報(あるいは提供すべき資料のひな形)を明示しておけば、顧客が具体的に製品/サービスの比較選定に入った段階でニーズを改めて聞いて後戻りしてしまったり、営業初期の段階で製品/サービス資料から他社比較の資料まで全てを顧客に渡してしまって、次に訪問する口実がなくなると言った素人同然のミスを減らすことができる。
 それでなくても、若手営業員は日々の業務で次に何を行えば良いか迷うことは多いはずだ。その都度先輩営業員に聞くというのは限界がある。CRMパッケージなどで営業プロセス管理を行って日報入力時に次のステップで行うべき事やその時点で押さえておくべき情報をシステムで教育する事は、自分も案件を持っていて忙しい先輩には便利な機能だろう。

 さて、営業プロセス管理を行うには、当然のことであるが自社の営業プロセスを定義する作業が必ず必要になる。自社の製品/サービスの営業プロセスをきちんと分析して棚卸ししてみることは、なぜ自社の製品/サービスが売れているかという競争力を明らかにする意味でも効果がある有意義な作業である。しかしこの作業はかなり難しい。少なくともCRMパッケージベンダーはこういった営業プロセスについては実はほとんどノウハウを持っていない。
 営業プロセスの定義は基本的には、実際のベテラン営業員からのヒアリングから行っていくが、私の過去何度かの経験からするとこのヒアリング対象の営業員は、会社の中のトップセールスマンではなく2番手くらいの営業員の人としたほうが良いようだ。彼らから営業のやり方を聞いてそれをベースに他の大多数の人の話を加味して標準化するのが良い。どの会社でもそうなのだがトップセールスマンを始めとして一部の営業員には、「彼(彼女)だから出来る営業」という部分があってそれは他の人に真似できない。トップセールスマンの方々はえてしてこのスキルが強すぎて参考にならなかったりする。
 で、最終的に標準化する営業プロセスは細かく区切れば区切るほど良いというものではない。あまり細かく切りすぎると管理が大変になるし、プロセスを逆流する変な動きをする案件が増えてしまったりする。以下の図は、私が過去に文献から拾った各社の営業プロセスの切り方の例である。このまま使える例は少ないと思うので、もし自社の営業プロセスを定義したい場合は、その分野にノウハウと実績のあるコンサルタントにアドバイスを受けたほうがよいだろう。

Pipeline

 繰り返しになるが、営業プロセスの標準化と各段階における作業内容や顧客からの摂取情報、あるい顧客に提供すべき情報(あるいは提供すべき資料のひな形)を明示することは、若手営業員の早期育成には効果が大きい。今後も新卒で営業員を多数採用する予定のある企業であれば是非一度検討してみると良い。

===当ブログ内の過去の関連エントリー

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する