良い働き方改革、悪い働き方改革
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以前に「こんな働き方改革は嫌だ!「働かせ方改革」なんて言われないために」や「「働き方改革」と一言でいうけれども」なんて記事を書いた。その後も新聞やネットのニュースで、今流行りの働き方改革の事例を見かけるたびに自前の「働き方改革実践手法百選」にピップアップしながら中身を吟味している。そして本日日経新聞朝刊の私見卓見のコーナーに「働かせ方改革では続かず」というタイトルで寄稿したものが掲載された。
個人的には「働き方改革」とは、従来の無駄や冗長なやり方を見直して業務の効率化を図りそれによって得た時間を各個人が自分の使いたいように使えるようになること、あるいは社員の負担を増やすこと無く企業側が制度や手段を提供して社員に多様な選択肢を提供すること、だと捉えている。
したがって前述したニュースや記事に出てくる企業のいろいろな取組みについては、その都度この定義に沿って私の主観で良い働き方改革と悪い働き方改革に分類もしている。以下、その分類の一部を紹介する。
私が良い働き方改革だと思っているもの。
- 半日休暇や時間単位の休暇を取れる制度を導入する~社員側の選択肢が増えるので良い
- モバイル機器の配布やサードプレイスオフィスを会社から提供する~これも選択肢が増えるので良い取り組み
- 文書作成ソフトを統一する~文書フォーマットの変換作業という低付加価値作業が削減されるので十分に良い働き方改革だと思う
- 社用車を使っての子供の送迎等を解禁する~営業担当者などは相手もあり移動も多くなるのでこういう細かいところでの改善も見逃せない
- 在宅勤務制度の導入~強制や対象業務の特性を考えずに行うのでなければ良い
微妙だなと思うもの
- 強制的に在宅勤務をさせる~週1日は必ずとか課長以上は全員とかいうのは、かえって選択肢を狭めておりイマイチ
- タイムカードを再導入して正確な勤務時間を把握する~タイムカードの打刻時刻をそのまま勤務時間として就業管理や給与計算につなげるのなら良い働き方改革だが、タイムカードと別に申請させ両者の時刻をチェックしたりするのであれば、余計な仕事が増えているだけなのでそれは改悪
それは、働き方改革ではなく働かせ方改革(むしろ改悪)だと思うもの
- 残業する時は黄色い服を着させて目立つようにする~どうして一生懸命仕事している人を晒し者にするのか、甚だ疑問。服を着る手間も無駄
- 時間まで部長や課長が居残り、残業をしている部下に声を掛ける~単に「早く帰れよ」というだけなら不要で、むしろその分の人件費が無駄。先輩として手伝ったり指示を出したり、要員や体制を見直すなど残業の原因への根本的対処ができないなら意味がない
- 働き方改革の検討WGを作り、やり方を議論する~議論した結果を行動に移せれば意味があるが、多くの場合会議に終止して、イザ実行となると「権限がない」「取引先が納得しない」などを言い訳して何もやらないなら会議時間X人数分が無駄なだけ
あと、働き方改革への取り組み方としてトップ自らが引っ張って行った場合や現場の社員から積み上げ的に取り組んだ場合は良い働き方改革になりやすいように思う。時々見かけるのは人事部や総務部が上から言われてしかたなくアリバイ作りにやっている働き方改革。これがしばしば働かせ方改革になっているのではないかとにらんでいる。
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