若手営業員の育成ニーズ~その1
先日、最近の大企業でのニーズとして「社内情報連絡の改善」という話をしたが、もうひとつ最近、顧客先を回っていて、よく相談されるテーマのひとつが「若手営業員の早期育成/戦力化」だ。このところの景気回復に伴い新卒の大量採用が続いており、この大量採用された若手をどう戦力化するかに今多くの大企業が頭を悩ませている。
そもそもこういった大量採用になったのは昨年や今年からで、その前の数年間は大企業は徹底的に新卒採用を絞っていた。その結果、企業によっては営業員の3割が入社3年目以内というような状況になっている。人手不足を解消するためにとりあえず大量の新人を雇用したのだが今度は教育する手が足りなくて困っているという話のようだ。まあ、ただ困っているだけではどうしようもないのでここはまさに頭の使いようというところである。
さて、素人同然の新卒の新入社員を育てていくには、経験をさせるというOJTと知識を覚えさせるという研修の2つのやり方があるが、どちらも最終的には、これまで組織や先輩営業員に蓄積されてきたナレッジ(ノウハウやスキル)を新人に伝承させるという面では同じだと思う。
で、この若手営業員に足りないというか伝承すべきナレッジだがいくつかに分けて考えたほうがよいと考えている。私の場合、過去の経験を元に営業員の持つナレッジをおおむね以下の5つに分類している。
1.商品/サービス自体に関するナレッジ
商品/サービスの諸元や特徴。売り込みポイントといったまさに基本の知識。この中には当然競合する他社製品との比較ポイントや差別化の為の説明の仕方なども含まれる。
2.業務プロセス処理に関する知識
自分の会社の中での動き方や業務の処理手順に関する知識。見積もりを顧客に提示するときの手順だとか契約書の条文のチェックに仕方から受注伝票のシステムへの入力や請求書の印刷といったシステムの使い方も含まれる。
3.顧客に関するナレッジ
相手先の企業のおかれている状況や問題意識、ニーズなどに関する知識や顧客の即する業界の動きや顧客のライバル企業の動きなどから顧客に影響する事象を気づく力など。
4.マーケット自体に関するナレッジ
自社やその製品/サービスの置かれた市場全体の状況に関する知識。拡大方向なのか縮小傾向なのかとか、マーケット全体で流行しているキーワードや動きといったそういった知識。
5.営業プロセスに関するナレッジ
営業という仕事として今何をすべきか、次は何が起きるかを察知、把握、コントロールする力。商談の初期段階で意思決定者は誰かを聞いておくとか、担当者の同意が得られた時点でクロージングのために部長に会うようにし向けるとかそういう手順的なノウハウ。
一般的によく言われる「コミュニケーション能力」や「文章力」「プレゼンテーション力」というのも営業員には必ず必要だが、こういった基本スキルを個別に捉えるのではなく、これらは上記の5つのそれぞれのベースの部分を構成するスキルだと捉えたほうが良いのではないかと、私は考えている。
で、私の専門のナレッジマネジメントではこの5つのナレッジをシステム(ITとそれ以外を混合した仕組み)で支援して若手営業員の育成支援を行うわけだが、とうぜんこの5つのどれを重点的に若手営業員に身につけされるかでアプローチは違ってくる。(続く、たぶん)