IBMのコンピューターがクイズ王に勝つことに何の意味があるのか?
米IBMのコンピューターがアメリカの人気クイズ番組「ジョパディ!」で2月にクイズ王と対戦することになった。
学校の教科書にものっているが、1997年にチェスの世界チャンピオンと対戦して以来の話題の大勝負となる。
この挑戦がIBMから発表されたのは、2年前の4月である。
IBM、米国の人気クイズ番組「ジョパディ!」にチャレンジするコンピューターを開発中
http://www-06.ibm.com/jp/press/2009/04/2801.html
そして、昨年12月に、
IBMのコンピューター・システム「ワトソン」がジョパディ!に挑戦
http://www-06.ibm.com/jp/press/2010/12/1702.html
と番組の予選テスト合格して、出場資格を得たことを伝えている。
IBMの公式な意見は上記リンク先を見てもらうとして、
IBMがなぜ、こんなことをやるのかを考えてみた。(くれぐれも、IBMの見解ではない)
1.IBMの最高峰の技術者たちの「純粋に技術に挑戦したい」というモチベーションを満足させる
技術者たちは、単にビジネスとして技術を極めるだけでなく、純粋に先端技術に挑戦したいと言う願望を持っている。これらの挑戦により、人間という最先端 に挑戦するという欲求を満足させ、若い優秀な技術者たちにIBMに入りたいと思ってもらえる存在になりえるのではないだろうか
2.テクノロジーリーダーとしてのIBMのブランドイメージを高めること
最近は、アイディアと比較的短期に実現できる技術でビジネスを成功させることに目が行きがちだが、10年、100年会社が生き残るためには、ベーステクノロジーのリーダーとしてのIBMの姿勢を見せる必要があるのではないだろうか。
高速、大容量だけでなく、自然語解析やヒントに含まれるジョークや皮肉、駄洒落など、人間が持つ複雑な関係性を解き、完全な正解がない中で決断するアーキテクチャーは今後100年間の重要な基礎技術になるはずだ。
3.遊び心と自由闊達な企業風土
技術、ビジネスのプレゼンや日々の仕事においても、「遊び心」を許すことが、自由闊達な企業風土を作ると考えている。
もちろん、日々、ロジカルにビジネスライクに仕事をしているからここそ、「遊び心」によるコミュニケーション向上、新しい発想、アイディアを実行してイノベーションを実現することに役立つのではないだろうか。
他社とのベンチマークではなく、人気テレビ番組で人間に勝負するという遊びごころは、自由闊達な企業風土を維持することには重要だろう。
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さて、クイズ王への挑戦だが、
「知能に関することならコンピューターが万能」のはずで、当然コンピューターが勝つと思っている人が多いようだが、
コンピューターは万能ではなく、必死になって巨額を投じなければ知識の分野でも、まだ、簡単には人間に勝てないことを証明しているのではないだろうか。
IBMのパルミサーノ会長が、今回の挑戦で「決断ということの本質を煮詰めれば、それは膨大な量のデータからパターンを識別し、選択肢をより分け、迅速に正確に答えることだ。、、、」
と言っているが、これは、これからのコンピューターのみならず、私たち人間にも求められる重要な能力のように感じられた。
ところで、、、、
これを応用して、エンドユーザー部門や経営者が口頭で、システムの仕様を言ったら、それに基づいてプログラミングしてくれるようなシステムが作れないものだろうか? もちろん、経営者の比喩やジョーク、あいまいな指示も加味しながら、、、。
*”ジューク”を”ジョーク”に修正。17,Jan,2011
<参考記事>
IBM supercomputer wins first Jeopardy dust up (Computer World)
IBMのコンピュータ「Watson」、テレビでクイズ王と対決 (ITmedia News)