私の名前は「賢治郎 吉田」ではない。~英語圏での姓、名の逆転とディレクトリ
中学生のころ、英語を教わって以来、私は自分の名前を外人に説明するときは、
「マイ、ネームイズ、ケンジロウ、ヨシダ」「アイム、ケンジロウ、ヨシダ」
と、姓名を逆転させて言うように教えられてきた。また、
「ファーストネームには、後ろの名前、ラストネームには最初の苗字になります」
などと言われ、最初が後ろで、後ろが前と変換しながら書いたものだ。
なぜ、そうするかを考えることもなく、教わったとおりに、そして、その方が、ちょっとカッコイイかなとも思っていた。
<”賢治郎 吉田”と表示されるシステム>
初めて疑問を感じたのは、ロータス社で「Quick Place」という商品のデモの準備をしてもらった時である。
作ってくれたデモ環境の事前レビューをするときに、英語の名前に混じって、様々な場所に
”賢治郎 吉田”
と表示がされていたのだ。
「これ、おかしいだろ~。逆に表示されてるよ。」
と言ってみたが、一生懸命このデモ環境を用意してくれた者から
「じゃあ、英語で”kenjiro yoshida"としておきましょうか?」
とのことだった。(Lotus Notes / DominoのDJXは素晴らしい)
確かに英語にしておくと違和感はないが、日本のお客様に提供するのであれば、当然ながら「名前」という極めて大切な情報は日本語にするべきだと思った。 日本語で”賢治郎 吉田”といたるところに表示されているのも気分が悪い。
なぜ登録したまま表示しないのかと聞いたが、
元のシステムが”名、姓”で表示するようにできているという回答だった。
Outlook Expressのアドレス帳も名、姓で表示されていた。 iphoneやGoogleでもパソコンと同期をとるとこれらの姓名逆転になるものがいまでもあるが、
”日本人の名前は、英語表記では逆になる”
という常識が邪魔しているようだ。
私としては「Kenjiro Yoshida」は許せるが、「賢治郎 吉田」と表示されると非常に気分が悪い。グローバル対応とか海外では”名、姓”だと言われても、まったく納得ができなかった。
<自分の名前の英語表記は「姓、名」そのまま使おう!>
そもそも、なぜ、英語表記をわざわざ姓名を逆転させて言ったり、書いたりするのだろう。
1バイト圏のみならず中国や韓国の人たちも、日本に来て自分のことを紹介するときには、姓名を逆転させていない人が多い。
もちろん、「名、姓で統一する」と決まっている場(スポーツの試合や会合の名札)などでは、その通り表記されているが。口頭で自己紹介する場合は自国の並び順で話す人が多い。
実際、テレビに出ている人も
「私はデップ・ジョニーです」 「レノン・ジョン」
「スペクター・ディブ」 「ヨンジュン・ペ」
とは、紹介されていない。(まったくないわけではないが、、)
どの国も、その国での並び順そのままで、自己紹介し、署名すれば何の問題もないでわないか。
さて、今の若者はどう考えているのかと思い、女子大生の娘たちに聴いてみたところ
「お父さん考えすぎ。 どっちでも、いいんじゃない。自分が納得できれば。学校でもどっちでもいいって習ったし。 私は名、姓で書くけど、こだわってるわけじゃない。外国の人もこだわってないと思うよ」
との答えが返ってきた。
なるほど。若い人たちは柔軟でよろしい。 私も基本は「Yoshida Kenjiro」として、なんとなく逆転したほうが受け入れられそうな時は、あまり、こだわらずに逆転させたいと思った。
ところで、システムのディレクトリはどうするか。
ITmediaのブロガーの皆様、ご意見、解決策をいただけないだろうか。
何が論点かわからない? 確かに私もわからなくなってきた。
そう、何しろシステムに「賢治郎 吉田」とならないようにしてほしいのだ。
<ブログや掲示板での意見と私の意見> (”→”が私の見解)
・名、姓表記の国の人のために、日本人の名前もそれに合わせるべき。
→ アメリカ人に聞いてみたが、わざわざ順序を変えても、アメリカ人のためにはならない。
単にそういう名前だと思うだけだそうです。
→ 日本だけでなく、ヨーロッパやアジアにも姓名の国はあるので、見る人に合わせて姓名を逆転するシステムを作るのは、かなりの手間になりそうです。ITの面からも、国ごとの姓名テーブルを用意するのではなく、本来の順番で統一すべきだと思います。
・姓、名で自己紹介すると「どちらが姓ですか?」と聞かれて面倒
→ 多分、その人は名、姓で自己紹介しても、「どちらが姓ですか?」と聞くのではないでしょうか。
・どちらが姓で、どちらが名かを間違って覚えらてしまう
→ 特にアメリカでは、正式文書で間違わない限りは、どちらが姓でどちらが名なのかをこだわる人は少ないようです。また、アメリカ人でも"姓,名"という言い方、書き方をする場合もあります。
<参考>
文部科学省 「国際化に伴うその他の日本語の問題」 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/12/kokugo/toushin/001217d.htm