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社内SNSのコミュニティは癒しの場で終わらせず「イニシアチブ」へ発展させろ - 社内SNSを価値あるものへ

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 日本の企業ではあまり馴染がないだろうが、欧米の経営者やマネージャーが、企業文化の変革、リエンジニアリング、画期的な商品・新ビジネスモデル・事業の立ち上げ、全社にまたがるプロセスや取引先とのバリューチェーンの改革を行うときに「イニシアチブ」を立ち上げることが多い。

 また、ITの先進技術や環境、ボランティアの分野、経済政策の分野でも多くのイニシアチブがはしっている。 日本のボランティア活動だと、骨髄バンクを作るために、一般のボランティアが東奔西走し、省庁まで説得した活動はまさしくイニシアチブといえる。

<イニシアチブとは>

 イニシアチブとは、一般に、

・今までになかった革新的な新時代のビジョンへのチャレンジ

・根本的な問題の改革

・先進的、革新的な技術

・理念の明確化、政策提案、啓蒙

・先進技術やボランティア活動、パラダイムシフトを起こすような研究テーマ

の推進の為に、組織や役所に関係なく志を一つにした人が集まり、指導力を発揮していく推進チーム・機関、または、志を一つにした人たちが作った影響力のある、イノベーティブな提案・提言、戦略・施策、啓蒙・推進活動のことを指す。

 これらに従い、これらのリーダーシップに従って全員で改革を実現して欲しい(命令ではない)という意味合いから、○○○・イニシアチブと名づけるのだ。

 IBM崩壊の危機を救ったガースナーが6つのコアイニシアチブと5つの実行イニシアチブを立ち上げて、V字回復を果たしたのは有名な話である。 トップダウンでやらせても企業文化は変らないため、委員会やプロジェクトチームを使わずにイニシアチブという手段を使ったのだ。

 私も2月に二つのイニシアチブを立ち上げたが、IBMの中では、その人のポジションや本来の仕事の内容に関係なく様々なイノベーションのために、部門横断のメンバーによるイニシアチブが走っている。

<イニシアチブ・チームの活動>

 イニシアチブチームは、

・大きな権限を持って命令することはできない。ビジョン、目標、成功のイメージを伝え、共感してもらい、協力者を増やしていく。

・業務そのものの実行部隊ではない。 例えば、営業とマーケティングの横断的なプロセス、スキームを変える場合、イニシアチブチームメンバーは、営業そのものやマーケティング活動そのものは行わない。

・実際の業務を行っている社員が、それを実行できるように障壁や他の部門、経営者層の理解と協力を得られるように上申、調整を行う。

 そして、業務の現場での活動が開始されると、それぞれの部門や部門横断で多くのプロジェクトチームが作られて実行されていく。 イニシアチブメンバーはそれらのプロジェクトチームが動きやすいような環境を作り上げていくのだ。

<コミュニティを癒しの場で終わらせずイニシアチブへ>

 さて、企業内SNSとブログのUSとフランスの最新の成功事例の中として共通していたのが、SNSのコミュニティを単に会社に対する不満のはけ口にしたり、経営者やマネージャを糾弾する裏組織のようにならず、経営者から価値が認められるイニシアチブに発展させている事だった。

 最初は不満を言い合うだけでもいいのだが、ある段階から同じ志を持つ人をコミュニティに引き入れ、その中でリーダーシップを取れる社員がリーダーとなって、不満、問題、課題を提言・解決する推進チームに変えていくことが重要なのだ。

 社内SNSのコミュニティの中から、会社の様々な活動を前向きで、柔軟で、効率的、活発で効果的なものに変革させていくイニシアチブが次々と立ち上がれば、経営者は社内SNSがROIが高いものとして認めるだろう。

 何度でも言うが、

 単に要求を経営者層につきつけて「なんでやらないんだ、とにかくやれ!」というのでは、イニシアチブとは言わない。 理路整然と論理的に、しかし、正しい前向きな情熱を持って、経営者、関係者に共感をもっていただき、その推進に何らかの役割を果たせる人をInvolveしていく活動を行わなければならない。

 以前、本ブログで書いた企業内SNS/ブログはマイノリティが牽引での活動例も典型的なイニシアチブではないだろうか。

 日本企業が、世界で競争力のある企業になるために、そして長期で見た自分の収入向上のためにも、ぜひ、コミュニティのイニシアチブ化を推進して欲しいものだ。

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