「世界一有名なコーヒーポット」から15年
NTT Communicationsから「るす番モニター」という商品(サービス)が登場した。 月々315円で自宅の様子や部屋の中のペット様子などを会社から見られるというものだ。
Webカメラで映し出される画像や映像をWeb配信することは昔から行われており、塾やスイミングスクール、幼稚園・保育園などの様子が、会社からも見られるということで好評を博している。 今回の「るす番モニター」の凄いのはその安さだろう。 家庭に限らず様々な場面で利用されることを期待したい。
さて、これらの元祖が15、6年前に話題になった「世界一有名なコーヒーポット」である。 イギリス ケンブリッジ大学のコンピュータ研究室にあるコーヒーメーカー(The Trojan Room Coffee Machine)のコーヒーの残量画像をWebサイトからインターネットを通じて、ほぼリアルタイムに世界に配信していたものである。
これは、大学の研究員がコーヒーを飲むためにポットのところに行ったら、コーヒーがたまっていなかったということが何回かあったことから、冗談半分にWebに接続したカメラを設置したものであった。
パソコン通信など無手順TTY、VT100による文字ベースに慣れていた私たちは、地球の裏側で起きていることが画像でリアルタイムで見られることに、新しい時代の到来を感じた。
世界中の人たちが
コーヒーメーカーに残ったコーヒーの残量を、意味もなくチェックしていたのだ。 このコーヒーメーカーは、インターネットが市民権を得ることに少なからず寄与したのではないだろうか。
これをまねて、様々な画像がWeb上で公開された。金魚鉢、ビルの建設現場、富士山、街の通り、チケット販売所の待ち行列、などなど。
私が以前いた会社でも、会議室から、眼下の首都高を写して、渋滞状況がWebから見られるようにしたことがあった。
ビジネス分野では、CUSeeMe(マクニカ社)というWebカメラ付リアルタイムWeb会議システムが登場し、インテルもProshareというINS64対応のWeb会議システムを出して、少しずつカメラ&Webの応用製品が出てきた。
最近では、私のところでもSametimeが音声、動画、ウインドウ共有などが可能なUnified Communicationとして製品化されている。 様々な企業で、このような商品、サービスが少しづつ普及していくのだろ。
さて、「世界一有名なコーヒーポット」であるが、大学移転に伴い残念ながら2001年の夏にオークションで売られてしまった。 コーヒーポットの電源が外されようとしている最後の画像がこちらに残っている。 http://www.cl.cam.ac.uk/tmp/xvcoffee.jpeg
しかし、それまでの10年間に数百万人がこのポットを見たと言われている。 これから派生して世界中の様々な景色をWebからリアルタイムに提供するサービスが立ち上がったが、そのいくつかは今でも残っている。
これらが、Google EarthやMAPとマッシュアップされるようになる日も近いだろう。
<世界の景色をリアルタイムに配信しているサイト>
世界の様々な場所の今の景色が見えるサイト。
Google EarthとWebカメラを組み合わせた表示
PyramidCam on Google Earth
東京の街の様子。 カメラを動かすここともできる。