タバコ部屋時代より以前も生きたコミュニティがあった
「実践!SixDegree」で「タバコ部屋以前って・・・?」という面白い視点の記事があったので、当時を知るものとしてコラボってみたい。
「タバコ部屋」という話がSNSの効果の話で良く出るが、私は疑問を持っている。
タバコを吸わない人も様々な形でコミュニケーションをとってきたし、タバコをを吸う人が少ない懸命な今の若者にとっては「タバコ部屋は素晴らしかった」と昔のことを言われてもピンと来ないだろう。
そもそも、オフィスでタバコを吸えたり、タバコ部屋なんていう贅沢なものがあった時代を知らない人も多いのではないだろうか?
上田さんが書かれている「タバコ部屋以前って・・・?」を思い出してみると、以下のようなものがあったのではないか?
1.自席
机は今の1/3ぐらいの大きさしかなく、顔を上げれば、同じ部のメンバーも、技術メンバーも見えるので、管理職さえちゃんとしていれば、業務上の支障は感じなかったように思う。
2.お客様やセミナー
日頃付き合いのない他の部門よりも、社外のセミナーやお客様、取引先との顔をあわせた面談、そして、今よりも豊富だった雑誌、ビジネス本などから気づきをいただいていた。
3.上司や同僚、先輩、メンバーとの飲み会
コミュニケーションというよりは、幕末の志士になったつもりで、ほぼ毎晩議論。
仕上げは新宿、五反田へ。
4.昼食
女性は会議室で、男性はほか弁片手に自分の席でコミュニケーション。 誰かと話したいときは、誘って外食や社員食堂へ。
5.給茶室
事務女子(古い差別的呼び方だが)の聖域で、当時、給茶室が人事を決めると言われていた。それこそ、タバコ部屋のように。 昔は、営業から席に戻ってくると、お茶やコーヒーが出てきたのである。 今では、家でもありえない。
6.通路や階段ですれ違いざまに話し込む
承認や相談、報告、連絡など、フロア間の行き来が多かった。 たまたま、すれ違ったときに呼び止めて、立ち話をしている姿があちらこちらで見かけられた。
最近、日本人のこのような姿は減ったが、欧米人は、今でもホテルのロビーや、会社の通路でよく話している。
男子はトイレで小をしながら話すことも多かった。 短時間で効率がいい。
7.社員旅行
日頃、コミュニケーションのとれない、他の部門(営業であれば、技術や総務、秘書、受付、日比谷C&Cプラザ、サントピアの方など)の人も誘って一泊旅行。
ちなみに、今の私の妻(人事部勤務)とはじめて会ったのは部内旅行だった。
8.会社、部門の各種イベント
花見、バーベキュー大会(なぜ大会というのだろう)、会社の運動会、花火大会など、毎月のように何かがあった。 ちょっと今では考えられないが、仕事の後や、週末に行われた。 花見などは、新人が上野公園で平日の朝から場所取りをするようなことが行われていた。
9.会社のクラブ活動
今よりも、会社のクラブ活動が活発で部員も多かった。 私はテニス部の合宿によく参加していた。
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SNSのタバコ部屋のようなものが担っていたものは、以上のようなものだろうか? 15年以上前のことであり、今とはあらゆる環境が違っている。 それにしても、こうやって思い返して見ると、仕事以外、あるいは仕事と私事の境界がはっきりしない分野でのコミュニケーションの機会が、今では極端に少なくなっていると感じる。
欧米では、会社のコミュニティは希薄でも、家族、地域のコミュニティが機能しているところが多いから良いが、日本では、地域のコミュニティが機能していないところが多い。
しかし、昔は良かったと懐かしんでも何も改善しない。
それをSNSというITだけが担うのは荷が重いが、SNSをきっかけにオフラインでのコミュニケーションが活発になるのではれば、それはそれでとても有意義ではないかと、あらためて考えさせられた。