SOPA & PIPA
今、アメリカのインターネット業界を揺るがす2つの法案が、昨年10月に下院で提出されたSOPAと昨年5月に上院で提出されたPIPAである。
SOPAはStop Online Piracy Actの略、PIPAはProtect IP Actの略で、どちらも海外からの著作権侵害防止とアメリカの著作権保護をメインとしている。
海外のサイトが著作権を侵害していると判断されれば、司法省はその海外サイトの閉鎖をISP等に対し裁判命令として行うことが可能となる。 またGoogleやFacebookなどインターネット上でサービスを提供している企業は、これら違法サイトの広告を中止したり検索結果から外す必要も要求され、違反するとそれらの企業まで処罰対象となってしまう。
これらの法案は、ハリウッドを始めとする映画関連業界、音楽関連業界、メディア業界、商工会議所、ブランド企業など150以上の企業によって支持されている。一方、このSOPA/PIPAにより大きな影響を被るインターネット企業は大反対している。ちなみに、ドメイン登録大手のGo Daddyは、CEOがSOPAに賛成するコメントを発表したことにより、1日だけで21,000ドメインが他社にトランスファーしたほどである。(その後、Go Daddyは正式にSOPAに反対することを発表している。)
デジタル著作権侵害の問題を理解しつつも、イノベーションやオンラインセキュリティを脅かす恐れがあり、また雇用創出を抑制するということで、AOL、eBay、Facebook、Google、LinkeIn、Mozilla、Twitter、Yahoo、Zyngaは昨年11月に共同で法案反対レターを両院に提出しているが、反対企業はさらに一歩進んだ行動に出始めている。WIkipediaは英語サイトのサービスを1月18日24時間停止する発表をしており、またGoogleも同じく18日にホームページでSOPAに関してもっと知るためのサイトへのリンクを貼ったり、SOPAに反対する署名を受け付ける予定でいる。
SOPAは下院でまだまだ協議の時間が必要そうだが、PIPAは上院で来週の24日に賛否の投票が行われる予定でいる。
ところで、ホワイトハウスは先週末、"オンライン著作権侵害と戦うためのあらゆる努力は、合法的活動によるオンライン検閲のリスクに対して保護する必要があり、我々のダイナミックなビジネスによるイノベーションを阻害してはならない"、"我々は、新たなサイバーセキュリティリスクの創出や、インターネットの基盤となるアーキテクチャーを混乱させたりすることを避けなければならない"と発表し、両法案に反対の立場を示している。
第三次産業革命とも言われるインターネットを通して行われている多くのビジネスに及ぼす影響度を考慮すれば、例えそれぞれの法案が可決されても最終的には大統領が拒否権を発揮して署名しないことを願う。