人の話を聞いたなら、試してみて、ふり返る/それができなくなったら老害だと悟るべき
「入金できない。なんとかしろ!」
身なりの整ったご年配の男性が、ATMに設置された受話器に向かって叫んでいました。
「(お札が汚れているようなことはないですか?)*銀行員の質問。ここは想像です*」
「新札だし、汚れてなんかいない。」
程なくして、若い女性の行員が現れ、"入金できない"と言っていた新札を見て、次のように伝えていた。
「大きな油染みがあるようですね。これが原因だと思います。これではATMでは入金できませんので、窓口にお越し下さい。」
そう言われて、その老人は、「なんでこの程度でだめなんだ」や「新札だぞ」と行員に文句を言いながら、窓口に向かっていきました。
汚れているかどうかと言うのは、主観的なところもありますし、偽造防止の観点から、ATMが過敏に反応した可能性もあるでしょう。これについては、文句も言いたい気持ちもあるのかも知れません。一方で、感情を抑えきれず、怒鳴っている姿を見て、あんな風にはなりたくないなぁと思ってしまいました。応対した行員も気が重かったでしょう。しかし、なによりも、自分の感情を抑えられず、怒鳴り散らした当の本人こそが、1番嫌な想いをしたのではないでしょうか。
そんな事件の後に、94歳になる父親の食料の買い出しがてら、昼食をとるためにデニーズに向かいました。
父親「この煮込みハンバーグでいいで」
ここに来ると毎回「煮込みハンバーグ」を頼もうとします。
私「たまには、別のものを注文したらどう?」
父親「なんでもいいんや」
これもまた、いつもの通りです。そこで、おろしハンバーグと牡蠣フライのセットをすすめたところ、それでいいとなりました。
食事を終えて、本人曰く「美味しかったわ」と大満足でした。でもたぶんまた次回は、「煮込みハンバーグ」を頼もうとするのだろうなぁと思いました。
前述の怒り心頭のご老人も、私の父親もたぶん発想の自由度が、極めて小さいのでしょう。高齢になれば、このような傾向が増してくるのは、仕方のないことです。ただ、そのことを自覚しているかどうかの違いは、大きいかも知れません。
食事を終えた父親が、「いろいろと食べてみるのもいいものだ」ということを言っていましたが、そうやって自分の行為をふり返ることができるのは、自分の状況を理解しようとしている表れなのかも知れません。一方、ATM老人は、自分の状態だけではなく、まわりの反応などにも考えが及ばず、感情の赴くままに怒鳴ってしまうのかもしれません。
話しは飛躍するのですが、どうもIT界隈の経営者、特に中小企業の経営者にも、「自分の考えを変えられない」人が、いらっしゃるように思います。
「いい話しを聞きました。いろいろとやってみなくちゃ行けませんね。」
私が講演で、「これから起きるIT界隈の怖い話し」にこのような反応を頂くことはしばしばです。しばらくたってまたお目にかかり、その後のことを伺うと、「なかなか大変です。簡単にはいきませんよ」という答えが返ってきます。
ATM老人とは違い、社会性の高い人たちですから、このような穏便な表現になるのでしょう。しかし、自分のいまのやり方や価値観を変えようとしない態度は、同じように見えます。せめて、うちの父親程度に「人の話を聞いたなら、試してみて、ふり返る」程度のことができると、違う展開が開けるのかも知れません。あるいは、それが難しいと悟ったならば、後進に道を譲るというのもあるでしょう。私が知る限り、そういう決断をされた経営者の企業は、ますます元気になっているようです。
私も他人のことを老人呼ばわりできる歳ではありません。そろそろ覚悟が必要な年齢になりました。だからこそ、「人の話を聞いたなら、試してみて、ふり返る」態度は持ち続けなくちゃいけないと思っています。これができなくなったときこそ、老害なんでしょうね。
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