ITの観点から見たDXの「あるべき姿」
DXについては、本ブログで、これまで何度か解説をしてきました。改めて、整理すれば次のようになります。
デジタル前提の世の中に適応するために社会や会社を新しく作り変えること
アナログな時代に作られたビジネス・モデルや業務プロセスを大きく変えることなく、手段だけをデジタルに置き換えることではありません。デジタルが前提の世の中になったわけですから、アナログ時代のしがらみを捨てて、いまの時代にふさわしいやり方に再設計して、新しく作り直すことです。合わせて、このような考えを許容し、日常的に取り組む企業の文化や風土に変えることも伴います。
さて、このようなDXをITの観点から捉えると、次の2つの「あるべき姿」の実現を目指すことになります。
リアルタイム・フィードバック・ループを完成させること
かつて世界は予測可能な成長を前提として動き、日本は安定的な拡大を続けることで競争力を発揮してきました。ところが、21世紀に入る前後から、2001年の同時多発テロ事件やインターネット、スマートフォンの普及、グローバル化、新技術の急速な進歩などが複雑に絡み合い、未来予測は困難になりました。そんな、計画通りに物事を進めることが難しい不確実性の時代においては、企業は変化に即応できる「俊敏性」を獲得する必要に迫られています。
そのためには、現状をリアルタイムに捉え、直ちに最適解を導き対処して、改善を繰り返すことが、事業を存続させ、成長させるための基本動作となりました。ITは、この基本動作、すなわち「リアルタイム・フィードバック・ループ」を実現することが求められています。
この中核をなすのが、ERPシステムです。これを周辺から支える仕組みとして、IoTや業務プロセスの徹底したデジタル化、AIの活用などが有効な手段となります。
ビジネスをITの制約から解放すること
20年以上前のアナログ時代の業務手順を前提にしたレガシーシステムが未だ現役で稼働し、新たなことをやろうとする上で大きな障壁となっています。
そんな旧態依然のIT基盤は、最新テクノロジー活用や素早い環境適応を阻み、変化への俊敏性や競争力を削ぐ根本原因となっています。2018年に経済産業省が示したDXレポートでは、この状況を「2025年の崖」と表現し、老朽化したシステムが2025年以降の日本経済に深刻な影響を及ぼす可能性を指摘しています。
前節で述べたとおり、企業は変化に即応できる「俊敏性」を獲得する必要に迫られています。ITシステムは、過去の業務プロセスを前提に作られたシステムを解体し、この状況に対処できるアーキテクチャーやテクノロジーに「新しく作り変える」必要に迫れています。
そのためには、コンテナーやサーバーレス、マイクロサービス・アーキテクチャなどを前提にモジュール化されたシステムに作り変えなくてはなりません。また、アジャイル開発、DevOps、クラウドなどの「モダンIT」を活かして、新規と廃棄を高速に繰り返し、変化に俊敏に対処できるアダプティブ(adaptive/環境や状況に適応できる)な能力を獲得しなくてはなりません。
この2つの「あるべき姿」についての詳細を、今週は整理しようと思います。
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