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生成AI時代に淘汰されないための人間の武器は「質問力」

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ChatGPTが登場し、まもなく2年になろうとしています。これをきっかけとして、生成AIという言葉が、広く社会に定着し、その性能の向上とサービスの充実が、加速度を増しながら続いているのが、いまの現状です。

ChatGPTが登場した当初は、「流暢な表現でシラッとウソをつく/ハルシネーション(幻覚)」を理由に、使いものにならないと言われた時期もありました。しかし、様々な改善やノウハウの蓄積が、この問題を小さなものにしつつあります。

もちろん、LLMの動作原理を考えれば、ハルシネーションがなくなることはありません。しかし、これを少なくしたり、問題を回避したりするための努力が継続的に続けられており、ハルシネーションを理由に「使えない」というのは、もはや時代遅れになっています。

私も様々な生成AIサービスを使っていますが、ハルシネーションは意識しつつも、いまや仕事に欠かせない道具となっています。特に情報収集と整理には、とても威力を発揮しています。

最新情報を含めての「情報収集と整理」には、PerplexityGensparkを使っています。また、基本や基礎に関わる場合は、Chat GPT4-o1を使うことが最近は増えています。もちろんこれらを組み合わせることも少なくありません。

「情報収集と整理」に、これまで費やしていた時間は、相当なものです。これが極めて短時間でこなせることで、プレゼンテーション資料の筋立てやチャートの作成に、これまで以上に、時間を割くことができるようになりました。これまでの「あたりまえ」の基準というか、常識が、もはや過去のものになりました。

また、自分が不得手な領域で、このようなツールを使うことで、効率よく新しい知識を習得できるのも魅力です。そのとき、心がけていることは、「よく分からない」や「自分の理解していたことと違う回答」など、疑問に思ったことは、納得できるまで何度も質問を繰り返すことです。そして、そんな質疑応答を経た上で、「この質疑応答を踏まえ」改めて当初の質問に回答するように指示することです。

最新のツールは、「記憶」機能を持っていますので、質疑応答は全て記憶されています。ここでの回答を踏まえることで、"私にとって"理解しやすい説明をしてくれるようになります。まさに、自分選任の、しかも、高度な専門知識を持った家庭教師を持ったようなもので、学びの機会を広げ、高度な知識を効率よく学ぶツールとして重宝しています。

画像については、雰囲気を伝えれば良い程度のイラストを作成する道具であれば、なかなかいい感じに表現してくれます。最近は、Geminiに搭載されたImagen3をよく使います。

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Imagen3で描いたIoTのイラスト

しかし、内容に即した図表/インフォグラフィックスを作るという点では、まだまだの感は否めません。それでも、Napkinも頑張ってはいますが、定型的なイラストパターンに留まっており、きれいではあるのですが、うまく伝えきれません。それでも、急ぎのレポートの体裁を整えるには、十分なクオリティです。

スクリーンショット 2024-10-29 8.14.09.png

NAPKINの使用例

このようなツールを使うにあり、極めて重要なことは、「質問力」だということに、いまさらながら気付かされます。「何を知りたいのか」や「何を解決したいのか」を必要十分に言語化できる能力です。

例えば、「AI駆動開発」について、「情報収集と整理」をするとき、「AI駆動開発について説明せよ(参考:Perplexityの回答)」ではなく、次のように質問します。

AI駆動開発について、以下の観点でわかりやすく説明せよ。

  • AI駆動開発の定義や特徴。
  • AI駆動開発によって、システム開発のやり方がどのように変わるのか。
  • AI駆動開発の実行プロセス。
  • AI駆動開発によって、従来システム開発をSI事業者に委託していたユーザー企業にどのような行動変容が予測されるか。
  • 上記の結果として、SI事業者の事業収益にどのような影響が生じるのか。
  • SI事業者は、この変化に対処するために、何をすればいいのか。

参考:Perplexityの回答

両者を比べれば分かることですが、回答の拡がりや深さ、つまり「回答の質」がまるで違います。

出力された結果を読んで、さらに知りたいことや疑問に思ったことを質問すれば、さらにその知識を増やすことができ、自分のこれまでの知識との融合が効率よく進みます。

「質問力」が知識の蓄積を加速させるのは、なにも生成AIだけの話しではありません。本を読む、Webの記事を読む、講義や講演に参加するなど、なんらかの「知識を与えられる機会」があれば、それを鵜呑みにするのではなく、常に疑問を探しながらこれらに向きあうことが大切であることは言うまでもありません。

言葉に発するかどうかはともかくとして、疑問が湧かない、質問が出てこない、「よく分からないこと」が分からない、などだとすれば、生成AIを使いこなす以前の問題なのかもしれません。AI時代に淘汰されるかもしれないリスクを背負っているということです。

AI時代に淘汰されたくなければ、そんな現実を受け入れることから始めなくてはいけないかも知れません。表現を変えれば、「AIの性能が向上すれば、人間もまた性能を向上させなくてはならない」ということです。そんな人間の性能のひとつとして、「質問力」は重要です。

では、どうすればいいかについては、明日、考えます。

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