「新しいこと」は習慣の果実
変化の速い世の中で、「新しいことはわからなくて」ですまされないことは、昨日の記事でも述べたとおりです。ではどうすればいいのでしょうか。
一番大切なことは、「時間を作る」ことです。新しいことに限った話しではありませんが、情報を収集し、それを咀嚼し、自分の頭の中に収め、使える知識にするには、「まとまった時間」が必要です。この時間を確保するとです。
仕事の合間や移動の時間に情報を収集することも、「何を知りたいのか」を知るきっかけとして、とても役に立ちますが、使える知識にするには、1〜2時間程度の「まとまった時間」を作ることが、最も効果的でしょう。
私はこの時間を、毎朝仕事を始める前に作るようにしています。これは、新入社員の頃からの習慣ですから、もう40年以上続いています。
「仕事を始める前の早い時間」が、ポイントです。いまは、リモートワークや時差出勤も当たり前になりましたが、私が新人や若手の時代は、9:00出社が当たり前でした。そんなころに、毎朝7:30出社を心がけていました。
インターネットもスマホもなく、スタバもない時代ですから、落ち着いて「まとまった時間」をとれる場所は、早朝のオフィスしかありません。また、仕事を作ってくれる上司や先輩もその時間に来ていません。また、電子メールもない時代です〜、コミュニケーションの手段は電話だけ。この時間であれば、お客様からの電話に煩わされることもありません。完全に自分のための「まとまった時間」が確保できました。
昔はインターネットなどない時代でしたので、新聞や雑誌、製品マニュアルなどを読んでいたこともあります。その後インターネットが使えるようになり、ネット情報が情報収集源として大きな割合を占めるようになりましたが、その頃からの習慣は、いまも続いています。
この時間に何をするかは、その時々の興味や関心、必要に応じて変わってきました。ただ、この「まとまった時間」のおかけで、腰を落ち着けて、情報を収集し、使える知識に変えることができました。
面白そうだと気づき、抑えておきたい、調べておきたい、話せるようにしておきたい、わかりやすい資料にしておきたいなど、必要な情報を手に入れ、これを使える知識にするためには、このための時間が必ず必要です。
通勤や移動、休み時間などの合間の時間も「何を知りたいのか」を知るための情報収集の時間としては、とても有効ですが、ものごとをしっかりと理解して、使える知識に昇華するには、どうしてもまとまった時間が必要です。その理由は、「アウトプット」する必要があるからです。
移動中や隙間時間にスマホやパソコンで情報を逍遙することは当たり前にやっていますし、本や雑誌を読むことも日常です。オフィスへの通勤や八ヶ岳南麓(拙宅と8MATOがあります)との往復は自動車を使っていますので、そこでは、オーディオブックを聞いています。そうやって、情報を取り込むことは、新しい知識や気付きを得る上で、私にとっては、貴重な時間です。しかし、そうやって得た情報も使える知識にしなければ意味がありません。だから手書きし、文章化し、プレゼン資料を作り、それをブログに投稿するなどの、アウトプットをしています。
情報を収集して知ったつもりになっても、アウトプットできなければ、それはしょせん自己満足。もちろん自分の中に留めておくことに意味がないとは言いませんが、ビジネス力として使える知識にしたければ、アウトプットして自分や世間に晒し、評価をしなければ、品質は上がりません。自己満足に陥らないためにも、アウトプットは欠かせません。そのためにはどうしても、「まとまった時間」が必要なのです。
「毎朝早くから大変ですね、凄いですね、素晴らしいですね」
こういうご評価を頂くともありますが、これはまったく的を射ていません。まったく努力もしていないし、頑張ってもいないのです。これが当たり前の習慣になっているので、むしろできないことが、辛く残念で、ストレスになります。
考えて見てください。朝起きて歯を磨かなければ気持ちが悪い、出なくてもトイレに座らなければ落ち着かない。それと同じです。ただ、このような習慣を手に入れるためには、それなりの努力や頑張りは必要です。しかし、たかだか数ヶ月のはなし。ただ、この習慣を手に入れることができれば、一生の財産になることだけは、保証します。
「新しいこと」についての知識は、こういう習慣から結果として生みだされる果実です。どこのサイトを見れば書いてある、どの本を読めばいいという類のものではありません。
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2022年10月3日紙版発売
2022年9月30日電子版発売
斎藤昌義 著
A5判/384ページ
定価2,200円(本体2,000円+税10%)
ISBN 978-4-297-13054-1
目次
- 第1章 コロナ禍が加速した社会の変化とITトレンド
- 第2章 最新のITトレンドを理解するためのデジタルとITの基本
- 第3章 ビジネスに変革を迫るデジタル・トランスフォーメーション
- 第4章 DXを支えるITインフラストラクチャー
- 第5章 コンピューターの使い方の新しい常識となったクラウド・コンピューティング
- 第6章 デジタル前提の社会に適応するためのサイバー・セキュリティ
- 第7章 あらゆるものごとやできごとをデータでつなぐIoTと5G
- 第8章 複雑化する社会を理解し適応するためのAIとデータ・サイエンス
- 第9章 圧倒的なスピードが求められる開発と運用
- 第10章 いま注目しておきたいテクノロジー
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