新入社員向けの「最新のITトレンド研修」でITのことよりも大切にしていること
今日は、今年度最後の公開講座(3回目)になる新入社員研修「最新のITトレンドとこれからのビジネス」を実施します。多くの受講者が集まってくれました。公開講座以外にも企業個別の新入社員研修もあり、今年度の新入社員向けの研修受講者は1000名を超えました。
ここ数年の傾向として、IT関連企業以外からの受講者が増えています。少し前までは、ITのことはIT企業に任せればいいという空気もありましたが、ここ数年、特にコロナ禍以降、急速に変わった気がします。「ITの常識は社会人としてのリテラシー」という空気です。この傾向は、新入社員だけではなく、一般社員や管理職にもあります。
経営幹部むけの講義も増えてはいますが、こちらについては、いまひとつ盛り上がっていません。本来ならば、経営者にこそ伝えたいことなのですが、忙しいのか、あるいは、ITは、鉛筆や算盤の類であり、経営者が知らなくても構わないというような昔ながらの認識が残っているからなのかも知れません。
「ITは仕事や生活のための便利な道具」から「ITは仕事や生活を包括する仕組み」へとその役割を拡げてきました。私たちの日常や社会は、IT前提に様々な仕組みが再構築されています。そんな社会に適応して、業務の手順やビジネス・モデル、お客様との関係や働き方などもまた、IT前提に最適化すべく、作り変えてゆかなければ、お客様は離れてゆきますし、従業員は会社を去ってゆきます。そのための変革がDXであり、これは現場に任せる話しではなく、経営そのもののあり方を見直し、最高構築するレベルの取り組みであることは、言うまでもありません。
残念ながら、私にご依頼いだく研修の傾向から考えると、言葉では、「DX」を叫ぶものの、本音のところでは、「ITは便利な道具」程度にしか捉えていない経営者が、まだまだ多いのではないかと感じています。
さて、冒頭の新入社員研修「最新のITトレンドとこれからのビジネス」についてですが、この講義の中で、次のようなことを伝えようと心がけています。
- ITと私たちの日常やこれから関わるビジネスとの関係について
- ITの本質的な役割(例えば、ITは業務のプロセスを部品化し、変更や変化に迅速・柔軟に対応できる土台を作るために使われる、など)
- ITを武器として使いこなしてゆくためにはどうすればいいのか
当然ながら、「最新のITトレンド」についても語りますが、それは話に興味を持ってもらう、あるいは身近なこととして感じてもらうネタです。大切なことは、「ITがいまの、あるいはこれからの社会や日常、自分たちの仕事や事業をどのように変えてくのか」、「そのトレンドに、自分たちはどう向き合い、自分役割を見出し、成長させていけばいいのか」ということを理解してもらうことです。
もちろん、DXとは何か、生成AIとは何か、ブロックチェーンとは何かを説明しなければなりません。しかし、言葉を辞書のように解説しても、自分たちの日常や仕事、あるいは、会社や事業と結びつけて、イメージできなければ、自分事として受け止められません。そして、そのそれが自分の人生にどのような影響を与えるのかも知りたいところでしょう。
そのようなメッセージを「最新のITトレンド」の話しに埋め込んで伝えるようにしています。
実は、このような話しを新入社員にすると、流石にデジタル・ネイティブ世代ですから、とても素直に実感として受け止めてくれます。しかし、社会人キャリアが長い人、まもなく、そのキャリアの「あがり」を迎えようとする人たちは、異次元の世界の話しとして、スッと腹落ちしない人もいるようです。
まあ、これは仕方のないことです。だからこそ、いまを感じ取れない社会人キャリアが長い人たちは、そんな自分を、勇気を持って受け入れて、若い人の足を引っ張らないようにしなければなりません。そのためにも、彼らに「最新のITトレンド」を学んでもらい、腹落ちはしなくても「そういうものか」を知ってもらうことには意味があるような気がします(笑)。
さあ、まもなく講義が始まります。最後の準備をしなくてはね。
【募集開始】次期・ITソリューション塾・第44期
次期・ITソリューション塾・第44期(2023年10月4日[水]開講)の募集を始めました。
ChatGPTをはじめとした生成AIの登場により、1年も経たずにで、IT界隈の常識が一気に塗り替えられました。インターネットやスマートフォンの登場により、私たちの日常が大きく変わってしまったことに匹敵する、大きな変化の波が押し寄せています。ブロックチェーンやWeb3、メタバースといったテクノロジーと相まって、いま社会は大きな転換点を迎えています。
ITに関わる仕事をしているならば、このような変化の本質を正しく理解し、自分たちのビジネスに、あるいは、お客様の事業活動に、どのように使っていけばいいのかを語れなくてはなりません。
ITソリューション塾は、そんなITの最新トレンドを体系的に分かりやすくお伝えすることに留まらず、その背景や本質、ビジネスとの関係をわかりやすく解説し、どのように実践につなげればいいのかを考えます。
- SI事業者/ITベンダー企業にお勤めの皆さん
- ユーザー企業でIT活用やデジタル戦略に関わる皆さん
- デジタルを武器に事業の改革や新規開発に取り組もうとされている皆さん
- IT業界以外から、SI事業者/ITベンダー企業に転職された皆さん
- デジタル人材/DX人材の育成に関わられる皆さん
以上のような皆さんには、きっとお役に立つはずです。
詳しくはこちらをご覧下さい。
- 期間:2023年10月4日(水)〜最終回12月13日(水) 全10回+特別補講
- 時間:毎週(水曜日)18:30-20:30 の2時間
- 方法:オンライン(Zoom)
- 費用:90,000円(税込み99,000円)
- 内容:
- デジタルがもたらす社会の変化とDXの本質
- IT利用のあり方を変えるクラウド・コンピューティング
- これからのビジネス基盤となるIoTと5G
- 人間との新たな役割分担を模索するAI
- おさえておきたい注目のテクノロジー
- 変化に俊敏に対処するための開発と運用
- アジャイルの実践とアジャイルワーク
- クラウド/DevOps戦略の実践
- 経営のためのセキュリティの基礎と本質
- 総括・これからのITビジネス戦略
- 特別補講 *講師選任中*
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2022年10月3日紙版発売
2022年9月30日電子版発売
斎藤昌義 著
A5判/384ページ
定価2,200円(本体2,000円+税10%)
ISBN 978-4-297-13054-1
目次
- 第1章 コロナ禍が加速した社会の変化とITトレンド
- 第2章 最新のITトレンドを理解するためのデジタルとITの基本
- 第3章 ビジネスに変革を迫るデジタル・トランスフォーメーション
- 第4章 DXを支えるITインフラストラクチャー
- 第5章 コンピューターの使い方の新しい常識となったクラウド・コンピューティング
- 第6章 デジタル前提の社会に適応するためのサイバー・セキュリティ
- 第7章 あらゆるものごとやできごとをデータでつなぐIoTと5G
- 第8章 複雑化する社会を理解し適応するためのAIとデータ・サイエンス
- 第9章 圧倒的なスピードが求められる開発と運用
- 第10章 いま注目しておきたいテクノロジー
神社の杜のワーキング・プレイス 8MATO
8MATOのご紹介は、こちらをご覧下さい。