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新人社員が講義に集中できないのは講師の話がつまらないから

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「講義は楽しくなければいけない」

受講者の立場に立てば、当然のことです。長時間、人の話を聞かなくちゃいけないわけで、それを忍耐で乗り越えるというのは、無理があります。

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受講者が、居眠りしていると、「しっかりしなさい!背筋を伸ばして、集中して講師の話を聞きなさい!」なんていわれても、つまらない話しに集中するのは至難の業です。

「今年の新入社員は、集中力がないですね。目が死んでいますよ。居眠りしている連中も多い。学生気分が抜けないようですね。厳しく、やった方がいいですよ。」

先に講義を終えたベテラン講師が、私にアドバイスをしてくれました。

「あなたの話がつまらなかったからじゃありませんか?」

そんな言葉を呑み込んで苦笑いしながあら、頭を下げ、教室に向かいました。

講師がいない休み時間の受講生達は、とても元気でのびのびと同期連中との雑談を楽しんでいました。「目が死んでいる」のは、誰だろうかと探しも、見つけることはできませんでした。

私が、教壇に立ち、まずは動画を見せました。ある自動車会社が始めようとしている自動運転タクシーの実証実験の様子を映したものです。動画を見終えた後に次のような質問をしました。

「これを見て、おかしいなぁと思いませんか?」

「?????」

「だって、こんなサービスが、日本中で提供されるようになったら、自動車が売れなくなりますよね。自動車会社の仕事がなくなってしまいますよ。そんなことは分かっているはずなのに、自動車会社が、なぜ分で自分の首を絞めるようなサービスを始めようとしているのでしょうか。」

「?????」

掴みはOKです。彼らは興味津々で、その理由を知りたいと、目を輝かせます。

「テクノロジーの進化は、留まることはありません。車を持たなくても、持っているのと変わらない、生活ができるようになるでしょう。そうなれば、クルマを買わない人も増えるはずです。たとえ自動車会社がやらなくても、誰かが始めるに違いありません。ならば、自分たちが積極的に取り組んで、成功を収めたいと考えているわけです。」

「テクノロジーは、人々の生活を便利なものにしていきます。多くの人たちがこれを求めます。それに対処できなければ、企業の存続はありません。いまの自分たちのビジネスを破壊することになったとしても、やらなくてはならないのです。」

「テクノロジーの進化は、ユーザーにとっては、コスパや利便性の向上という恩恵をもたらす一方で、事業者にとっては、いままでのビジネスを作り変えなくてはならない状況生みだします。いままでは、ユーザーとして、その恩恵を享受してきた皆さんが、これからは、提供する側に替わるわけです。さあ、皆さんは、これから、どんなことができなくてはならないでしょうか。考えてみましょう。」

ここまでくると、かなり前のめりです。そして、いろいろとディスカッションをしてもらいます。ここまでくると、かなり前のめりです。そして、今日の講義で知りたいこと、いま自分が疑問に思っていることなども議論してもらい、ホワイトボードに書き出してもらいます。

講義の目標を自分で決めさせ、それをみんなで共有し、そこからも気付きが生まれ、さらに講義への関心が高まるわけです。

「目が死んでいる」なんてことはありません。むしろギラギラしています。

講師の仕事は、自分の頭の中にあるものを、受講者に伝える仕事です。そのためには、相手が、講師の話を「聞きたい」と思わせる演出が必要です。また、集中力を途切れさせないためには、受講者の自助努力に頼るのではなく、講師が、その状況を作り出さなくてはなりません。受講者に問いかけて、自分で考え、答えをつくらせ、「これ、正解かなぁ?」とわくわく感を持たせることが必要です。

滑ることが分かっているジョークを放つ、あえて「難しい話し」をする、自分の新入社員の頃の失敗談を暴露する、自分の想いを熱く語るなど、様々な演出を工夫して、講義を受講者にとってのエンターテイメントになるようにデザインすることが、大切なのだと思っています。

「講師」を生業として、お金を頂くわけですから、これは当たり前のことだと思います。そんな工夫を極めることに気力をなくしてしまったら、その時は、この仕事も終わりだなぁと、思う今日この頃です、

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最新ITトレンド研修

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【図解】コレ一枚でわかる最新ITトレンド 改装新訂4版

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2022年10月3日紙版発売
2022年9月30日電子版発売
斎藤昌義 著
A5判/384ページ
定価2,200円(本体2,000円+税10%)
ISBN 978-4-297-13054-1

目次

  • 第1章 コロナ禍が加速した社会の変化とITトレンド
  • 第2章 最新のITトレンドを理解するためのデジタルとITの基本
  • 第3章 ビジネスに変革を迫るデジタル・トランスフォーメーション
  • 第4章 DXを支えるITインフラストラクチャー
  • 第5章 コンピューターの使い方の新しい常識となったクラウド・コンピューティング
  • 第6章 デジタル前提の社会に適応するためのサイバー・セキュリティ
  • 第7章 あらゆるものごとやできごとをデータでつなぐIoTと5G
  • 第8章 複雑化する社会を理解し適応するためのAIとデータ・サイエンス
  • 第9章 圧倒的なスピードが求められる開発と運用
  • 第10章 いま注目しておきたいテクノロジー

神社の杜のワーキング・プレイス 8MATO

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八ヶ岳南麓・山梨県北杜市大泉町、標高1000mの広葉樹の森の中にコワーキングプレイスがオープンしました。WiFiや電源、文房具類など、働くための機材や備品、お茶やコーヒー、お茶菓子などを用意してお待ちしています。

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