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営業が抱える3つのしがらみを裁ち切らなければ客様に愛想を尽かされる

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AIの実用化に向けた取り組みがすすみつつあります。クラウドはもはや前提の時代を迎え、サービスの充実と多様化がすすみつつあります。ITには多様な選択肢が与えられ、その中から、お客様は自分たちにとって最適な手段を選択したいと考えていますが、それは容易なことではありません。だから営業は、そんなお客様の良き相談相手となって、お客様を正しい方向に導いてゆかなければなりません。それにもかかわらず、お客様に新たな選択肢を示すこともできず、これまで通りの御用聞きに留まっているようでは、お客様は誰に頼ればいいのでしょうか。

製品の情報を得ることや機能や性能の比較ならばChatGPTで簡単にできる時代です。もはや、お客様の課題や解決策の選択肢を絞り込めない営業は、営業活動全体の生産性を低下させる元凶であり、何もしないでいてくれた方が会社のためかもしれません。

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既存のやり方では実現できなかった劇的なコストの削減や生産性の向上、デジタル・ビジネス・モデルの積極的な展開、そのためのない勢力の強化をお客様は必要としています。このようなITの需要に応えるためには、営業が抱える3つのしがらみを断ち切らなければなりません。

「お客様からの要望に応える」というしがらみを裁ち切る

お客様はいまのテクノロジーで、これまでできなかったことがどのように解決できるかを知りません。そして、近い将来、どんなことができるようになるかも知りません。営業は、そんなITのトレンドを正しく理解し、お客様の良き相談相手となって、一緒になって解決策を創りあげてゆく必要があります。

実現にはエンジニアの力を借りなくてはなりませんが、お客様のあるべき姿をお客様と共に描き、そこに至る物語=戦略を組み立てる上での主導者は営業の役割です。

営業はお客様の3年後や5年後に責任を持たなければなりません。そのためには、お客様からの要望に応えるだけの「御用聞き」から脱却し、お客様の未来について自ら語り、お客様に夢を与え、その具体的な筋道を共に模索し描いてゆく「共創」によってお客様に関わっていく必要があります。

「情報システム部門一辺倒」のしがらみを裁ち切る

いま経営者や事業部門の方たちは、ITの必要性を感じながらも、その積極的な活用になかなか手が出せません。それは、ITについての知識不足、あるいは、難しくて分からないからと遠ざけるアレルギー症状が背景にありそうです。それ故、ITのことは専門家である情報システム部門に任せておけばいいと、自らの思考を停止し、彼らに押しつけてしまっているところがあります。

しかし、情報システム部門は新しいことをやっても評価されない組織であり、失敗のみが減点評価される組織文化の中で生きてきたことから、新たなIT活用については慎重です。ですから、リスクが高いのでやめた方がいいという結論を導く傾向にあります。安定稼働とコスト削減が徹底してすり込まれてきた彼らにとっては、ごく自然な結論です。

営業は、この状況を打開しなくてはなりません。そのためには、ITを知らない経営者や事業部門に、いまのITで何ができるのか、それがお客様のビジネスにどのような価値をもたらすのかをわかりやすく伝えなければなりません。そして、IT活用の主導権を彼らにとらせる必要があります。その上で、情報システム部門を支援し、その実現のために最大限の努力をするのです。

そんなお客様との関係を築き、IT活用のイニシアティブを握ることができなくてはなりません。

「調整役や仲介者」であるというしがらみを裁ち切る

クリエイターであり、シナリオライターとしての役割を担う必要があります。お客様のあるべき姿をともに創り出し、そこに行き着くシナリオを描かなくてはなりません。つまり、お客様の経営者や業務部門の人たちが、IT活用に魅力を感じ、自分たちにもできるとの確信を持たせる伝道師との役割を果たすことが必要です。

そのためには、自分の思想や戦略を持たなくてはなりませんし、お客様の経営や業務への関心も持つことです。そして、自分の意見をしっかりとぶつけ、積極的にお客様と対立し、お客様の根っ子にある課題を引きずり出す位の覚悟必要です。

お客様に新たな気付きを与え、お客様といっしょになって新たな取り組みを共創する。これからの営業にはそんな役割が期待されているのです。

従来の「営業」というしがらみから自ら裁ち切り、これからの「営業」を自ら再定義してはどうでしょう。それが、いまの自分が描く「営業」の常識から逸脱するにしても、結果として、数字が出れば御の字です。いや、そうしなければ、数字を出せない営業に落ちぶれてしまうことを覚悟すべきです。

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2022年10月3日紙版発売
2022年9月30日電子版発売
斎藤昌義 著
A5判/384ページ
定価2,200円(本体2,000円+税10%)
ISBN 978-4-297-13054-1

目次

  • 第1章 コロナ禍が加速した社会の変化とITトレンド
  • 第2章 最新のITトレンドを理解するためのデジタルとITの基本
  • 第3章 ビジネスに変革を迫るデジタル・トランスフォーメーション
  • 第4章 DXを支えるITインフラストラクチャー
  • 第5章 コンピューターの使い方の新しい常識となったクラウド・コンピューティング
  • 第6章 デジタル前提の社会に適応するためのサイバー・セキュリティ
  • 第7章 あらゆるものごとやできごとをデータでつなぐIoTと5G
  • 第8章 複雑化する社会を理解し適応するためのAIとデータ・サイエンス
  • 第9章 圧倒的なスピードが求められる開発と運用
  • 第10章 いま注目しておきたいテクノロジー
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