「情報の感度を高めたい」ならば、「知っていること」を増やすことだ。そうすれば、結果として情報の感度は高まる。
例えば、「ARM」という言葉を知らなければ、これに関連した情報も入ってこない。
- 普段使っているスマホに搭載されているプロセッサーのほぼ全てがARMであること
- スパコンの富岳に158,000個ものARMのプロセッサーが搭載されていること
- IoTのためのプロセッサーの多くがARMであること
- 最新のMac BookのプロセッサーがARMであること
- ARMの親会社がソフトバンクであること
このような知識は、ITに関わる仕事をしている人間ならば、知っていておかしくないはずなのに、「知らない」から、それに関わる情報が引っかからずに、情報が入らない。「知っていること」が少ないから情報の感度が低いままになってしまう。だから、「情報の感度を高めたい」ならば、「知っていること」を増やす必要がある。
「知っていること」を増やすために、いろいろな情報を広くむさぼるように集めようとするのは効率が悪いからやめておいたほうがいい。そのようなやり方では、実務に役立つことは少なく、なかなか定着しないからだ。むしろ、自分の専門を徹底して深めること。例えば、担当するお客様やその業界、自分たちの取り扱っている製品やその背景にある技術、その動向などである。そういう知識は、仕事の成果に結びつくので、習得するモチベーションが高まる。また、頭だけではなく、「仕事の成果」という体験を伴うので、定着も促される。
そんな自分の専門を深めようとすると、その周辺の知識を巻き込む必要に迫られる。例えば、地面に穴を掘るとき、深く掘れば掘るほどに、穴の周辺を拡げなくてはならないのと同じ話だ。浅い穴なら、それは狭くなる。
いろいろな情報を広く浅く集めるのではなく、自分の専門を徹底して深めることで、「知っていること」が増えていく。そういう穴をたくさん掘れば、結果として、「知っていること」が増え、それらがつながることで、新たな関係や構造が見えてくる。それが、新たな知識を獲得するためのショートカット回路を作り、「知っていること」を増やすスピードを加速する。
そんな知識は、アップデートされ続けなくてはならない。例えば、かつて「クラウド」とセットで登場する言葉は「仮想化」だった。しかし、いまは「コンテナ」であり「マイクロサービス」、あるいは「サーバーレス」といった言葉だろう。かつて、ブロックチェーンは「Bit Coin」や「仮想通貨」だったが、いまなら、「Web3」、「DAO」、「DeFi」、「NFT」だろう。
放っておくと、知識は腐る。もちろん腐っても役立たないわけではない。新しい知識を得るための肥やしとなるからだ。肥やしがなければ、新しい草木は、大きくは育たないのと同じだ。だから、知識はアップデートを繰り返し、過去の知識を肥やしにして、新たな知識を育ててゆくことが大切になる。また、そんなアップデートの過程を見ることで、物事が進む大きな流れの方向と強さ、すなわち「トレンドのベクトル」が見えてくる。それもまた、アップデートを繰り返すことの価値である。
アップデートしない知識は、腐臭を放ち、他の知識や考え方も腐らせてしまう。「老害」と言われる古い知識や価値観の押しつけも、知識のアップデートを怠った末路であろう。
営業の役割は、お客様を正しい方向を示し、お客様を成功に導くことだ、つまり、お客様の良き教師となることだ。そのために必要なのは知識であり、それを駆使してお客様の良き相談相手となることだ。
最近「共創」という言葉をよく目にするが、これを案件にするためには、知識を武器にしなければならない。つまり、業務の知識を持つお客様とITの知識を持つ営業が徹底して対話し、どうすればお客さまの価値を高められるかを探り、その方策を見出すこと。自ずとITの需要が生まれ、案件が生まれる。
また、エンジニアの価値や効率を高めるのも営業の知識は欠かせない。例えば、ある大手SI事業者で、エンジニアの稼働率が高すぎて提案活動に支障をきたしていることが問題になっていた。調べてみると、営業がお客様の話を理解できず、お客様からの話があれば直ぐにエンジニアを連れてゆくので、エンジニアの稼働率が上がっていることが分かった。また、行ってみるとそのエンジニアの専門外であったり、そもそも技術的な議論以前の話しであったりすることも多く、これが、エンジニアの稼働率を高め生産性を落としていることも分かった。知識がないのでお客様とまともに話ができない、ビジネス・チャンスをものにできない典型のような話しだ。
製品情報や技術情報の提供、見積や契約などの営業事務はネットが代替してくれるようになる。そこに営業の役割はなくなってゆく。営業は、お客様の成功のために持てる知識を駆使して、お客様の未来をデザインし、お客様ととことん語り合い、答えを一緒に作ることが役割となってゆくだろう。そうやって、事業の現場から、ITのニーズを引き出すことが営業の役割だ。
営業力の土台は知識力にある。プレゼンやトークのスキルは、そんな知識力を活かすためにひつようではあるが、それだけでは営業力にはならない。深い専門性に裏打ちされた幅広い知識こそが、営業力の根幹を支えることを忘れないようにしたいものだ。
DX疲れにうんざりしている。Web3の胡散臭さが鼻につく。
このような方もいらっしゃるかもしれませんね。では、伺いたいのですが、次の3つの問いに、あなたならどのように答えますか。
- DXとはこれまでのIT化/コンピューター化/デジタル化と何が違うのでしょうか。
- デジタル化やDXに使われる「デジタル」とは、ビジネスにとって、どのような役割を果たし、いかなる価値を生みだすのでしょうか。
- Web3の金融サービス(DeFi)で取引される金額はおよそ10兆円、国家が通貨として発行していないデジタル通貨は500兆円にも達し、日本のGDPと同じくらいの規模にまで膨らんでいます。なぜ、このような急激な変化が起きているのでしょうか。
言葉の背景にある現実や本質、ビジネスとの関係を理解しないままに、言葉だけで議論しようとするから、うんざりしたり、胡散臭く感じたりするのかもしれせん。
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