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【図解】コレ1枚でわかる変革の3段階:クルト・レヴィン

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社会心理学の父と言われるクルト・レヴィンは、変革を成功に導くには、従来のやり方や価値観を壊し(解凍)、それらを変化させ(変革)、新たな方法や価値観を構築する(再凍結)という3段階が必要だと述べています。

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第1段階:解凍(unfreezing

解凍とは、いままでのやり方では通用せず、変えていかなければ会社の経営は危機的状況に陥るという現状認識と危機感を共有し、新しい考え方、やり方によって改善していくといった雰囲気を醸成することです。既存の価値観や先入観を捨てて、新たな企業の文化や風土を作っていこうとの考えに従業員が合意し、新しい取り組みにむけた推進力を生みだすことです。

第2段階:変革(moving/移動)

変革の必要性が共有されたあとは、変革です。目指すべき改革の方向性や全体像を共有し、誰が、何を、いつまでに実行するかなどの具体的な実効策を定めます。さらに、変革の実行がどれだけの効果を生み出しているのかを検証し、試行錯誤を重ねながら、変革を進めてゆきます。

第3段階:再凍結(freezing

変革を起こせても、元に戻ってしまっては意味がありません。そこで、変革の成果を検証できた段階で、それを組織内に定着させ習慣化させます。そうすることで、組織内では変革後の状態が当たり前のものとして定着する、つまり新しい企業の風土や文化が根付きます。

社会環境が複雑性を増し、将来の予測が困難な状況となり、何か新しいことを始めなければと、多くの企業がもがいているように見えます。DXが世間を賑わすのも、同様の背景があるからでしょう。

ただ、クルト・レビンの「変革の3段階」に従うならば、「新しいことを始めるためには、まずは『いま』を終わらせなくてはならない」ということになります。新規事業であれ、DXであれは、いずれもこれまでの常識を終わらせて、新しいことに置き換えなくてはなりません。

では、何を終わらせるのか。それを十分に議論し、置き換えることでもたらされる価値をあきらかにし、その上で新規事業や変革を実践しなくてはならないのです。

新規事業が生まれないのも、DXがうまく進まないのも、新しいことを始めることにばかり囚われているからではないでしょうか。まずは、「『いま』を終わらせる」ことから取り組んではどうでしょうか。

2022年10月3日紙版発売
2022年9月30日電子版発売
斎藤昌義 著
A5判/384ページ
定価2,200円(本体2,000円+税10%)
ISBN 978-4-297-13054-1

目次

  • 第1章 コロナ禍が加速した社会の変化とITトレンド
  • 第2章 最新のITトレンドを理解するためのデジタルとITの基本
  • 第3章 ビジネスに変革を迫るデジタル・トランスフォーメーション
  • 第4章 DXを支えるITインフラストラクチャー
  • 第5章 コンピューターの使い方の新しい常識となったクラウド・コンピューティング
  • 第6章 デジタル前提の社会に適応するためのサイバー・セキュリティ
  • 第7章 あらゆるものごとやできごとをデータでつなぐIoTと5G
  • 第8章 複雑化する社会を理解し適応するためのAIとデータ・サイエンス
  • 第9章 圧倒的なスピードが求められる開発と運用
  • 第10章 いま注目しておきたいテクノロジー
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