【図解】コレ1枚でわかるDXとデジタル化の違い
「DX」とは、VUCAに対処すべく圧倒的なスピードを手に入れるために「ビジネスを変革すること」です。「デジタル化」は、そのための「手段」あるいは「前提」であり、両者は、同じではありません。
クラウドやスマートフォン、IoTやAIなどのデジタル化によって、私たちの日常やビジネスは、大きく変わりました。例えば、買い物をするにも、チケットを購入するにも、出前を頼むにもインターネットを使うことが当たり前になりました。音楽や映像、ゲームなどのエンターテイメントも同様です。Webやモバイルでの広告や宣伝の規模は、新聞や雑誌、テレビなどの旧来メディアを凌いでいます。リモートでの打ち合わせやペーパーレスでの事務処理は、コロナ禍以降、常識となりつつあります。
しかし、デジタル化が、大きな価値をもたらすとしても、それを常識と受け止め、使いこなせる考え方や行動様式がなければ、その価値を引き出せません。また、旧来の仕事の手順や常識をデジタル前提に、根本的に作り変えなければ、その価値を十分には引き出せませんし、イノベーションを生みだすこともできません。
つまり、「デジタル技術を使うこと」だけではなく、デジタル前提の世の中に適応すべく、事業の目的や経営のあり方を再定義し、あるいは、組織の振る舞いや従業員の考え方や行動様式、つまり企業の文化や風土をも変えなくては、「ビジネスを変革して、アジャイル企業に変わること」はできないということです。DXとは、そこまで踏み込んだ取り組みなのです。
ちなみに、明確な定義があるわけではないのですが、従来から使われていた「IT化」は、前章の「2つのデジタル化」のところで解説した「デジタイゼーション(効率化のためのデジタル技術の活用)」であると言えるでしょう。また、「デジタライゼーション(変革のためのデジタル技術の活用)」も、それを実現する、あるいは、使いこなせる文化や風土がなければ、ビジネスの成果に大きく貢献することは、難しいでしょう。
2022年10月3日紙版発売
2022年9月30日電子版発売
斎藤昌義 著
A5判/384ページ
定価2,200円(本体2,000円+税10%)
ISBN 978-4-297-13054-1
目次
- 第1章 コロナ禍が加速した社会の変化とITトレンド
- 第2章 最新のITトレンドを理解するためのデジタルとITの基本
- 第3章 ビジネスに変革を迫るデジタル・トランスフォーメーション
- 第4章 DXを支えるITインフラストラクチャー
- 第5章 コンピューターの使い方の新しい常識となったクラウド・コンピューティング
- 第6章 デジタル前提の社会に適応するためのサイバー・セキュリティ
- 第7章 あらゆるものごとやできごとをデータでつなぐIoTと5G
- 第8章 複雑化する社会を理解し適応するためのAIとデータ・サイエンス
- 第9章 圧倒的なスピードが求められる開発と運用
- 第10章 いま注目しておきたいテクノロジー