【図解】コレ1枚でわかるクラウドの定義:配置モデル
クラウド・サービスを実現するシステムの設置場所の違いによって分類しようという考え方が、「配置モデル(Deployment Model)」です。
複数のユーザー企業がネットを介して共用するのが「パブリック・クラウド」です。もともとクラウド・コンピューティングは、パブリック・クラウドのことでした。しかし「パブリック・クラウドの利便性は享受したいが、他ユーザーと協同で利用し、その影響を応答時間やスループットに受けるようでは使い勝手が悪いし、セキュリティの不安も払拭できない」との考えもあり、企業がシステム資源を自社で所有し、自社専用で使用しようという「プライベート・クラウド」という概念が登場します。これは、クラウド・コンピューティングの仕組みを自前の資産で構築し、自社専用で使うやり方です。
しかし、「プライベート・クラウドのメリットは享受したいが、自ら構築するだけの技術力も資金力もない」という企業も少なくありません。そこでNISTの定義には含まれてはいませんが、「ホステッド・プライベート・クラウド」というサービスが登場しています。「プライベート・クラウドのレンタルサービス」というとわかりやすいかもしれません。
これはパブリック・クラウドのシステム資源を特定のユーザー専用に割り当て他ユーザーには使わせないようにします。これを専用の通信回線や暗号化されたインターネット(VPN: Virtual Private Network)で接続し、あたかも自社専用のプライベート・クラウドのように利用できるサービスです。昨今、企業の既存業務システムをパブリック・クラウドに移管しようという動きが盛んですが、移行先は、この「ホステッド・プライベート・クラウド」が使われます。
これらパブリックとプライベートのふたつを組み合わせる使い方を「ハイブリッド・クラウド」といいます。
NISTの定義には、他にも地域や法令・規制など、共通の関心事によって結びついている組合や業界といった範囲で共同利用するコミュニティ・クラウドという区分も使われていますが、現在では、あまり使われていません。