【図解】コレ1枚でわかる情報システムの現状から考えるクラウドへの期待
業務効率を高めるために、あるいは成長や競争力を維持するために、ITは不可欠な存在です。一方で、その利用範囲が広がり重要性が高まるほどに、災害やセキュリティ対応への負担も増大します。またIoTやAIといった新しいテクノロジーへの対応も業務の現場から求められています。
こんなIT需要の高まりとは裏腹に、企業内のITに責任を持つ情報システム部門は、ふたつの大きな問題を抱えています。
そのひとつが、TCO(Total Cost of Ownership)の増大です。既に所有しているシステムの維持・運用管理、トラブル対応、保守と言ったコストで、IT部門の予算のおよそ8割を占めていると言われています。
このようなことになってしまうのは、設備やソフトウェアにこれまで投じたIT資産の総額がIT予算の「枠」となり、その減価償却分、すなわち5年償却であれば資産総額の20%が、実質的に使える予算となっているからです。それを越えることは許されないという暗黙の了解があり、しかも、削減の圧力が常にかかり続けており、これにも対処しなくてはなりません。
業務や経営の新たな要請に応えたくても、TCOにお金が掛かり過ぎて、応えることができません。しかもIT予算が大きく増える見込みもありません。そんなふたつの問題を情報システム部門は抱えています。
ならば「所有」することを辞め、情報システムの管理や運用をしなければTCOは削減できます。またクラウドで提供されているプラットフォームやアプリケーションを使えば、開発工数の削減や、場合によっては開発さえも不要です。運用管理負担を低減し、アプリケーションを直ちに現場に提供できる。クラウドへの期待はそんなところにあるとも言えるでしょう。
もちろん単純には、「TCO削減=クラウド利用」にならないことにも注意が必要です。クラウドならではの料金体系やシステム設計の考え方、運用の仕組みなどを考慮する必要があります。そこへの配慮を怠ると、むしろ割高になってしまったり、安定した性能を発揮できなかったり、セキュリティを担保できなかったりと、新たな課題を抱え込むことにもなります。
ただ、これまで「所有」しか選択肢がなかった情報システムにとって、「使用」という新たな選択肢が与えられたことは確かです。