【図解】コレ1枚でわかるクラウドのビジネス・モデル
電気が日常で使われるようなった当初、その目的は「電灯」を灯すことにありました。そのため、発電や送電の設備は、それに見合う程度の能力しかなく、工業生産でモーターを数多く動かす用途で使用するには十分なものではありませんでした。そのため19世紀の終わりから20世紀始めにかけて、電力が工業生産に用いられるようになった頃は、電力を安定的に確保するために発電機を資産として持つことが一般的でした。
しかし、発電機は高価なうえ、保守・運用も自分たちでまかなわなくてはなりません。また、発電機の能力には限界があり、急な増産や需要の変動に臨機応変に対応できません。
この課題を解決しようと、電力会社は発電や送電の能力を高め、工業生産にも使える高出力で安定した電力を供給できるようにし、料金も下がりました。また共用によって、電力需要の変動があっても全体としては相殺され、必要な電力を需要の変動に応じて安定して提供できるようになりました。こうして、自前で発電機を持つ必要はなくなったのです。
これをITに置き換えてみると、発電所はコンピューティング資源、すなわち計算を行うCPU、データを保管するストレージ、通信を制御するネットワーク機器、それらを設置するデータセンター、これを支える電力や冷却などの設備です。送電網はインターネットや企業専用のネットワークです。需要の変動に対しても能力の上限が決まっている自社所有のシステムと異なり、柔軟に対応することができます。
また、電力と同様に、利用した分だけ支払う従量課金なので、大きな初期投資は不要です。
コンセントにプラグを差し込むように、インターネットに接続すればシステム資源を必要な時に必要なだけ手に入れられるクラウド・コンピューティング(以下、クラウド)は、ITの機能や性能を「所有」することから「使用」することへの転換を促しています。
クラウドは、上記のようなインフラばかりでなく、プラットフォームやアプリケーションといったソフトウェアについてもライセンスを購入し「所有」することから「使用」することへと変えつつあります。