「質問」の本質/外に出してみなければ分からないことがある
「DXとは、デジタルを前提に、アジャイル企業に変わることです。これは、デジル技術を駆使するだけではできません。デジタルを使いこなすには、業務のルールや暗黙の了解、そこで働く人たちの行動習慣も変えていかなくちゃいけない。つまり、企業の文化を変えていかなくてはなりません。そんな取り組みが、DXなのだと思います。」
講義や講演で、このような話をさせて頂くと、次のような質問を頂くことがあります。
「ウチの会社は、新しいことに取り組もうという文化がなく、お話し頂いたようなことは容易にできそうにありません。どうすればいいでしょうか。」
私は次のように答えます。
「ご質問ありがとうございます。ただ、あなたのご質問は、循環論になっていますよ。DXは、文化を変えることだと申し上げました。しかし、"文化を変えられない"から、"文化を変えることができない"とおっしゃっています。おかしくないですか?」
「まずは、そういうあなたの内面に染みついた"文化を変える"ことから始めてはいかがでしょう。何も、会社を一気に変えろという話しではありません。自分のみのまわりの仕事のやり方、あるいは、あなた自身の行動習慣を変えてみることです。そして、そのそれをまわりに見せて、その理由を説明して、話し合うことです。そうやって、何かを突き破らなければ、この循環論から抜け出すことはできません。」
次のようなご質問を頂くこともあります。
「デジタル技術の発達で、これからの私たちの仕事はどうなっていくのでしょうか。私たちは、どうすればいいのでしょうか。」
私は次のように答えます。
「あなたはどうしたいのでしょうか。あなたは自分の仕事や人生をどのようにしたいのでしょうか。私がこうしなさいと申し上げれば、その通りそれに従いますか?」
「それを決めるのは、あなた自身ではないですか。当事者であるあなた自身が、それを決心し行動するしかありません。そして、どうなるかではなく、どうすればいいかを考えれば、常に考えつつけることだと思います。」
このような質問をされることは、とても大切だと思います。自分の中にある疑問を、素直に外にぶつけることで、自分に気付かなかった考え方が、跳ね返ってくることがあります。そうやって、自分の視野を広げる機会を増やせば、知識はますます深まります。
何も、私の申し上げたことが、正しいとか、その通りにせよと申し上げているわけではありません。「何を偉そうに」と思う人もいるはずです。むしろ、そうやって、異なる視野から、自分の考えとの違いを検証することも、学びの大切な態度だと思います。
新入社員研修などでは、時々自己アピールのために質問をする人がいます。自分こんなことまで知っていますよ。あるいは、あなたの言っていることはおかしいと反論することで、自分の正義を押しつけるような質問をされる方がいます。まるで、SNSみたいですよね(笑)。
そんな質問も大歓迎です。私は、それにも真摯に答えるようにしています。馬鹿にしたり、批判したりするのではなく、しっかり考えて自分の意見を伝えます。そうすれば、質問者は、自分の行為の稚拙さに気付く場合がほとんどで、これもまた、学びの機会となるはずです。
講義や講演というと、一方的に聞く機会だと思われていますが、むしろ、自分の考えをぶつけ、自分自身の視野を広げる場、あるいは知識を深める学びの場と捉えてはどうでしょう。それは、その講師にとっても喜ばしいことなのです。
年間、130回ほど、講義や講演をしています。そのほとんどに、ご質問もご意見もありません。それは受講する皆さんにとっても、あるいは、講師にとっても、残念なことなのです。
ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー
【12月度のコンテンツを更新しました】
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目的の資料にいち早くアクセスできるよう、以下の二点を変更しました。
・タイトルと資料の構成を大幅に変更しました
・研修資料を作るベースとなる「最新のITトレンドとこれからのビジネス戦略(総集編)」の内容改訂
ITソリューション塾について
・教材を最新版(第38期)に改訂しました
・講義の動画を新しい内容に差し替えました
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DXとビジネス戦略
【改訂】デジタル化がもたらすレイヤ構造化と抽象化 p.14
【改訂】デジタル化とDXの違い 改訂版 p.27
【改訂】DXの定義 1/3 p.39
【新規】DXの定義 2/3 p.40
【改訂】DXの定義 3/3 p.50
【改訂】DXのメカニズム p.45
【新規】「デジタル前提」とは何か p.46
【改訂】DXの公式 p.47
【新規】なぜ「内製」なのか 1/3 p.178
【新規】なぜ「内製」なのか 2/3 p.179
【新規】なぜ「内製」なのか 3/3 p.180
【新規】ITベンダーがDXを実践するとはどういうことかp.174
ITインフラとプラットフォーム
【新規】サーバー仮想化とコンテナ 1/2 p.76
【新規】サーバー仮想化とコンテナ 2/2 p.77
【新規】コンテナで期待される効果 p.78
【改訂】コンテナとハイブリッド・クラウド/マルチ・クラウド p.81
開発と運用
【新規】アジャイル開発が目指すこと p.37
【新規】SI事業者がアジャイル開発で失敗する3つの理由 p.74
IoT
【新規】Connected p.139
ビジネス戦略・その他
【新規】個人情報とプライバシーの違い p.146
【新規】「個人を特定できる情報」の範囲の拡大 p.147
【新規】Privacy保護の強化がビジネスに与える影響 p.148
【新規】影響を受けるデバイスやサービス p.149
【新規】スマホAIの必要性 p.150
AIとデータ
【新規】データサイエンティストに求められるマインドセット p.146
改訂【ITソリューション塾】最新教材ライブラリ 第38期
・ITソリューション塾の教材を最新版に改訂しました
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