未来が予測できない時代だからこそ「自分はどうしたいのか」を決めなくちゃいけない
「ITの最新トレンド」について、講義や講演をさせていだくことが多いのだが、次のようなご質問を頂くことがある。
「これからどうなってゆくのでしょうか?」
「自分はこれから、どうすればいいでしょうか?」
このようなご質問に、お答えすることは、なかなか難しい。それは、「答えがひとつではない」からだ。
「ITの最新トレンド」について話をするとき、私は、「幹と枝葉や分けて整理すること」を心がけている。
この業界、あるいは、社会の動向はめまぐるしく変わり、新しい技術や製品、サービスが、日々登場する。ただ、この動きや変化は、意外とシンプルな原理原則の表面的なさざ波であることが多い。
例えば、コンテナやサーバーレス、ローコード開発ツールなど、いまこの業界では、大いに話題になってはいるが、その根底にあるのは、「大切だけと付加価値を生みださないインフラやプラットフォームに意識や時間を傾けたくない」からだ。
その理由は、「ビジネスにとって重要なアプリケーション・ロジックに意識や時間を傾けたい」からとなる。
さらにその理由を探れば、変化が早く未来を予測できない時代になったいま、「圧倒的なスピードが必要だから」という目的に帰着する。
今度は逆に、「圧倒的なスピード」を手に入れるとの目的を起点に物事を見れば、その手段として、上記に述べたコンテナやサーバーレス、ローコード開発ツールだけではなく、ビジネスのデジタル化、クラウドの利用拡大、ゼロトラスト・ネットワークへの注目などのテクノロジーのキーワードに行き着くし、リモートワークやジョブ型雇用などの働き方にもつながってゆく。
つまり、具体から抽象へと思考し、ふたたび抽象から具体へと思考する。この行ったり来たりを繰り返すことで、世の中に起こっている変化の根底に存在する大きな潮流と表面的なさざ波との関係が見えてくる。
幹とは原理原則や本質、枝葉とは、具体的な製品やサービス、あるいはビジネス上のできごとであり、お互いの関係が見えれば、自分が何を学び、お客様に何を提案すればいいのかも分かるだろう。なによりも、自分のやっていることに自信が持てるようになる。
そういうことが見えるようになると、これからどのような技術が台頭するか、どんな製品やサービスが出てきそうか、どのようなビジネスが登場しそうかを予測することができる。ただ、予測と行っても、具体的な時期や技術の詳細が分かるわけではない。あくまで、大きな方向性が見えてくるに過ぎない。
もちろん、こんな考え方をするのは、私だけではないし、むしろ私などは到底及ばない、深い考察や、だからこそ世の中を違う方向に変えたいと、熱い志を持つ人たちもいるから、変化のスピードは加速されるだろうし、思いも寄らない流れが生みだされることもある。だから、大きな傾向は予測できても、具体的な未来は、まったくもって予見不可能なのだ。
そんなわけだから、冒頭のような質問を投げかけられても、大いに困る。だからこそ、講義や講演では、表面的な現象の背後にある、大きな流れ、あるいは原理原則や本質を伝えることに留まらざるを得ない。申し訳ないのだが、これが限界だ。
ただ、このような本質が理解できれば、それを自分の興味や関心、あるいは、自分のいまやっていることと照らし合わせて、考えれば、気がつくことは、いろいろとあるだろう。そして、「自分はどうしたいか」を見つける材料にはなると信じている。
未来が予測できない時代だからこそ「自分はどうしたいのか」を決めなくちゃいけない。予測不能な「どうなるか」に身を任せるのではなく、自分の創りたい未来に、積極的に関与することが、大切なように思う。
冒頭の質問に答えられない理由は、「答えがひとつではない」からだと申し上げた。つまり、自分の興味や関心、仕事のバックグラウンド、自分の夢ややりたいことは、人それぞれであり、答えもまた人それぞれである。また、「自分はどうしたいか」を「自分はこうする」という自発的意思にしない限り、いくら「世の中はこうなる」と一般論を知ったところで、自分にとっては何の役にも立たない。
講義や講演、研修の限界はここにあるように思う。もちろん、機械を操作するために、予め決められた手順を記したマニュアルがあるのなら、それを覚えさせ使いこなせるような研修にも意味がある。しかし、自分の人生やビジネスに、予め用意されたマニュアルはない。だからこそ、自分で様々な選択肢を考え、判断するための材料となる原理原則や本質を伝えることに、心を配っているわけだ。
「これからどうなってゆくのでしょうか?」
「自分はこれから、どうすればいいでしょうか?」
このようなご質問へは、次のように回答するしかない。
「あなたは、どうしたいのでしょうか。どんな未来を創りたいですか。ぜひ、それを自分で探してください。」
そのためのお手伝いは、喜んでさせて頂こうと思っている。
ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー
【12月度のコンテンツを更新しました】
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目的の資料にいち早くアクセスできるよう、以下の二点を変更しました。
・タイトルと資料の構成を大幅に変更しました
・研修資料を作るベースとなる「最新のITトレンドとこれからのビジネス戦略(総集編)」の内容改訂
ITソリューション塾について
・教材を最新版(第38期)に改訂しました
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DXとビジネス戦略
【改訂】デジタル化がもたらすレイヤ構造化と抽象化 p.14
【改訂】デジタル化とDXの違い 改訂版 p.27
【改訂】DXの定義 1/3 p.39
【新規】DXの定義 2/3 p.40
【改訂】DXの定義 3/3 p.50
【改訂】DXのメカニズム p.45
【新規】「デジタル前提」とは何か p.46
【改訂】DXの公式 p.47
【新規】なぜ「内製」なのか 1/3 p.178
【新規】なぜ「内製」なのか 2/3 p.179
【新規】なぜ「内製」なのか 3/3 p.180
【新規】ITベンダーがDXを実践するとはどういうことかp.174
ITインフラとプラットフォーム
【新規】サーバー仮想化とコンテナ 1/2 p.76
【新規】サーバー仮想化とコンテナ 2/2 p.77
【新規】コンテナで期待される効果 p.78
【改訂】コンテナとハイブリッド・クラウド/マルチ・クラウド p.81
開発と運用
【新規】アジャイル開発が目指すこと p.37
【新規】SI事業者がアジャイル開発で失敗する3つの理由 p.74
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【新規】「個人を特定できる情報」の範囲の拡大 p.147
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【新規】影響を受けるデバイスやサービス p.149
【新規】スマホAIの必要性 p.150
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