ITベンダーの「DXを実践する」とは何をすることか
ITベンダーにとって、「DXを実践する」とはどういうことだろう。
そんなことを改めて考えてみた。
そもそも、DXとは、次のようなことだ。
デジタルを前提に、変化に俊敏に対処できる企業へ変わること
つまり、「アジャイル企業への変革」することが、DXである。
「デジタルを前提」にとは、社会の視点と事業の視点の2つがある。
社会の視点:誰もが、当たり前にスマートフォンを使いこなす。買い物、ホテルや交通機関の予約は、ネットを使う。駅を降りれば地図サービスで自分の居場所と行き先を確認し、到着時刻をLINEで相手に知らせる。まさに社会は、"デジタル前提"に動いている。そんな社会の常識に対応できなくては、事業の存続も成長も難しい。
事業の視点:"デジタル前提"の社会に対処するには、自らの事業もデジタルを駆使し、社会の常識に対応できなくてはならない。そうしなければ、顧客は離れ、収益の機会を狭めてしまう。積極的に、デジタルを前提に新しいビジネス・モデルを作り出さなければ、事業の存続も成長も難しい。
「変化が早い」・「未来を予測ができない」・「正解がない」といった、いまの社会状況に対処するためには、上記の2つの視点で、「デジタル前提」の「アジャイル企業」に変革しなければ、企業の存続も成長もない。
そんな企業の取り組みを、ITのプロフェッショナルとして支援することが、ITベンダーのビジネスの機会を生みだすことになる。
ITベンダーのホームページを見ると、お客様の「DXの実践を支援します」や「お客様のDXパートナーになる」との看板を見かけるが、もし、このような取り組みまで、踏み込んでいないとすれば、看板に偽りありであろう。
もちろん、「お客様のDXに貢献する」と言うのであれば、自分たちもまた、DXを実践できていてしかるべきだ。では、どうすることが、ITベンダーのDXの実践であろうか。例えば、以下のようなことだろう。
いずれにしても、これは単にテクノロジーやスキルの問題ではない。事業目的や組織運営、業績評価基準や社員のマインドセット、すなわち、考え方や行動規範の変革を意味する。そんな実践を通じて得た感性やノウハウなくして、「お客様のDXに貢献する」ことなどできないことは言うまでもない。
DXという流行言葉を使わなければ、世間から見下されると思うのなら、まずは、その言葉を使う前に、自らの実践で、それを世に示すことだろう。そうすれば、お客様は、そんなITベンダーを「DXパートナー」として、認知してくれる。その覚悟なくして、DXの押し売りをすべきではないと思うのは、私の考えすぎであろうか。