神社の杜のワーキングスペース「8KUMO(やくも)」の事業コンセプト
私は、神社の杜のワーキングスペース「8KUMO(やくも)」について、次のような事業コンセプトを描いている。
あるべき姿:
「モダンIT人材」を育み、彼らに「活躍のきっかけ」を提供すること。
ステージ1 充実したIT利用環境が整備されたワーキングスペース
誰を:「あえて集まる」ことでチーム・メンバー相互の信頼を醸成、あるいは、業務の生産性を高めたいと考えているITリテラシーの高い人たちのチーム
何で:充実したIT利用環境が整備された、森の中の非日常の環境にあるワーキングスペース
どんな状態にしたいのか:議論や作業を、まわりに気兼ねなくでき、成果上げることに集中できる
ステージ2 ワーキングスペースを活かしたプログラム
誰を:モダンITのスキルを磨きたいエンジニアやモダンITを活かして事業の成果に貢献したいビジネス・プロフェッショナルの個人、またはチーム
何で:トップレベルの知識とノウハウを持つ講師や指導者による研修やワークショップ
どんな状態にしたいのか:自分の成長を実感し、あるいは、事業の成果についての確信を持つことができる
私のこれまでのキャリアを考えれば、人材育成のスキルを中核に据えた「ステージ2」が、一番のウリになるだろうと考えている。しかし、その前に、この場所そのものの価値を受け入れてもらわなければ、8KUMOの意義は失われてしまう。
もし、「ステージ2」だけであれば、都内の研修施設やリゾートのホテルを会場として借りれば済むはなしだ。わざわざ、都心から2時間掛けて、来る必要はない。この場所であることの価値、あるいは意義を明確にし、ここでやるからこそ、「ステージ2」の価値が高まると、言い切れなくてはならない。
確かに一般論として、自然の中で、キャンプや野外生活を楽しみながら仕事ができることを、魅力的だという人はいる。それが特別のことだということも分かる。しかし、そういうことに関心のない人もいる。それでも、ここでなくてはならない理由を見出さなければ、このプロジェクトは頓挫する。
わたしは、企業の事業開発をアドバイスすることも仕事にしているわけだが、その原則に従えば、この考え方は、「手段の目的化」である。つまり、手段である8KUMOを、「何のために」という目的を棚上げして、どう売るかと言っているわけだ。これは、あきらかに原則を逸脱している。
一方で、この土地、すなわち八ヶ岳南麓に住んで5年になるが、ほんとうに素晴らしい場所であることを身をもって実感している。ひと言で言えば、山と緑に囲まれたこの土地の空気はまるで違う。1年を通じてドライであり、森に囲まれた静寂やヒンヤリとした風、雪も積もらず、寒いとは言え、氷点下10度を下回ることはない。真夏の暑さも森の中にいれば、苦にならない。つまり、この土地そのものがとてもプレミアムなのだ。
そんな自然の中につつまれた森の全体を、充実したIT環境で満たし、モダンITの実務に必要な全ての設備が整ったプロジェクトルームがあり、寝泊まりできるバンガローやキャンプ場があるとすれば、それだけでも価値があるのではないか。
つまり、手段が目的となることに正当な理由があると思っている。でも、本当にそうなのだろうか?
私は、友人のアドバイスで、「ステージ1」について、つぎのようなエレベーター・ピッチとユースケースを書いてみた。これを読まれたあなたは、価値を見出して頂けるだろうか。
モダンITを既に実践しているエンジニア・チーム:
- チームの信頼感を醸成し、生産性を高めるには、体験を共有することが有効であると考え、そのために、あえて集まりたい
- モダンITを既に実践しているエンジニア・チーム向けの、
- 「8KUMO(やくも)」は、
- IT環境や共同作業のための設備が充実している森の中のワーキングスペースである。
- この施設は、都会から離れた非日常の中で、プログラミングや議論に集中でき、
- 都市部の研修施設やリゾート地のホテルや保養施設とは違って、
- プロジェクト・ルームだけではなく、森の中のどこからでも、ネットに繫がり電源も確保でき、テラスやデッキ、ハンモックやバンガローなどの野外施設を自由に使って、自分が好きなワークスタイルで仕事ができる環境が整っている。
ケース1:プロジェクト・キックオフ
- 何をするか:
- プロジェクト・チームのメンバー8名による5日間の合宿
- 全員による集中討議により、ペルソナ設定、カストマージャーニー作成、ユーザーストーリーにてプロダクトバックログ作成などを実施
- 上記に基づく、デジタル・モックアップを作成し全体像を把握する
- 本施設を使用することの価値:
- 都会から離れ非日常の中で議論や作業に集中でき、チームの信頼感や作業の生産性を高めることができること。
- テントやバンガローでの宿泊や焚き火を囲んでの体験、サウナ、さらには、登山やハイキング、農耕や林業の体験などのプログラムも用意されていて、チームビルディングには最適な環境が用意されていることは魅力的であること。
- リアルな体験共有で、チームの信頼関係の土台ができ、以降のオンライン/リモートでの作業においてもそれを維持することができること。
ケース2:振り返り合宿
- 何をするか:
- プロジェクト・チームのメンバー8名による2〜3日間の合宿
- 四半期毎に実施し、振り返りや今後の取り組みについて集中して議論する
- 本施設を使用することの価値:
- 都会から離れ非日常の中で議論や作業に集中できることは、信頼感の醸成や生産性の向上には効果的であること。
- 自然の中での非日常な体験を通じて、改めてチームとしての信頼感を醸成できること。
アウトドアでリゾートワークを楽しみたいビジネス・パーソン:
- リモート&リゾートで仕事をしたい、
- 野外活動やキャンプが好きなビジネス・パーソン向けの、
- 「8KUMO(やくも)」は、
- ワーキング・スペース/シェア・オフィースである。
- この施設は、森全体が仕事場になっていて、以下のことができる。
- 森の中のどこからでもネット接続できる
- 森の中にPCを使えるデスクや電源が数多く用意されている
- 共同利用のワークスペースで、仕事ができる
- バンガローで個人/少人数でのオンライン会議や仲間との議論ができる
- バンガローに宿泊できる
- テントで宿泊できる
- 清潔なシャワーやトイレを利用できる
- サウナでくつろぐことができる など
- 都会にあるワーキング・スペース/シェアオフィス、あるいは、リゾート地のホテルやペンション、キャンプ場と違って、
- 野外活動や野外生活のための施設と、リモートワークのための作業環境とIT環境が、一体となって整備されている。
ケース:リゾートワーク/リモートワーク
- 何をするか:
- 野外生活を楽しみながら、リモートで仕事をする。
- 森の中の配置されたデスクやツリーハウス、ハンモックなどの屋外施設で、自分の好きなスタイルで仕事をする。
- 集中して仕事をしたい、あるいはリモートで打ち合わせをしたいときには、個人で占有できるバンガローで仕事をする。
- 人とのふれあいを感じたいときは、シェアワーキングのできるプロジェクトルームで仕事をする。
- 本施設を使用することの価値:
- 森の中のどこででも、ネットや電源、デスクなどのリモートワークに必要な環境が揃っていること。
- バンガローやソロキャンプなど、自分に合った野外生活が楽しめること。
明日(8月24日 火)19:00から、皆さんのご意見を頂こうという場を友人が用意してくれた。よろしければ、ご参加下さい。
【募集開始】次期・ITソリューション塾・第38期(10月6日〜)
次期・ITソリューション塾・第38期(10月6日 開講)の募集を始めました。
ITソリューション塾は、ITのトレンドを体系的に分かりやすくお伝えすることに留まらず、そんなITに関わるカルチャーが、いまどのように変わろうとしているのか、そして、ビジネスとの関係が、どう変わるのか、それにどう向きあえばいいのかを、考えるきっかけになるはずです。
また、何よりも大切だと考えているのでは、「本質」です。なぜ、このような変化が起きているのか、なぜ、このような取り組みが必要かの理由についても深く掘り下げます。それが理解できれば、実践は、自律的に進むでしょう。
- IT企業にお勤めの皆さん
- ユーザー企業でIT活用やデジタル戦略に関わる皆さん
- デジタルを武器に事業の改革や新規開発に取り組もうとされている皆さん
そんな皆さんには、きっとお役に立つはずです。
特別講師の皆さん:
実務・実践のノウハウを活き活きとお伝えするために、現場の最前線で活躍する方に、講師をお願いしています。
戸田孝一郎氏/お客様のDXの実践の支援やSI事業者のDX実践のプロフェッショナルを育成する戦略スタッフサービスの代表
吉田雄哉氏/日本マイクロソフトで、お客様のDXの実践を支援するテクノロジーセンター長
河野省二氏/日本マイクロソフトで、セキュリティの次世代化をリードするCSO(チーフ・セキュリティ・オフィサー)
最終日の特別補講の講師についても、これからのITあるいはDXの実践者に、お話し頂く予定です。
- 日程 :初回2021年10月6日(水)~最終回12月15日(水) 毎週18:30~20:30
- 回数 :全10回+特別補講
- 定員 :120名
- 会場 :オンライン(ライブと録画)
- 料金 :¥90,000- (税込み¥99,000) 全期間の参加費と資料・教材を含む
詳細なスケジュールは、こちらに掲載しております。