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カタチばかりの「やっています宣言」に終始しているDX

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「手段の目的化」が公然と行われていている。例えば、手段のひとつでしかない「デジタル技術やデータの活用」が、「デジタル戦略」や「DX」と同義であるかのごとく語られていることもある。

言葉では、「事業課題の解決」を目的にしていると言うのだが、デジタルありきでの取り組みであり、課題もまた、「デジタルで何とかなりそう」なものを選んでいるようにも見える。経営や事業にとって、どれほど重要であるかは、あまり考慮されていない。言葉は悪いが、カタチを社内外に見せるためだけに、デジタルがうまくはまりそうな課題を選び、取り組もうとしているわけだ。

「デジタルで新規事業を立ち上げる」という、取り組みも、これに類する発想だ。つまり、課題を解決するための新規事業ではなく、「デジタルを使うための新規事業」になっていて、これもまた「デジタル戦略」や「DX」と称している企業もある。

本来、新規事業は目的ではなく、課題を解決するための手段に過ぎない。しかし、「新事業開発室」や「新規事業開発プロジェクト」と称して、新規事業を作ることを組織の目的にしてしまい、課題が何か、あるいは、いかなる課題を解決すれば業績にどれだけ貢献できるかを明確にすることなく、「目新しいビジネスを実現すること」に取り組んでいる場合もあるようだ。

「目新しい」にケチを付けるつもりはない。しかし、他にもやりようがあるのに、「新しい」を目的にしているとすれば、本末転倒だ。例えカタチは作れても、成果につながることはない。

ところで、「課題」とは、そもそも何かを理解しておく必要があるだろう。シンプルに定義すれば、理想として目指すべき「"あるべき姿"と"現実"とのギャップ」だ。

新規事業に取り組む人たちの中には、「課題」を「調査」あるいは「インタビュー」から、見つけ出せると考えている人たちがいる。しかし、「調査」や「インタビュー」で見つけられるのは、「問題」だ。その問題を解決した先の「あるべき姿」を何としてでも実現したいとの想いが、そこになくてはいけない。その情熱や意欲なくして、「課題」にはならない。「課題=問題×意欲」である。

DX推進部、デジタルビジネス本部、デジタルビジネス開発室などの組織が、ここ数年沢山作られている。そして、「調査」あるいは「インタビュー」をして、使えそうな課題はないかと、探し回ることに時間を費やしているところもある。しかし、「なんとしてでも、自分たちの理想を実現しよう」という熱意が伴わなければ、いつまで経っても課題を見つけることはできないだろう。

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カタチを作らなければ、何をやっているのかとまわりからとやかくいわれるし、自分の評価もさがるので、デジタルを使ったPoCを繰り返し、カタチばかりの「やっています宣言」に終始している組織もあるのではないか。

また、デジタルやデータは、手段の一つであって、それよりも先に手を付けるべきことがある場合が多い。例えば、組織のあり方やルール、風土や文化である。たぶん、こちらの方が、デジタルよりも手に負えないかもしれない。だからといって、面倒の少ない「デジタルを使う」行為に、逃げるのは辞めた方がいい。

課題からはじめなければ、事業の成果には結びつかない。まずは、ここから知り組んでみてはどうだろう。

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  • 【新規】アナリティクス・プロセス p.131
  • 【新規】データ尺度の統計学的分類 p.135
  • 【新規】機械学習とデータサイエンス p.136
  • 【新規】アナリティクスとビジネス・インテリジェンス p.137
  • 【新規】ビジネス・インテリジェンスの適用とツール p.138
  • 【新規】アナリティクスのプロセス p.139
  • 【新規】ETL p.140
  • 【新規】データウェアハウス DWH Data Warehouse p.141
  • 【新規】データウェアハウス(DWH)とデータマート(DM) p.142

*「AIとロボット」から「AIとデータ」に変更しました。

開発と運用編

  • 【新規】クラウドの普及による責任区分の変化 p.25
  • 【新規】開発と運用 現状 p.26
  • 【新規】開発と運用 これから p.27
  • 【新規】DevOpsの全体像 p.28
  • 【新規】気付きからプロダクトに至る全体プロセス p.29
  • 【新規】アジャイル開発のプロセス p.37
  • 【新規】アジャイル開発の進め方 p.39

*ローコード開発については、RPAの資料と合わせてひとつにまとめました。

テクノロジー・トピックス編

  • 【改訂】ブロックチェーン、量子コンピュータの資料を刷新しました。
  • 【改訂】RPAとローコード開発を組合せた新たな資料を作りました。

下記につきましては、変更はありません。

  • ITインフラとプラットフォーム編
  • クラウド・コンピューティング編
  • ITの歴史と最新のトレンド編
  • サービス&アプリケーション・基本編
  • サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT

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