講師や顧問には、体験を経験に、経験を教訓に、教訓を方法論に変える力が求められる
セカンド・キャリアとして、自分のこれまでの経験を活かして、顧問や講師をしたいという人がいる。しかし、それが必ずしもうまくいかないという話しも多いようだ。
その理由のひとつは、体験を経験に、経験を教訓に、教訓を方法論に変えることができていないからだろうと思う。
体験とは、事実である。その時、そこでしたこと、起こったこと、感じたことである。体験は、自分というフィルターで整理した記憶であるとも言えるだろう。それをそのまま他人に話しても、役に立てることは難しい。あくまで、自分の事実と記憶であり、それが希有なことであれば、エンターテイメントとしては、興味は持ってもらえるかも知れないが、他人に行動を変化させることは、先ずないだろう。
この体験を一般化あるいは、普遍化したのが経験だ。体験から自分は何を学び、そこに含まれる原理や原則、規則性や関係性を他にも応用できるように、体系立てて分かりやすく整理したものだ。よく言う「成功の方程式」や「うまくやるためのノウハウ」の類だろう。
顧問や講師を務めるのなら、これを言葉にしておく必要がある。言葉とは、少し広い意味合いで使っているが、書き言葉、話し言葉、数式、図表などである。相手に伝えることができなければ、仕事にはならないわけだから、「自分で分かっている」ではだめで、「相手が分かる」カタチにしておくことが必要だ。
「相手が分かる」ためには、「伝える」ことではなく、「伝わる」ことを目指さなくてはいけない。「自分は伝えたが、伝わらなかったのは、相手の知識不足だからだ」とか、「こちらがこんなに一生懸命なのに、真剣さが足りないし、集中力もない」などと言い訳している人もいるが、それは、その人の話が「つまらない」からであり、「へたくそ」だからだ。
ここで詳細なテクニックを語るつもりはないが、3つのポイントだけは伝えておこう。ひとつは、「相手に合わせた共感を得やす"いたとえ話"を使うこと」、二つ目は、「相手のペインポイント、あるいはタブーを指摘すること」、三つ目は、「受講者の反応を見ながら、話しの展開やメッセージをダイナミックに変化させること」である。この辺りは、意識して、日頃から訓練しておくべきだろう。
この3つに共通するのは、「相手」の存在だ。自分の知識を披露することでもなければ、自分が気持ちよく語ることではない。顧問や講師は、サービス業であるから、相手を満足させて、お金を頂くに値する価値を提供できる。相手の知りたいこと、満足や喜びを感じられることは何か徹底して追求しなくてはならない。
さて、体験に続くのが、教訓だ。教訓とは、宇宙の原理である。まあ、ちょっと大仰な表現であり、宗教じみてはいるが、いいたいことは、「自分は、これが正しいと信じている」ことの表明であろう。「私の経験から得られた成功の方程式を、あなたのビジネスに当てはめれば、きっとあなたも成功します。」と言い切れることだろう。
もちろん、それは自分の独りよがりな思いこみではいけない。世間の常識、自分以外の人たちの経験などを参考にして、確固たる自信とともに伝えるのが教訓である。
しかし、教訓がどれほど素晴らしくても、それを他人が追体験できなければ、顧問としては、仕事にならない。教訓を語り、その実践は、ご自身にお任せしますでは、講師としての役割に留まる。
相手に教訓通りの成功をしてもらうためには、「最初の一歩から成功に至る物語」を描き、「その物語をなぞるための手順と評価方法」を具体化して、示す必要がある。これが方法論、あるいは、メソドロジーだ。これがあって、初めてお金を頂ける顧問であるとか、コンサルタントになることができる。
まあ、暇つぶしに小遣いが稼げればいいという人もいるかもしれないが、そんな考えで、講師や顧問には、ならないほうがいいだろう。相手の時間やお金を使わすわせる以上、その対価に見合う責任を果たすべきは当然のことだし、過去の看板で、最初は、そんな話が舞い込んでも、次につながることはないだろう。
もちろん、体験から方法論へと昇華させることは、容易なことではない。試行錯誤に時間がかかる。ただ、その志なくして、講師や顧問で、お金をもらうことは難しいと覚悟しておくべきだろう。
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