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「やはり、研修は対面でなきゃダメ!」では、もう講師廃業だぞ

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「オンライン研修では、なかなかうまく伝わらない。やはり、研修は対面でなきゃダメ!」

研修講師をしているある方が、このような話しをされていた。確かに、現場での臨場感は、受講者の集中力を高めるには効果的だし、ディスカッションやワークショップでは、口角泡飛ばす議論や大きな模造紙に書き出すなどの身体活動が、研修効果を高めてくれることに異論はない。

しかし、オンラインでも工夫次第で、できることがいろいろある。私なりの工夫について、いくつか紹介しよう。

オーバーアクション

オンラインで講義をすると身体的な表現、つまりボディランゲージが使えず、この点に於いて、相手に伝える情報量が減少する。これを補う手段として、オーバーアクションが有効だ。話しの緩急や強弱のコントラストを意識して強調することだ。

例えば、話しのスピードを速いところと遅いところを極端にしてみるとか、とてつもない大声を発し、また、すぐにささやくようにマイクに語りかけてみる。途中に介在する会議システムが、そのコントラストを自動で調整してしまうので、相手には、こちらで自分が感じているほどには分からないものだ。ただ、それぐらいやらないと、相手には単調に感じられてしまう。

気恥ずかしいと思われるかも知れない。しかし、講師はサービス業である。受講者の集中力を維持するためには、プロとして、このような工夫をすべきだろう。

絞り込まれたビジュアル

リアルな対面講義に於いて、ボディランゲージによる情報量はかなり多い。そのため、経文のように文字が敷き詰められたプレゼンテーションであっても、ボディランゲージによって補強された話し言葉によって、要点を伝えることが比較的容易になる。しかし、オンラインではなかなか、そうはいかないだろう。

また、受講生が使うパソコン、中には、タブレットやスマートフォンは、大きなプロジェクター画面とはことなり、かなり小さく、情報を詰め込んだビジーなプレゼンテーションは、イスラムの細密画か仏教の曼荼羅のごとくになり、それを見るだけでもストレスを増す。

メッセージを絞り込み、シンプルに力強く伝えることを心がける必要がある。後でダウンロードした資料を読んでもらうことを想定し、小さめの文字で説明を書き加えるのは構わないが、講義の中で伝えるべき要素は、大胆かつシンプルに表現することを心がけるべきだ。

スクリーンショット 2021-06-03 7.00.44.png

このチャートは、昨夜のITソリューション塾のオンライン講義で使った「モノのサービス化」を説明するためのチャートだ。講義での言葉による解説を受け止める受け皿をチャートによって提供し、言葉による説明を、お皿の中にひとつひとつ納めてもらおうというわけだ。

チャートで説明を完結させるのではなく、チャートは受け皿、言葉は中身という役割分担を意識して、絞り込んだ要素でビジュアルを作ることを心がけるといいだろう。

オンラインならではの対話

リアルな対面の講義では、受講者の傍らに移動して、声を掛けたり、質問をしたりすることができる。また、受講者の目の動きやメモの獲り具合、身体の動きから、集中度合いや、興味関心の有無、理解ができているかどうかを、おおよそ理解できる。それに合わせて、話しの展開を変更することができる。

しかし、オンラインでは、これがかなり難しい。特に、ビデオをオフにしている人が多い場合、いや、そもそもビデオが使えないシステム環境で、講義をすることも多く、受講者のリアクションを確認するのは、かなり難しい。

それを補う手段として、私が使っているのが、「sli.do」である。

「気がついたこと、驚いたこと、もっと知りたいことなど、書き込んでくださいね。ニコニコ動画みたいな感覚で構いません。みんなで講義を盛り上げましょう。」

このメッセージへの反応が、こんな感じである。このようなコメントが延々と続く。

スクリーンショット 2021-06-03 6.34.42.png

これは、ある新入社員研修での書き込みだが、流石に若い人たちのノリはいい。そうやって、プロアクティブに講義に関わってもらうことで、受講者間のささやかなコミュニケーションが生まれる。講義の途中で、この書き込みを共有しながら、私の感想やコメントを話すことで、講師と受講者の距離を縮めるコトにも役立っている。

オンライン研修でも、やれることはいろいろとある。そういう工夫をすることなく、「研修は対面でなきゃダメ!」というのは、いかがなのか。

ちなみに、対面であっても、単調で、分かりづらい講義をする人がいる。「研修は対面でもダメ!」な人は、あらためて、オンライン環境で、自分の講義の進め方について、その課題を見直す機会にすればいい。

ここに紹介した要素はオフラインでも活かせるだろう。そして、何よりも、コロナ禍後の研修は、目的や内容によって、オンラインとオフラインを使い分け、組み合わせるハイブリッドになるだろう。だからこそ、いまはオンラインのスキルを磨く絶好の機会であると捉え、自分なりの工夫をしてみては、どうだろうか。それが、講師として、生き延びる知恵となる。

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ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー

4月度のコンテンツを更新しました】

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・「AIとロボット」を「AIとデータ」に変更し、データについてのプレゼンテーションを充実させました。

・戦略編をDXとそれ以外の内容に分割しました。

・開発と運用に、新しいコンテンツを追加しました

・テクノロジー・トピックスのRPA/ローコード開発、量子コンピュータ、ブロックチェーンを刷新しました。

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研修パッケージ

・総集編 20214月版・最新の資料を反映

DX基礎編 改訂

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ビジネス戦略編・DX

  • 【新規】データとUXとサービス p.17
  • 【新規】デジタル×データ×AI が支える存続と成長のプロセス p.68
  • 【新規】DXとは圧倒的なスピードを手に入れること p.72
  • 【新規】IT企業とデジタル企業 p.155

サービス&アプリケーション・先進技術編/AIとデータ

  • 【新規】データの価値 p.129
  • 【新規】情報とビジネスインテリジェンス・プロセス p.130
  • 【新規】アナリティクス・プロセス p.131
  • 【新規】データ尺度の統計学的分類 p.135
  • 【新規】機械学習とデータサイエンス p.136
  • 【新規】アナリティクスとビジネス・インテリジェンス p.137
  • 【新規】ビジネス・インテリジェンスの適用とツール p.138
  • 【新規】アナリティクスのプロセス p.139
  • 【新規】ETL p.140
  • 【新規】データウェアハウス DWH Data Warehouse p.141
  • 【新規】データウェアハウス(DWH)とデータマート(DM) p.142

*「AIとロボット」から「AIとデータ」に変更しました。

開発と運用編

  • 【新規】クラウドの普及による責任区分の変化 p.25
  • 【新規】開発と運用 現状 p.26
  • 【新規】開発と運用 これから p.27
  • 【新規】DevOpsの全体像 p.28
  • 【新規】気付きからプロダクトに至る全体プロセス p.29
  • 【新規】アジャイル開発のプロセス p.37
  • 【新規】アジャイル開発の進め方 p.39

*ローコード開発については、RPAの資料と合わせてひとつにまとめました。

テクノロジー・トピックス編

  • 【改訂】ブロックチェーン、量子コンピュータの資料を刷新しました。
  • 【改訂】RPAとローコード開発を組合せた新たな資料を作りました。

下記につきましては、変更はありません。

  • ITインフラとプラットフォーム編
  • クラウド・コンピューティング編
  • ITの歴史と最新のトレンド編
  • サービス&アプリケーション・基本編
  • サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT

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