モノのサービス化とは何か 2/3
「モノのサービス化」とは何か、なぜいま注目されているのかを、自動車業界を例に3回にわたって解説しようと思います。 前回に続く、第2回目です。
第2回:「モノのサービス化」が求められる時代になった
GAFAやBATなどの新興のサービス事業者は、上記のようなサービスの特性を理解し、徹底して顧客の体験価値を高めることで、ビジネスを拡大してきました。しかし、モノづくりを生業として企業も、もはやこの流れを無視することはできなくなりました。「モノのサービス化」が叫ばれるのは、そんな背景があるからです。自動車メーカーを例に、この「モノのサービス化」について、整理してみましょう。
「モノが主役の時代」には、車両/ハードウェアに実装された「機能」や「仕様」が、価値を生みだし、これがビジネスを差別化する役割を果たしていました。しかし、車両/ハードウェアは、法律や規制もあって機能や仕様を差別化するにも制約が課せられます。また、テクノロジーの高度化と複雑化もあり、主要な機構や部品については、それぞれを専業とするサプライヤー/部品メーカーに依存する割合も増え、自動車メーカーが、独自に車両/ハードウェアで差別化することが難しくなりました。もちろん、それらを組合せ、すりあわせて、魅力的な「機能」や「仕様」を実現する努力を自動車メーカーが放棄したわけではありませんが、圧倒的な差別化を生みだすには、限界があります。
そんな状況の中で、差別化の重心をソフトウェアへ移しはじめています。「先進運転支援システム/ADAS」や「自動運転システム/ADS」に、各社が注力するのは、そんな背景があるからです。
しかし、各社がソフトウェアで競い合えば、やがては、顧客にとっては十分であり、各社同じようなレベルとなり、ここでの差別化も難しくなります。だから、自動車メーカー各社は、差別化の対象をサービスへとシフトしようとしているのです。
2018年の年初、トヨタの豊田章男社長は、ラスベガスで開催されたCESというイベントで、「自動車をつくる会社」から、「モビリティカンパニー」に転換すること、そして、世界中の人々の「移動」に関わるあらゆるサービスを提供する会社になるという宣言をして話題となりましたが、そこにはそんな背景があったのです。そして、いまトヨタは、かつて、会社の理念を表していた"Drive your Dreams"から"Mobility for All"へと、大きく舵を切りつつあります。
ソフトバンクとの合弁で設立したMonet Technologyや、東富士に建設しつつある実験都市であるWoven Cityも、この新しい理念を体現するための取り組みなのです。
サービスを差別化の対象にしようとの取り組みは、トヨタだけではありません。日産のEasy Ride、Mercedes-BenzとBMWが合弁で取り組むReach Now、移動サービスを目的としたWhimなどの独立系の企業が参入し、競争が激しくなりつつあります。
サービスが差別化の対象になれば、サービスによって得られるデータもまた、差別化の対象として、大きな価値を持つようになります。ここで言う「データ」とは、顧客の移動データや属性データだけではなく、主義主張、趣味嗜好、人生観や悩み、ライフログ、生活圏などを含めて顧客を深く知るためのデータです。これらを効果的に収集し、UXの改善を継続することが、顧客ひとりひとりにとって魅力的な差別化を生みだし、顧客の満足を維持し続けることになるのです。
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ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー
【4月度のコンテンツを更新しました】
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・「AIとロボット」を「AIとデータ」に変更し、データについてのプレゼンテーションを充実させました。
・戦略編をDXとそれ以外の内容に分割しました。
・開発と運用に、新しいコンテンツを追加しました
・テクノロジー・トピックスのRPA/ローコード開発、量子コンピュータ、ブロックチェーンを刷新しました。
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研修パッケージ
・総集編 2021年4月版・最新の資料を反映
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ビジネス戦略編・DX
- 【新規】データとUXとサービス p.17
- 【新規】デジタル×データ×AI が支える存続と成長のプロセス p.68
- 【新規】DXとは圧倒的なスピードを手に入れること p.72
- 【新規】IT企業とデジタル企業 p.155
サービス&アプリケーション・先進技術編/AIとデータ
- 【新規】データの価値 p.129
- 【新規】情報とビジネスインテリジェンス・プロセス p.130
- 【新規】アナリティクス・プロセス p.131
- 【新規】データ尺度の統計学的分類 p.135
- 【新規】機械学習とデータサイエンス p.136
- 【新規】アナリティクスとビジネス・インテリジェンス p.137
- 【新規】ビジネス・インテリジェンスの適用とツール p.138
- 【新規】アナリティクスのプロセス p.139
- 【新規】ETL p.140
- 【新規】データウェアハウス DWH Data Warehouse p.141
- 【新規】データウェアハウス(DWH)とデータマート(DM) p.142
*「AIとロボット」から「AIとデータ」に変更しました。
開発と運用編
- 【新規】クラウドの普及による責任区分の変化 p.25
- 【新規】開発と運用 現状 p.26
- 【新規】開発と運用 これから p.27
- 【新規】DevOpsの全体像 p.28
- 【新規】気付きからプロダクトに至る全体プロセス p.29
- 【新規】アジャイル開発のプロセス p.37
- 【新規】アジャイル開発の進め方 p.39
*ローコード開発については、RPAの資料と合わせてひとつにまとめました。
テクノロジー・トピックス編
- 【改訂】ブロックチェーン、量子コンピュータの資料を刷新しました。
- 【改訂】RPAとローコード開発を組合せた新たな資料を作りました。
下記につきましては、変更はありません。
- ITインフラとプラットフォーム編
- クラウド・コンピューティング編
- ITの歴史と最新のトレンド編
- サービス&アプリケーション・基本編
- サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT