研修はオンラインがデフォルトの時代
129回(リアル会場30回、オンライン96回、4月以降は全てオンライン開催)
今年12月末までの研修や講演の回数です。昨年が、139回ですから10回減りました。これは4月と5月の落ち込みが原因です。
この時期の世間は、まだオンラインには馴れておらず、オンラインでやりましょうと提案しても、大人数ではVPNの帯域を圧迫するのでできないとか、zoomはセキュリティ問題があるから使えないとか、今後の方針が決まっていないなどの理由から、オンライン研修は、まだまだ特別な感覚がありました。延期や中止もこの時期集中しました。
研修や講演を生業にしている私にとって、これからどうなるかという不安もありましたが、コロナ禍以前から私が主宰するITソリューション塾は、会場とオンラインのハイブリッド開催でしたから、オンラインでも十分にできるとの確信はありましたし、コロナ禍でデジタル化やDXへの関心は高まり、また戻ってくるだろうと思っていました。
このような状況にもかかわらず、これを機会にチャレンジしてみようと、当初予定していた会場での研修や講演をオンラインに急遽切り替えて実施された企業もありました。4月、5月、それぞれ6回実施しましたが、こういうところに、企業の文化や風土を垣間見ることができたように思います。
コロナ禍以前から、世間ではDXへの関心が高まっていましたが、コロナ禍をきっかけに、ますますその傾向が強くなったように思います。研修や講演についてのご依頼も同様の傾向があります。そして、6月以降、オンラインにも馴れ、そんなご依頼が一気に増えています。
また、以前はSI事業者やITベンダーのみなさんからのご依頼が圧倒的に多かったのですが、いまはむしろ、それ以外の事業会社、例えば、商社、保険、製造業、金融業の皆さんからの同様のご依頼が急拡大しています。ユーザー企業が、コロナ禍を機にITリテラシーを高め、DXに向けた取り組みを加速しているように見えます。
一方で、SI事業者やITベンダーの皆さんが、このようなお客様と、これからどう向きあっていけばいいのかを、真剣に考えなければ、ならないように思います。確かに、このままではダメで、何とかしなければという声は、これまでにもありました。また、コロナ禍にあって、そんな声も益々大きくなっているように思います。しかし、それを具体的な実践に結びつけている企業は、まだまだ少ないようです。
いまの社員の雇用を守るために、これまでの仕事や顧客との関係を守らなくてはならないSI事業者やITベンダーの経営者にとっては、自分たちのこれまでの取り組みを変えることは、容易なことではないでしょう。不確実性が高まる中、キャッシュ・ポジションを高めることは、経営者の最優先課題の1つです。そんな中で、新たな投資リスクを背負い込むという決断は、容易なことではないように思います。
しかし、一方で、ユーザー企業のクラウド・シフト、内製化、情報システム部門の社内地位の低下にも、コロナ禍を機に拍車がかかっています。この現実を見て見ぬふりをすることなど、できるはずもありません。当然、SI事業者やITベンダーのビジネスのあり方も見直さなくてはなりません。
たかが、研修や講演と思われるかもしれませんが、企業の文化を変え、動きを加速するボディブーローとして、それなりに効き目があるように思います。