「これからも何とかなる」とはならない"ヤバイ"3つの兆候
「これまでも同じようなことを言われてきたが、結局はそれで何とかなってきた。これからも何とかなる。」
このような考えを否定するつもりはありません。ただ、もしそうならなかったときの備えはしておいた方がいいかもしれません。
"そうならない"兆候は、身近なところにあります。例えば、次のようなことです。
- 優秀な若手の人材が会社を辞めてゆく
- 信頼を育んできたはずの長年の顧客が他の会社に乗り換える
- これまで同様の仕事はコンスタントに依頼されるが、新しいコトへの取り組みについては相談されない
「優秀な若手が会社を辞めてゆく」のは、彼らがこの会社にこれ以上いても自分自身の成長が期待できないと感じるからでしょう。「優秀な人材」は、自分のことを客観的に評価できる人たちです。彼らは社会の動きやテクノロジーの進化を冷静に捉え、自分のやっている仕事や会社の姿勢と比較して、自分に成長の機会は限られているし、時代の変化に対処できなくなることを不安に想い、「生存の危機」を感じているのです。だから会社を辞めてチャレンジできるところへ転職してしまいます。自分の生存の危機を敏感に感じ取れるかどうかが、優秀かそうでないかのひとつの目安かも知れません。
「信頼を育んできたはずの長年の顧客が他の会社に乗り換える」のは、もはや義理で仕事を任せられる時代ではなくなったからです。お客様も、こののまではまずいと感じています。しかし、旧態依然としたやり方を変えようとせず、変革への取り組みを相談しても、「実績がないから」とか「まだ過渡期ですから」と脅されて、モチベーションを削かれてしまうからです。あるいは、お客様がこのようにしたいと相談しても、ならばこちらにしましょうと「自分たちにできること」の範囲に収めようとしてしまいます。お客様のあるべき姿や真のニーズに応えるのではなく、求められた手段にしか応えられない、いや応えようとしないことにうんざりしてしまうのかも知れません。いや、それ以上に「自分たちの危機感を共有できていない」と失望してしまうのかも知れません。
「新しいコトへの取り組みについては相談されない」とは、勉強してないことを見透かされているからです。例えば、「クラウド・インテグレーター」と称し、物理マシンを仮想化してIaaSに移管する仕事だと考えている企業、あるいは、クラウド化を推奨しつつもネットワークは旧態依然としたスポーク・アンド・ハブのまま、それを変えることになんら言及しない企業などは、その最たるものです。新しい常識を知らない人たちに自分たちの未来を任せられないのは当然のことです。もちろん、「共創」などという大言壮語が嘘っぱちであることなど、見透かされてしまいます。「相談してもしょうがないから相談されない」という可能性を排除すべきではありません。
これまでの仕事はなくならないから「なんとかなる」と考えるのは、あながち間違いではないように思います。なぜなら、世の中はそんなに急には変われませんから、仕事の依頼は続くに違いありません。しかし、気がつけば、街からレコード店がなくなってしまったように、そしてストリーミング・サービスに入れ替わったように、新しいビジネス形態へとじんわりと入れ替わってしまいます。
もし、管理者が平気で次のようなことを言っているようであれば、これはかなりヤバイ状況です。
「俺は正しいと思うけど、上がね・・・」
「俺は10年後この会社にいないから、将来のことは君らが考えて欲しい」
「俺には難しいことは分からないので、君たちに任せるから」
そういう人たちが一定数いることについては仕方がないことですが、もはやそういう人たちが大勢を占めているようでは、その会社の未来はかなりヤバイでしょう。
変化のなかった時代などありません。それを乗り切ってきたとの自負があるからこそ、「これからも何とかなる」と考えてしまうのです。ただ、"かつて"と"いま"とでは、ひとつ大きな違いがあります。それは、「スピード」です。
同じ方向をずっと見ていても高速に通り過ぎるものが何かを知ることはできません。いや、その存在にさえ気付かないでしょう。だから、自分も頭や身体を動かして、その動きを追いかけるしか、知ることはできないのです。