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歴史的必然に目を向ければ、何をすべきかが見えてくる

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サービスの価値は、「MoT : Moment of Truth(真実の瞬間)」で決まるという考え方がある。1980年代初頭にスカンジナビア航空のCEOを勤めたヤン・カールソンがこの言葉を使って、自社の改革をすすめていた。

彼は、同航空会社でお客さまに直接応対するスタッフの当時の平均応接時間が15秒であり、そのわずかな時間にお客さまが判断するサービスの質が同社の成功を決めると考えた。つまり、提供する側と受け取る側の一瞬の関係をどう構築するかで、サービスの価値が決まる。この考え方は、あらゆるサービスにあてはまり、インターネットを介したサービスも同様である。

いま、社会はハイパー・コンペティシションの時代を迎える。この概念は、米コロンビア大学ビジネス・スクール教授、リタ・マグレイスが、自著「The End of Competitive Advantage(邦訳:競争優位の終焉)」中で論じたもので、市場の変化に合わせて、戦略を動かし続けなければ、企業のもつ競争優位性が、あっという間に消えてしまうこのような市場の特性をとして説明している。

このような時代に企業が生き残るためには、圧倒的なビジネス・スピードを身につけなければならない。業界に突如として現れる破壊者たち、予測不可能な市場環境、めまぐるしく変わる顧客ニーズの変化など、ビジネス環境は、これまでになく不確実性が高まっている。

ビジネス・チャンスは長居することはなく、激しく変化する時代にあってチャンスを掴むにはタイミングを逃さないスピードが必要となる。顧客ニーズもどんどん変わり、状況に応じ変化する顧客やニーズへの対応スピードが企業の価値を左右する。競合もまた入れ代わり立ち代わりやって来くる。決断と行動が遅れると致命的な結果を招きかねない。「長期計画的にPDCAサイクルを回す」といったやり方ではもはや対処できない。このような時代を背景に、「サービスが主役、モノが脇役」の時代を迎えている。

これはサービス事業者だけの話しではない。製造業のエクセレント・カンパニーであるトヨタが、もはや自らを「モビリティ・カンパニー」つまり、移動をサービスとして提供する企業に転換するコトを宣言している。あらゆるビジネスが、サービスを主役に位置付けなければ生き残れない時代になってしまったと言っても過言ではないだろう。デジタル・トランスフォーメーション/DXもまた、このような文脈になぞらえて考えてみると、その必然性も見えてくる。

このような時代のビジネスの価値はMoTの価値によって決まる。つまり市場からのフィードバックを常に受けとめ、何が最適かを直ちに判断して、直ちにアップデートしたサービスを提供しなくてはならない。それがインターネットを介したサービスであれば、そのサービスを本番に移行しても直ちに安定稼働が保証されなくてはならない。

アジャイル開発やDevOpsが登場したのは、このような社会的必然からだ。

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ウォーターフォール開発とアジャイル開発を手法の違いであると解釈するのは一面的な見方でしかない。本質は、モノが主役だった時代の「生産物としてのソフトウェア」を提供することなのか、サービスが主役となった時代の「サービスとしてのソフトウエア」を提供することなのかの違いにある。

前者はリリース後の手戻りが許されないので「完全」な成果物を求められる。一方後者は、できるだけ早くサービスを立ち上げてユーザーとの関係を築き、ユーザーのフィードバックをもらいながら継続的にアップデートを繰り返し、その時々の最適を維持しようという考えが前提にある。

手法は、このような思想的背景を前提に作られているので、例え表面的な手法をまねしてみても、思想がちぐはぐであれば、それはうまくいくことはない。

このように考えれば、これからはアジャイル開発が主流となりDevOpsがこれを支える取り組みとして、もはや不可分なものになることは、容易に理解できるだろう。

SIerとして、自分たちのこれからの事業戦略を考えるとき、このような歴史的必然を織り込んでおくべきだ。

なにもこの解釈を押しつけるつもりはないが、歴史は未来を教えてくれる最高の教師である。ひとつひとつのテクノロジーやプロダクトがどうなるかまで、歴史から読み解くことは難しいが、大きな方向性は見て取ることができるだろう。そういう目線で、日々アップデートされるテクノロジーやサービス、プロダクトの情報を眺めてみると、なるほどこれは使えそうだ、いやこれはタピオカ(一時的な流行の意)だと判断することができるだろう。

さて、あなたの会社の「SI」はこのような社会の変化を前提にアップデートされているだろうか。未だモノが主役の時代の生産物のITを作ることから抜け出せないとすれば、あきらかに時代錯誤であって未来は閉じていることを悟るべきだろう。

流行のDXで大騒ぎする前に、まずは、自らのビジネスの本質が、時代の潮流に正しく与しているのかを問い直すことから始めてはどうだろう。

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