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コロナ・ショックで明らかになった3つの不都合な真実・覚悟すべき「コロナの意趣返し」

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リモートワークやオンライン会議、顧客訪問ができず出張もできない。そんな状況が、突然に訪れて明らかになってしまった不都合な真実が、いろいろとあるようだ。思いつくままに、いろいろと並べてみることにした。

真実_01 会議に必要な本当の時間は短かったこと

顔を合わせなければ気持ちが伝わらない、だからオンライン会議ではダメなんだと持論を曲げなかった人たちにしてみれば、面目丸つぶれだろう。しかし、それ以上に大きな気付きは、「いままで、どれほど会議に無駄な時間を使っていたか」という真実だろう。感覚的に言えば、負担であれば1時間の打ち合わせが3040分で終了する。

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その理由として考えられることは、人の話を集中して聞くようになったこと、そして、論点を整理して発言しようという意識が高まったことではないか。傾注しなければ聞き取れない他人の声、発話のタイミングをのがさないようにするために議論に聞き入り、意見を述べなければ、自分の存在感を示せないという不安などもあるのかも知れない。何人かに話しを聞くと、会議室で顔を合わせる会議に比べて相当疲れるという人たちが多いように思う。

いわば、効率のいい会議ができるようになったと言うこと。

真実_02 「仕事をする」と「オフィスにいる」が同じだったこと

いまの我が国の労働に関わるルールは「時間」が基準で作られている場合が多い。例えば、定時退社や定時出社、残業などは、従業員の労働の質や成果ではなく、彼らの拘束時間を管理する考え方に基づいている。働き方改革も「残業時間を減らす」だけがKPIとなっていて、生産性や品質、成長の機会といった視点が欠落している企業も多いようだ。結局のところ、オフィスに出社している時間、客先に訪問している時間(成果を生まない移動時間を含む)が、管理すべき対象となっている。

管理職の役割は、そんな彼らの「時間」を管理することが主な役割である。だから、遅くまでオフィスに居ると「早く帰りなさい」といい、「あした提案なんで、もう少し完成度を上げておきたい」など言おうものなら、「そんなのは適当でいいよ。早く帰ることが優先だ」と仕事の質を低下させ、本人の成長の機会を奪っている。

ある企業では、「リモートワークになって、仕事を始めるとき、終わるときにメールせよ」とのルールを作った会社もあると聞く。内容や成果ではなく、時間を管理するという考え方では、リモートワークというのは、まさにそんな真実をあからさまにした。

出社することが仕事だと考え、定時出社と定時退社をサラリーマンの鑑と心得ていた人たちにとっては、自らのアイデンティティの崩壊を招くことになるだろう。

真実_03 都心の立派なオフィスと通勤時間が無駄であったこと

なんやかんやいいながら、リモートワークで仕事がこなせているし、行き帰りの通勤で体力を消耗することもなく、時間の無駄もなく、仕事の効率も上がると実感している人たちは、少なくないだろう。そう考えると、「あんな立派なオフィス作るくらいなら、オレの給料を上げてくれ」と大声で叫びたくなるだろう。ついでに「通勤のための交通費も給与として下さい」と小さな声で叫んでみてもいいだろう。

ペーパーレスができていない、紙の書類を見ないと分からない、ハンコがないとワークフローが回せないという会社も少なくないが、それでも毎日きちんと満員の通勤電車に乗って定時に出社・退社する必要はないので、必要な時に立ち寄ればいいのだから、こんな効率のいいことはない。それで仕事が回せるのだとの真実に、奇しくも気付いてしまったことは、もはや取り返しが付かないだろう。

最後に

アフター・コロナは必ずやってくる。全てがビフォア・コロナに戻ることはないだろう。そして、覚悟しておいた方がいいのは、「コロナの意趣返し」である。例えば、「都内から移動が制限される」から「埼玉や千葉などの都外の人たちは都内に泊まってください」とか、「この間に積極的に有休を消化して下さい」とか、従業員の健康や生活を後回しにする会社から、多くの人たち、特に若くて優秀な人たちが、辞めてゆくだろうということだ。つまり、社員から会社に対する意趣返しである。

また、リモートワークで「働かないおじさん」たちが浮き彫りにされるわけだが、景気が劇的に落ち込むことを考えると、そういう人たちが、リストラの最優先対象にされることになるだろう。いわば、会社から社員に対する意趣返しもはじまる。

そんな2つの意趣返しが、アフター・コロナの会社や社会をリセットすることになるのもしれない。

【参考】コロナ・ショックがあからさまにする会社と自分の現実にどう向きあうか

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