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「成果の見える化」方程式

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テクノロジーの進化が行き着くところのひとつは、テクノロジーの難しさを隠蔽化することにある。テクノロジーの専門家でなくても、テクノロジーを使いこなし、その価値を享受できるようになることだ。Amazon EchoやGoogle Home、Apple SiriなどのVUI(Voice User Interface)などはそのひとつのカタチだ。「人に寄り添うIT」への進化でもある。

キーボードを使いこなす、マニュアルを読むなど、「ITに人が寄り添う」ことなく、ITを利用できるようにすることで、お年寄りや子どもたちなども含め、その価値を享受できる人の裾野を拡げることにITの進化のひとつの方向がある。

このような「ITの民主化」は、IT部門やITベンダーの役割を変えてゆく。これまでも情報システムのオーナーはユーザー部門や経営者だった。彼らは、自分達の業務の効率や経営上の価値を高めるために情報システムを必要としていた。しかし、テクノロジーの難しさ故に、テクノロジーの専門家として役割をIT部門やITベンダーに期待していたが、その難しさが隠蔽されれば、その存在意義は失われることになる。

ユーザー部門や経営者は、「テクノロジーソリューション」に興味はない。サーバーの機種や性能、ネットワークの構成、開発の手法など、どうでもいい話だ。そこにどんなに優れたスキルやノウハウがあっても、関心を持たない。

彼らが興味を持つのは「ビジネスソリューション」、つまり売上や利益に貢献することだ。ビジネスモデルや業務・経営のプロセスに関わる戦略や施策だ。ITは、これを実現するための手段に過ぎない。しかし、その手段を使いこなすためにITの専門家が必要であるという足かせをはめられてきたが、いま、その足かせが外れつつある。

その結果、情報システムの構築やサービスの利用についての意志決定に、ユーザー部門が、これまでにも増して大きく影響力を持つようになった。そして、金額の妥当性を評価する基準も変化する。これまで、「これだの工数がかかるのでいくら下さい」は、テクノロジーの専門家同士であるが故に通用した会話だ。しかし、ユーザーの立場に立てば、そんなことはどうでもいい話で、どれだけの成果が出せるのか、それに見合う金額なのかが、評価基準になる。

このような「投資対効果」での判断が、これまでもなかったわけではないが、「ITの民主化」がすすめば、IT利用は促進され、業務や経営にとって、これまでにも増して大きな役割を担うようになる。そうなれば、テクノロジーの専門家達の意見、つまりは、工数という評価基準への配慮は、その重みを失ってゆく。

「成果の見える化」について、真剣に取り組む必要がある。それができなければ、ビジネスを失ってゆくことは、自然の摂理だ。では、どうすれば、「成果の見える化」が実現できるのか。これを考える上で、この方程式が参考になる。

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これを最大化するためには、なるべく作らない。ビジネス効果が高いものに絞り、少ない工数で実現する。

これまでは、機器の調達や工数を起こすかけなければ、ビジネスの成果を実現できなかったが、クラウドやプラットフォーム、フレームワークや開発ツールの充実で、その比重は減りつつある。結果として、ビジネスの成果を効率よく実現し、IT活用の範囲を押し広げることが可能になった。

ただ、生産量をなるべく小さくすると言った瞬間に、ソフトウェアの開発をメシのタネにするベンダは売り上げが減る。また、効果があるかないかは発注者の責任であって、開発者の責任ではないという考えは通用しない。お客様とITの専門家が一緒に考える時代であり、決めてくれないと作れません、という考え方では通用しなくなる。「ITの民主化」は、ビジネス側の人とITの人が一緒になって考えることを意味する。

この方程式は、使うか使わないか分からないシステムを大量に作ることをやめ、本当に使うシステムだけを短期間に高品質で作り、成果を継続して出し続けることが重要であることを示している。つまり、アジャイル開発やDevOpsの思想に通じるものだ。

「ITの民主化」は、今後急速に進んでゆく。だからこそ、こんな時代に即した「成果の見える化」方程式をこれからのビジネスの基本に据えることだ。「成果の見える化」方程式は、新しいビジネスを「成功させる」方程式でもある。

【募集開始】ITソリューション塾・第29期 10月10日より開講

デジタル・トランスフォーメーションへの勢いが加速しています。クラウドはもはや前提となり、AIやIoTを事業の競争力の源泉にしようと取り組んでいる企業は少なくありません。ITを使うことは、もはや「手段」ではなく「目的」であり「本業」へと位置づけを変えようとしています。このような取り組みは内製となり、これまでの工数を提供するビジネスは需要を失い、技術力を提供するビジネスへの需要は拡大しつつあります。

この変化の道筋を見通し、先手を打つためにはどうすればいいのかを、学び考えるのが「ITソリューション塾」です。次期より講義内容を刷新致します。

最新のトレンドをわかりやすく体系的に整理することだけではありません。アジャイル開発やDevOps/デジタルトランスフォーメーション、新時代のサイバーセキュリティなどについては、それぞれの最前線で活躍する講師を招いて、その感性と実践ノウハウを学びます。

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回数 :全11回
定員 :80名
会場 アシスト本社/東京・市ヶ谷
料金 :¥90,000- (税込み¥97,200)

参加登録された方はオンラインでも受講頂けます。出張中や自宅、あるいは打ち合わせが長引いて間に合わないなどの場合でも大丈夫。PCやスマホからライブ動画でご参加頂けます。

詳しくは、こちらをご覧下さい

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IoT、AI、クラウドなどのキーワードは、ビジネスの現場では当たり前に飛び交っています。デジタル・トランスフォーメーションの到来は、これからのITビジネスの未来を大きく変えてしまうでしょう。

しかし、新入社員研修ではITの基礎やプログラミングは教えても、このような最新ITトレンドについて教えることはありません。

そんな彼らに「ITトレンドの最新の常識」と「ITビジネスに関わることの意義や楽しさ」についてわかりやすく伝え、これから取り組む自分の仕事に自信とやり甲斐を持ってもらおうと「新入社員ための最新ITトレンド研修」を昨年よりスタートさせました。今年も7月17日(火)と8月20日(月)に開催することにしました。

参加費も1日研修で1万円に設定しました。この金額ならば、会社が費用を出してくれなくても、志さえあれば自腹で支払えるだろうと考えたからです。

社会人として、あるいはIT業界人として、厳しいことや頑張らなくちゃいけないことも伝えなくてはなりません。でも「ITは楽しい」と思えてこそ、困難を乗り越える力が生まれてくるのではないでしょうか。

  • ITって凄い
  • ITの仕事はこんなにも可能性があるんだ
  • この業界に入って本当に良かった

この研修を終えて、受講者にそう思ってもらえることが目標です。

よろしければ、御社の新入社員にもご参加いただければと願っております。

詳しくは、こちらをご覧下さい。

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA

LiBRA 7月度版リリース====================
ITソリューション塾・第28期の最新教材を掲載
メモリー・ストレージ関連のチャートを拡充
AI専用プロセッサーについてのチャートを追加
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ビジネス戦略編
【新規】デジタル・トランスフォーメーションの定義 p.22

インフラとプラットフォーム編
【新規】メモリーとストレージの関係 p.216
【新規】速度と容量の違い p.217
【新規】ストレージ構成の変遷 p.217
【新規】新章追加・不揮発性メモリ p.238-242
メモリ階層
コンピュータの5大機能
記憶装置の進化
外部記憶装置が不要に!?

サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
【新規】IoTビジネスとはどういうことか p.43
【新規】IoTビジネス戦略 p.45

サービス&アプリケーション・先進技術編/人工知能とロボット
【新規】AIやロボットに置き換えられるものと残るもの p.111
【新規】皆さんへの質問 p.131
【新規】求められる人間力の形成 p.132
【新規】新章の追加・AI用プロセッサーの動向 p.133-146
急増するAI 専用プロセッサ
人工知能・機械学習・ディープラーニングの関係
深層学習の計算処理に関する基礎知識
AI = 膨大な計算が必要、しかし計算は単純
学習と推論
GPUはなぜディープラーニングに使われるか
データセンター向けGPU
GoogleがAI 処理専用プロセッサ「TPU」を発表
TPUの進化
クライアント側でのAI処理
Apple A11 Bionic
ARMのAIアーキテクチャ

開発と運用編
【新規】VeriSM p.6
【新規】早期の仕様確定がムダを減らすという迷信 p.13
【新規】クラウド・バイ・デフォルト原則 p.17

クラウド・コンピューティング編
*変更はありません

サービス&アプリケーション・基本編
*変更はありません

テクノロジー・トピックス編
*変更はありません

ITの歴史と最新のトレンド編
*変更はありません

【ITソリューション塾】最新教材ライブラリ
第28期の内容に更新しました。
・CPSとクラウド・コンピューティング
・ソフトウェア化するインフラと仮想化
・クラウド時代のモバイルデバイスとクライアント
・IoT(モノのインターネット)
・AI(人工知能)
・データベースとストレージ
・これからのアプリケーション開発と運用

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