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「クラウドは使えない」についての言い訳と回答

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企業が仕事での自家用車の使用を厳しく制限しているのはなぜでしょう。なぜ、仕事では公共交通機関の使用が求められるのでしょうか。それは、社員の移動に関わる責任を公共交通機関に負わせ、移動に関わる事故やトラブルの責任を社員個人に負わせないためです。

公共交通機関は、このような要請に応えるべく、より安全に、より効率よく人々が移動できるようにシステムを維持し、改善を続けています。

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クラウド・コンピューティングについてもこの理屈が当てはまります。例えば、

  • IaaS (サーバーやデータセンターなどのインフラをサービスとして提供するクラウドサービス)であれば、インフラに関わる導入作業や運用管理、セキュリティの責任をサービス事業者に預けることができます。
  • PaaS(ミドルウェアやオペレーティングシステムなどのプラットフォームをサービスとして提供するクラウドサービス)であれば、プラットフォームを動かすインフラを含め、ソフトウェアの導入や運用管理、バックアップやリカバリー、バージョンアップやパッチの適用、そのセキュリティ対策などに関わる責任をサービス事業者に預けることができます。
  • SaaS(アプリケーション・ソフトウェアをサービスとして提供するクラウドサービス)であれば、アプリケーションやそれを動かすプラットフォームやインフラに関わる一切の責任をユーザー企業はサービス事業者に預けることができます。

クラウド事業者はその責任を負うための仕組みを作り、体制を整え、改善を続けています。それでも、

「クラウドはセキュリティが不安だから使えない。ガバナンスが不安だから使えない。」

と疑問を持ち、クラウドの利用に消極的な人たちがいます。いわば、「クラウドを信じられない人たち」です。

クラウドを使わなければ、上記に示したそれぞれのサービス・レベルに於いて、ユーザー企業が自ら責任を負わなくてはなりません。それには相応のスキルやコストを負担しなければならなりません。また、運用やセキュリティに関わるトラブルやその対応にユーザー企業の情報システム部門は責任を負うことを覚悟しなくてはなりません。

ただ、かつて情報システムは企業内の業務処理が主体で、ネットワークも自社内で閉じていました。それが、インターネットの普及やITを前提としたビジネスの拡大と共に運用の負担やセキュリティに関わるリスクもかつてとは比べものになりません。その責任をこれまで同様、自分たちだけで負うのか外部に預けるのか、判断しなければなりません。

このような判断を助けるために、クラウド事業者は、そのサービス内容をきめ細かく開示しています。また、利用状況のログを取得しきめ細かく提供して、利用するシステムのガバナンスを担保することもできるようになっています。

情報システムの適用範囲が広がり、高度な利用が求められる中、自社で所有するシステムで同様のことを行うためには、ユーザー企業の情報システム部門はシステムの全ての階層、すなわちインフラ、プラットフォーム、アプリケーションで、適切な対策を行いガバナンスも担保しなければなりません。その負担を受け入れるか、外部に預けるかを考える必要があるでしょう。

もちろん、クラウドを利用する場合であっても、責任を任せられる範囲は、利用するサービスのレベルに留まります。ですから、それ以外の部分を自分たちでやるとなれば、その責任は自分たちにあるわけです。つまり、クラウドあっても適切な対応をとらなければ、セキュリティやガバナンスに問題が生じるわけですし、自社で所有する場合でも対策をしなければ同じで、「クラウドだから・・・」という説明は成り立ちません。ただ、クラウドを利用した方が、その負担は減少するわけです。

また、クラウドにはいろいろと制約があって使えないという声もありますが、では自社で所有するシステムの場合には、制約はないのでしょうか。

これも同じ話しで、ものごとには常にプラスの側面とマイナスの側面があります。両者を足し合わせたときのプラスはどちらが大きいかを考え、そのプラスをできるだけ最大にするように、それぞれの特性を見極め、システム構成や運用のあり方を見直さなくてはなりません。

このように見てゆくと、クラウドは運用管理やセキュリティ対策のアウトソーシング・サービスであり、情報システム部門にとっては、自らの責任を外部に移転できる手段として捉えることもできます。

ただ、そのメリットを享受するためには、ユーザー企業の情報システム部門は、これまでのやり方や自分たちの役割を変える覚悟も必要です。また、ITベンダー/SI事業者もシステムのことだけではなく、そういう情報システムの組織のあり方を変えることにも貢献してゆかなければなりません。

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