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最新ITトレンドとビジネス戦略をわかりやすくお伝えします!

【図解】コレ1枚で分かる未来を味方に付ける3つのステップ

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ITの進化は急激であり、破壊的でもあります。一方で、ビジネスの可能性を切り拓くイノベーションの源泉でもあります。そんなビジネスの未来を味方に付けるためには、戦略、作戦、戦術の3つのステップですすめてゆくといいでしょう。

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  • ステップ1:戦略(Strategy):目指すべきゴール、すなわち「あるべき姿」を明らかにし、それを実現するためのシナリオである「ビジネス・モデル」を描く取り組み。
  • ステップ2:作戦(Operation):この戦略を実現するためのひとつひとつのプロジェクトである「ビジネス・プロセス」を組み立てる取り組み。
  • ステップ3:戦術(Tactics):そのプロジェクトを遂行するための手段や道具である「使い勝手や見栄え」を作り込む取り組み。

それでは、ひとつひとつ見てゆくことにしましょう。

*参照記事 : 自分たちの仕事を問い直す「ITの4つの役割」

ステップ1:戦略(Strategy)

あるべき姿を明確にする

手段を使うことが目的ではありません。現場の課題を解決しビジネスを成功させることが目的です。そのためには、「成功したときの状態」=「あるべき姿」を具体的に描き、それを実現することに取り組まなければなりません。

「あるべき姿」とは、

  • 結果としてどうなっていたいのか
  • これができたら「成功」と言い切れる姿
  • 理想のゴール

を表現したものです。これを明確にすることが最初の一歩です。例えば、

  • この分野では業界トップの地位を確保したい
  • 顧客満足度ナンバーワンの評価で顧客を虜にしたい
  • 「一時的な売上の積み上げ」から「長期継続的な収益の積み上げ」に事業転換を図りたい

どうやって実現するかではなく、結果として「どうなっていたい」の具体化が最初です。

このとき、「とてもいまの自分たちにはできそうにない」などといった「現実」は一旦棚上げしてください。「現実」を考えはじめると、それらが足かせとなり、大胆な発想はできなくなってしまいます。「どうなっていたいのか=結果」を純粋に追求することです。「現実」にはやがて向き合うことになりますが、まずはこの段階では理想を求めることが大切です。

ビジネス・モデルと実現のシナリオを描く

次に、この「あるべき姿」を実現するためのビジネス・モデルやそこに至るシナリオを「思想としてのIT」を前提に大胆な発想で考えてゆくといいでしょう。例えば、

  • これまではコストがかかりすぎてとても考えられなかった 
  • 高度な熟練が必要で人間にしかできなかった 
  • 業務の連携や人のつながりが簡単には作れなかった など

かつての非常識はいまでは常識になっていることも少なくありません。「そんなことはできるはずはない」といった思い込みをしないで、テクノロジーのトレンドやデジタル・ビジネスの事例を丁寧に調べ、新しい常識で可能性を探ることです。

例えば、商品を買ってくれたお客様がどのような使い方をしているのかを知るためには、登録されている顧客情報を頼りにアンケートをお願いするか、調査会社に調査を依頼するしか方法がありませんでした。そのため、そういう調査に協力的な一部のサンプルからしかデータを集めることができず、不完全なデータから推測するしかなかったのです。

しかし、センサーや通信装置が小型・高性能化して単価も劇的に安くなったこと、さらには誰もがスマートフォンを持ち歩くようになったことで、状況は一変しました。

商品に予めセンサーや通信機能を組み込んでおき、スマートフォンと連携して商品の付加価値を高めるサービスを提供します。そのサービスは使いたい、あるいは使わないと損だと思わせるような魅力的なものでなくてはなりません。そうしておけば、お客様の利用状況がリアルタイムで、しかも完全に把握することができます。

また、なんらかのオンライン・サービスを提供するに当たり、利用者ひとり一人の使い方や趣味嗜好を捉え、それに合わせてメニューを変えてサービスの魅力を高めたい、あるいは、適切なオプション・サービスを提案して収益を増やしたいとしましょう。そのためには、高度な分析機能やその結果の解釈、それに基づく推奨機能などを組み込む必要があります。それには高額なパッケージ・ソフトウエアを購入し、専門のエンジニアを雇わなくてはなりませんし、そんな仕組みを自ら開発しなければなりませんでした。これにはなかなかの覚悟が必要です。

しかし、いまではこのようなことをやってくれる人工知能サービスがクラウドから提供されています。しかも使った分だけ支払う従量課金型のサービスですから、先行投資リスクもありません。これを自社のサービスに組み込むこともできる時代になりました。

もちろんそれを使いこなすスキルは必要ですが、技術的難しさは軽減され業務のプロフェッショナルであっても、ちょっと勉強すれば使えるようなサービスも登場しています。

こんなことは、数年前までは非常識なことだったかもしれませんが、いまでは十分に実現可能となっています。

このような情報をネットや書籍で調べることもできますが、ベンチャー企業や大学などとの共同研究、優れた技術やアイデアを集めるイベントの開催やコミュニティーへの参加など、感度を高く最新の事情に触れ、知恵や知識を持つ人たちとつながっておく取り組みも効果的です。事実、IoTやFinTech、人工知能などの分野では、大企業とベンチャー企業、大学などが一緒になってコンソーシアムを立ち上げる例が増えています。

ステップ2:作戦(Operation)

次の段階として「仕組みとしてのIT」を練り上げることです。どのような手順で、どのような手続きを行い、どのようなやり方で結果を出すか。そんなビジネス・プロセスや業務手順を明確にして、それを実現するために最良の手立てを考えてゆきます。

ここでもITの可能性を追求することです。例えば、

  • スマートフォンで写真を撮れば自動的に報告書のひな形が作成され、進捗の予実についても自動的にアップデートされる
  • 機械の操作を音声の指示だけで行い、関係者への連絡や通知も音声だけで行い、必要とあればそれを文章にもしてくれる
  • データを入力すれば、そのデータの内容を分析し、自動的に最適な図表を作成してくれる

これらのことは既に実現可能です。このようなITのできることを前提に仕組みを作れば、仕事の効率や精度を飛躍的に高めることができるはずです。

ステップ3:戦術(Tactics)

次は「道具としてのIT」の使い方です。例えば、

  • どのタブレット端末はコストパフォーマンスが高いか
  • どのパッケージ・ソフトウエアが最適か
  • どの開発ツールを使えば開発の生産性を高かめられるか など

これから行おうとしている「作戦」にふさわしい手段として最適なものはどれか、また、それを使えるようにするための手順や使いこなすためのスキルをどのように身につければいいのかをITの専門家である情報システム部門やITベンダーに提案を求めるとよいでしょう。

注意すべきは、実績や経験にこだわり新しいことを躊躇する保守的な人たちの存在です。「失敗を許さない減点文化」の企業には、このような人たちも少なくありません。しかし、これまでも度々申し上げてきたとおり、ITの進化は日々常識を塗り替えています。その前提に立ち、その時々の新しい常識で「道具としてのIT」の選択肢を模索しなければ、成果も制約されてしまいます。だからこそ、事業に責任を持つ経営者や事業部門の人たちが、ITの可能性と限界を正しく理解し、試行錯誤での取り組みを許容する態度を持たなくてはなりません。そんな文化を築いてゆくこともこれからのビジネスを創りあげるためには必要な態度と言えるでしょう。

【募集中】ITソリューション塾・第23期

10月5日(水)より、次期「ITソリューション塾・第23期」が開講します。

「知ってるつもりの知識から実戦で使える知識へ」

をモットーに、テクノロジーやビジネスのトレンド、さらにはこれからのビジネス戦略に踏み込んで考えてゆこうと思います。

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基本の講義以外にも特別な講義を用意しています。

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情報セキュリティとDevOpsについては、その分野の実践者を講師に迎え「実践ノウハウ」を伺います。

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直近の参加実績は、以下の通りです。

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  • 第21期 81名
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【事前連絡のお願い】

募集開始後、比較的早い段階で定員に達することが予想されます。まだ正式に決定できない場合は、まずはメールで構いませんの参加のご意向をお知らせください。参加枠を確保させて頂きます。

詳しくはこちらをご覧下さい。

ITソリューション塾・福岡を開催します

既に東京・大阪で多くの皆さんにご参加頂いております「ITソリューション塾」をいよいよ福岡で開催させて頂くこととなりました。

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ITビジネスに関わる皆さんや情報システム部門の皆さんが、知っておくべき「ITのいまと未来の常識」をできるだけわかりやすく体系的にお伝え仕様という取り組みで。詳しい資料はこちらからダウンロード頂けます。是非、ご検討下さい。

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【最新版】最新のITトレンドとビジネス戦略【2016年8月版】

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*** 全て無償にて閲覧頂けます ***

最新版【2016年8月】をリリースいたしました。

【インフラ&プラットフォーム編】(295ページ)

フラッシュストレージの記述を新たに追加いたしました。

【新規】ストレージアレイの違い p.275
【新規】フラッシュストレージが注目される理由 p.277

【アプリケーション&サービス編】(250ページ)

解説(文章)付きスライドを増やしています。また、全体のストーリーを一部見直し、内容の古いチャートは削除しました。

【新規】なぜ今人工知能なのか p.147
【新規】人工知能と機械学習 p.148
【新規】人工知能と機械学習/全体の位置付け p.149
【新規】技術的失業と労働人口の移動 p.180
【更新】ウォーターフォール開発とアジャイル開発 p.220
【更新】DevOpsの目的 p.223
【新規】不確実性のコーン p.227
【新規】システム開発の理想と現実 p.228
【新規】ARとVRの違い p.248

【ビジネス戦略編】(92ページ)

記載内容が古いチャートを削除し、解説文付きのチャートを増やしました。

【新規】UberとTaxi p.4
【更新】ハブ型社会からメッシュ型社会へ p.5
【更新】これからのITビジネスの方程式 p.57
【補足】解説文を追加したチャートを増やしました。

新入社員研修教材「最新のITトレンド」 (119ページ)
【更新】原本の改訂に合わせ、内容を刷新いたしました。

閲覧は無料です。ダウンロード頂く場合は会員登録(500円/月)が必要となります。
http://libra.netcommerce.co.jp/

まずは、どのような内容かご覧頂ければ幸いです。

「ポストSIビジネスのシナリオをどう描けば良いのか」

これまでと同じやり方では、収益を維持・拡大することは難しくなるでしょう。しかし、工夫次第では、SIを魅力的なビジネスに再生させることができます。

その戦略とシナリオを一冊の本にまとめました。

「システムインテグレーション再生の戦略」

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  • 歴史的事実や数字的裏付けに基づき現状を整理し、その具体的な対策を示すこと。
  • 身の丈に合った事例を紹介し、具体的なビジネスのイメージを描きやすくすること。
  • 新規事業を立ち上げるための課題や成功させるための実践的なノウハウを解説すること。

また、本書に掲載している全60枚の図表は、ロイヤリティ・フリーのパワーポイントでダウンロードできます。経営会議や企画書の資料として、ご使用下さい。

こんな方に読んでいただきたい内容です。

SIビジネスに関わる方々で、

  • 経営者や管理者、事業責任者
  • 新規事業開発の責任者や担当者
  • お客様に新たな提案を仕掛けようとしている営業
  • 人材育成の責任者や担当者
  • 新しいビジネスのマーケティングやプロモーション関係者
  • プロジェクトのリーダーやマネージャー

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