新規事業を成功に導く「成果の見える化」方程式
テクノロジーの進化が行き着くところは、テクノロジーの難しさを隠蔽化することでもあります。テクノロジーの専門家でなくても、テクノロジーを使いこなすことができる時代へと進んでゆきます。クラウドや人工知能の普及は、そんな現実そのものです。
ガートナーは、このような動向を「ITの民主化」と呼んでいます。
「ITの民主化」は、IT部門やITベンダーの役割を変えてゆくことになります。これまでも情報システムのオーナーはユーザー部門や経営者でした。彼らは、自分達の業務の効率や経営上の価値を高めるために情報システムを必要としていたのです。しかし、テクノロジーの難しさ故に、テクノロジーの専門家として役割をIT部門やITベンダーに期待していました。しかし、その難しさが隠蔽されれば、その存在意義が失われることになります。
ユーザー部門や経営者は、「テクノロジーソリューション」に興味はありません。サーバーの機種や性能、ネットワークの構成、開発の手法など、どうでもいい話です。そこにどんなに優れたスキルやノウハウがあっても、関心を持ちません。
彼らが興味を持つのは「ビジネスソリューション」、つまり売上や利益に貢献することです。ビジネスモデルや業務・経営のプロセスに関わる戦略や施策です。ITは、これを実現するための手段に過ぎません。しかし、その手段を使いこなすためにITの専門家が必要であるという足かせをはめられてきたとも言えるでしょう。そして今、その足かせが外れつつあるのです。
そうなれば、情報システムの構築やサービスの利用についての意志決定に、ユーザー部門が、これまでにも増して大きく影響力を持つようになるでしょう。
そうなると金額の妥当性を評価する基準も変化します。これまで、「これだの工数がかかるのでいくら下さい」は、テクノロジーの専門家同士であるが故に通用した会話です。しかし、ユーザーの立場に立てば、そんなことはどうでもいい話で、どれだけの成果が出せるのか、それに見合う金額なのかが、評価基準になるはずです。
このような「投資対効果」での判断が、これまでもなかったわけではありません。しかし、「ITの民主化」がすすめば、IT利用は促進され、業務や経営にとって、これまでにも増して大きな役割を担うようになります。そうなれば、テクノロジーの専門家達の意見、つまりは、工数という評価基準への配慮は、その重みを失ってゆくことになるでしょう。
「成果の見える化」について、真剣に取り組む必要があります。それができなければ、ビジネスを失ってゆくことは、自然の摂理です。
では、どうすれば、「成果の見える化」が実現できるのでしょうか。これを考える上で、この方程式が参考になります。
東京海上日動システムズ前社長・情報サービス産業協会会長の横塚裕志氏が、「ソフトウェアの品質」について、次のように語られたなかで、使われたものです。
生産量分のビジネス効果、掛けるスピードをいかに最大化するか。こういう定義になると思います。
これを最大化するためには、なるべく作らない。ビジネス効果が高いものを、生産量をできるだけ小さくして実現する。そうするほうが早くできる。クラウドのサービスみたいなものを組み上げてぱっと作る。
ソフトウェアの品質をこう定義したとき、品質の高いソフトウェアをどう作っていけばいいか。いままでの考え方を変えないと無理です。
例えば、生産量をなるべく小さくすると言った瞬間に、ソフトウェアの開発の工数をメシのタネにするベンダーは売り上げが減ります。必然です。
次に効果。効果があるかないかは発注者の責任であって、開発者の責任ではないよねという考えは、もう時代が違います。お客様とITの専門家が一緒に考える時代です。決めてくれないと作れません、というレベルでは、新しいソフトウェアで新しいビジネスを作ることなどできません。
新しいITの中でどういうビジネスができるのか、ビジネス側の人とITの人が一緒になって考える時代です。
ですから、生産量は減って従来のソフトウェア開発ビジネスは厳しいのですが、新しいビジネスを作っていくという新しい可能性が開けています。
この方程式は、使うか使わないか分からないシステムを大量に作ることをやめ、本当に使うシステムだけを短期間に高品質で作り、成果を継続して出し続けることが重要であることを示しています。まさにアジャイル開発やDevOpsの思想に通じるものです。
「ITの民主化」は、今後急速に進んでゆくでしょう。だからこそ、こんな時代に即した「成果の見える化」方程式をこれからのビジネスの基本に据えることです。「成果の見える化」方程式は、新しいビジネスを「成功させる」方程式でもあるのです。
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