たった5年先のことを考えて見ると、これは大変なことなんだと実感する
「自動走行に切り替えます。」
高速度道路に入り自動走行モードのスイッチを入れると、クルマは自動走行になったことを知らせてくれた。目的地の最寄りの出口までは1時間ほど。その間に溜まったメールを処理しよう。私はハンドルから手を離し、座席を後ろに引いてタブレットのスイッチを入れた。程なくして、緊急の打ち合わせを開きたいと品質管理部長からメッセージが入った。すぐにオンライン会議の画面を開くと、既に生産技術部や生産管理部などのメンバーがそれぞれの持ち場から会議に参加している。
「何事なんだ?」と質問すると、今日から出荷することになっていた新製品の一部に品質基準を満たさない製品があることが分かったとのことで、判断を仰ぎたいとの相談だった。
「原因はバッテリーを接続するコネクターの問題で、昨日午後の製造ロットに使った部品の不具合であることが分かっています。」
最終検査装置のセンサーが異常を知らせてくれたので、出荷せずに済ますことができた。
「不良品を除外して部品を再検査し、リワークした場合の出荷への影響をシミュレーションしたところ、午前中のライン停止であれば、影響はほとんど無いことが分かりました。ただ、生産技術部としては万全を期し他のロットについても確認したほうがいいと提案しています。その場合は、最悪丸1日新製品の出荷を送らせなくてはなりません。その場合は、既にご注文を頂いているお客様に営業から頭を下げてもらわなければなりません。」
やっかいなことになった。ただ、社運をかける新製品でもあり、いま焦るより万全を期した方が良さそうだ。
「時間をかけてでも徹底して調べてくれ。」
早速、今後の生産計画と収益への影響をシミュレーションしてみた。まあ、これなら何とかなるだろう。
幸いなことに昨年から生産を始めた新工場では、工作機械もセンサーと人工知能で賢くなっている。製品や部材にもICチップが組み込まれているので、工場の様子がどこにいても手に取るように分かるようになった。しかも進捗や品質のデータは逐次人工知能で分析し、計画が変わっても自動で即座に最適な段取り替えや工程の組み替え、部材の手配をしてくれるので影響は最小限に抑えられるようになった。
「ではすぐにかかります。」
品質管理部長がそう告げると、会議に参加していたメンバーは会議画面から退出していった。さて、今日は予定を変更して対策を検討した方が良さそうだ。
「今日の予定を教えてくれ。」
タブレットに話しかけると一日の予定が表示され読み上げられてゆく。幸いどうにかやりくりできそうだ。
「14:00から山中工場に移動する。重なっているスケジュールは全てキャンセル。関係者に知らせてくれ。」
タブレットからは、「承知しました」と返事が返ってきた。スケジュールは変更され、関係者には気の利いた文言でメールが配信された。
気がつくとそろそろ高速道路の出口にさしかかっている。
「まもなく、高速道路を降りて一般道に出ます。自動走行モードを解除しますので準備して下さい。」
そんな声に促されてハンドルを握り直した。やれやれ、今日は長い一日になりそうだ。
2020年、このような日常が実現しているかもしれません。政府のIT総合戦略本部は自動車の自動走行技術に関し次のようなロードマップを発表しています。
- 高速道路での追従走行と自動レーンチェンジが2017年~2018年
- 運転手の責任の下で一定区間を自動できるようになるのが2020年
- さらに高度な自動運転は2020年以降
自動車の自動運転はもはや夢物語ではありません。ここ数年の内に実現される技術として、着実に準備が進められています。また、オンラインでの会議やリモートワークも当たり前になっているでしょう。工場の自動化も高度に進化しています。たった数年先にこんな未来が待ち受けています。
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