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「場違いな質問」に感じたこと

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「クラウド・インテグレーターや人工知能のベンチャーなど、最新のテクノロジーで勝負するベンチャー企業が登場してきていますが、そういう企業に私たちはどのように立ち向かってゆけば良いのでしょうか。私たちは、彼らに取って代わられるのでしょうか?」

ある大手SI事業者の講演で若いエンジニアからこんな質問を頂いた。私は彼の質問を聞きながら、なんともやりきれない気持ちになってしまった。たぶん、会社の中に、こういう質問に向き合ってくれる先輩や上司がいないではないか。こんな質問をすることがタブーな雰囲気があるのではないかと。

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先月「システムインテグレーション再生の戦略」を上梓させて頂いた。そこでは、ポスSIビジネスを3つの戦略と9つのシナリオに整理し、事例を交えて取り組み方を提案している。しかし、その多くが、「現状否定」を許容しなければならない。例えば次のようなことだ。

  • 利益は確保できるが売上は減少する
  • 稼働率の追求から生産性の追求へ転換しなければならない
  • 営業偏重からマーケティング重視への転換

しかし、意志決定の責を担う人たちの中には、話は聞いてくれても、行動することへの意志決定を先送りする人がいる。そういう人が多い会社では、タブーが生まれる。

現場の第一線でお客様と肌で接し、新しいことにもアンテナを張っている。そんな人たちが、いまの自分たちを真剣に愁いている。しかし、彼らの話を肩すかしにしてしまう上司や先輩では、「何を言っても無駄」と感じさせてしまう。タブーと言うより気力を無くさせてしまう。これでは、時代に取り残されてしまうのは必定だ。

米サンフランシスコ最大の老舗タクシー会社イエローキャブが破産した。その原因は、新興のライドシェア・サービスであるUberやLyftに顧客を奪われたことだけではない。ドライバーがUberやLyftへと移ってしまったことも原因だとされている。他の業種でも同様のことが起こるだろう。

優秀な若年層を採用することが難しい時代になりつつある。加えて、既に社内で活躍している志しある若者たちが、そこに自社の未来を愁いて辞めてしまうようでは、次の時代を乗り切ることは難しいだろう。

既に多くの事業資産を抱えている企業がすぐに変わることは難しいが、仕方が無いでは済まされないこともまた事実だ。その変化のスピードはこれまでになく加速している。

さて、冒頭の質問だが、私は次のように答えた。

「おっしゃるとおり、何もしなければ取って代わられるかもしれません。だから、そうならないように新たなことに真剣に取り組まなければなりません。方法は2つあります。ひとつは、自ら時代のニーズを先取りできる新規事業開発を行うこと。もうひとつは、優れたスキルを持つ彼らとパートナーシップ組み新規事業に取り組むことです。ただ注意すべきは、かれらを下請けで使わないことです。皆さんには彼らにない実績や事業資産があります。一方で彼らには自分たちのできないテクノロジーがあります。それらを活かして役割分担をして対等な関係でビジネスを組み立てることです。合弁会社を作るという選択もあるかも知れませんね。」

私は、彼の質問に答えると言うより、その周りにいる人に伝えるつもりでこんな回答をした。気付いて頂ければと願っている。

「場をわきまえていない」、「常識が無い」、「わかりきったこと」と最初からフィルターをかけるのではなく真剣に彼らと話し合ってみてはどうだろうか。未熟であっても真剣に会社のことを考えている彼らを知ることになるだろう。そこから、切っ掛けを掴んでみるのも悪い考えではない

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【サービス&アプリケーション編】(204ページ)

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  • 自動運転車の動向について追加しました。p.129-130
  • 人工知能についてのページ順序を変更しました。
  • 従来の機械学習とディープラーニングの違いを図表に組み込みました。p.149-150

【ビジネス戦略編】(86ページ)

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