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AmazonとGoogleはコンシュマー、IBMとMicrosoftは法人という感覚的ブランド感の台頭

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「そろそろうちのシステムもクラウドに移行することを考えたいのだけど、どこがいいのかなぁ」

2000人ほどの上場企業の情報システム部長から、こんな相談をいだきました。

「基幹系を移すとなると実績ではやはりアマゾンじゃないでしょうか。機能やサービスも豊富ですからねぇ。マイクロソフトやIBMも基幹系の受け皿としては、十分だと思います。どこも、国内データセンターを持っていますから、政治的、法律的なリスクは低いと思います。その点、Googleは国内にデータセンターがないことから、基幹業務の受け皿としては不安な面が残りますが、コストパフォーマンスは大変高く、アプリケーションによっては使い分けるという選択もあります。」

これに対して、情報システム部長は次のようにコメントされました。

「アマゾンだとか、Googleはコンシュマーでしょ。そんなところ、大丈夫なのかなぁ。やっぱり企業システムとなるとIBMかマイクロソフトじゃないの?なんか、安心感あるよねぇ。」

AWSに基幹業務を移す企業がここ数年急速に増えています。事例もいろいろなところで紹介されるようになりました。そんな先行する企業の様子を見て、自分たちも、そろそろ検討してみようという2番手の企業が増えてきているようです。しかし、そういう2番手企業の中には、機能やサービスメニューより、「経験的ブランド感」とでも言うのでしょうか、「なんとなくアマゾンやGoogleはコンシュマーで、IBMやマイクロソフトは法人」という理解が浸透しているように見えます。

実際に、AWSやAzure、SoftLayerの内側の皆さんにも話を聞いてみたところ、同様の感触をもたれている方が多いように感じます。

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AWSが機能やサービスで先行してきたことは多くの方が認めるところでしょう。当然、先駆的なユーザー企業は、イノベーターやアーリー・アダプターとしてAWSの価値を理解しリスクを承知の上でAWSを選択してきました。しかし、ここに来て、多くの実績が紹介されるようになり、ついにキャズムを越えてアーリー・マジョリティへと市場が遷りはじめたのかもしれません。つまり、比較的慎重な人たちもクラウドの利用を真剣に考えはじめたのです。しかし、そういう人たちの多くは、ベンダーに丸投げであったり、そこまではいかないまでも彼らの提案を自ら評価する力がなく、提案を鵜呑みにしてしまったりと、主体性に欠けるところが多いようです。先日も相談を頂いたあるユーザー企業のシステム部長からこんな質問を投げかけられました。

「いつものSIerさんに提案してもらったんだけど、なんだかとても高いんだよね。納得感がないんだなぁ。」

なるほど、既存のオンプレを右から左へクラウドに移行しようという提案でした。クラウドならではなの機能を使うことは考慮せず、クラウドだから考えておかなければならない課題にも対応がなされていないようでした。なるほど、オンプレ同様にシステムを最初から作るような提案で、これだけ工数をかければ、費用も嵩むのは仕方がないことだと思いました。

しかし、そもそも、「なんだかとっても高く、納得感がない」という発言こそ、2番手に位置する情報システム部長には多いのかもしれません。そうなると、機能やサービスの問題ではなく、「感覚的ブランド感」が、優先されてしまうのは仕方のないことです。

クラウド・サービスがアーリー・マジョリティへと遷りつつあるいま、そのマーケティングのやり方も変わらなくてはならない時期に来ているのかも知れません。

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目次

  • 第0章 最新ITトレンドの全体像を把握する
  • 第1章 クラウドコンピューティング
  • 第2章 モバイルとウェアラブル
  • 第3章 ITインフラ
  • 第4章 IoTとビッグデータ
  • 第5章 スマートマシン

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