3年後の未来に責任が持てるだろうか?
「みなさんは、3年後に責任を持てるでしょうか?」
講義や講演の席で、このような問い掛けをさせていだくことがあります。
お客様への提案、事業計画、人材の育成など、私たちはそれぞれの未来に対して責任を持たなければなりません。ならば、未来についての見通しを持たなければならないことは、当然のことなのです。
しかし、往々にして未来を、「いま」できること、やっていることの延長ととらえてしまいます。言うなれば過去の結果としての未来を描いているに過ぎません。しかし、それは、来たるべき未来なのでしょうか。
いつの時代にも「未来」はありました。しかし、これからの「未来」は、過去の延長線上に考えるには、3つの点で異なっています。それは、イノベーションの多様化、適用領域の広がり、変化のスピードです。
ビジネス・スピードの加速やインターネット、クラウドの普及は、ITを生産性やコスト削減の手段から、競争優位を実現する手段へと求められる役割を大きく変えつつあります。この変化に応えようと、多くのイノベーションが生まれ、これまでは考えられなかったような業務領域にITが使われるようになりました。さらに、システム開発のスピードや変更への即応力が、著しく向上しています。このような変化は、もはや過去の延長線上では語ることのできない劇的なものであり、未来はその先にあるのです。
もちろん、「3年後」を正確に予測するなど簡単なことではありません。しかし、時代の大局観を掴むことができれば、決して大きな方向性に狂いが生じることはありません。
つまり、10年後、20年後といった3年後よりも遥か遠くに視座を定め、その未来をしっかりと描き、その時間軸の中で3年後考えてみるのです。
自分たちの「いま」、すなわち、いま「できること」の延長線上で、これからの行き先を考えるべきではありません。未来はどうなるのか、そのとき自分たちは、「どうあるべきか」を明らかにすることです。その上で、「いま」の「できること」と「未来」の「どうあるべきか」のギャップを洗い出し、それを埋めてゆくシナリオを描くことです。それが、未来に責任を持つために心がけるべきことなのだろうと思います。
「たくさんの会社を見て来て、なぜ長続きしないのかを考えてきました。多くの会社が現れては消えて行きましたが、彼らは何を間違ったんだろう? と考えました。共通して犯している間違いは、多くの場合、未来を見通していなかったということに尽きます。」
Googleの共同創業者であり最高経営責任者(CEO)のラリー・ペイジが、2014年、TEDでこのようなスピーチをしています。
まず、自分たちの行き先を決めることです。青森へ行くのか福岡へ行くのか、あるいは金沢へ行くのかを決めないままに、東京駅のまわりをうろうろすることに時間を費やしているだけでは、いつまでたっても何処にも行けません。
そのために、ITに関わる私たちは、テクノロジーやビジネスのトレンドをしっかりと学び、未来を冷静に、客観的に描き、自分たちの向かうべき場所を決めることです。その未来から「いま」を逆引きに考えることが、必要なのだと思います。
「いまできること」といった地動説ではなく、「未来」がどうなっているかの天動説で「いま」を捉え、自分の場所や向かうべきところを客観的に考えてみること。そういう視点をもつことが、「3年後に責任を持つ」ことへの第一歩なのではないでしょうか。
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目次
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- 第1章 クラウドコンピューティング
- 第2章 モバイルとウェアラブル
- 第3章 ITインフラ
- 第4章 IoTとビッグデータ
- 第5章 スマートマシン